ドラマレビュー第21回『SPEC』

小ネタのジャンク感で、超能力描写の限界を突破した『SPEC』の発明

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『SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』(キングレコード)

 『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)(以下『SPEC』)は2010年に放送された連続ドラマ。今までに続編として、単発ドラマの『SPEC~翔~』、映画化された『劇場版SPEC~天~』が製作されており、11月には完結編となる『劇場版 SPEC~結~』が前後篇の二部作で上映される。

『SPEC』は、警視庁公安部が設立した未詳事件特別対策係、通称「未詳」(ミショウ)に所属する当麻紗綾(戸田恵梨香)と、瀬文焚流(加瀬亮)が、他部署では手に負えない超常現象が絡んでいる怪事件に挑んでいくストーリーだ。先日放送された単発ドラマ『SPEC~零~』は、テレビシリーズの前日譚で、当麻と瀬文が出会う前の物語が描かれている。

 監督は堤幸彦、プロデューサーは植田博樹。彼らは1999年に『ケイゾク』(TBS系)というカルトタッチのミステリードラマを制作。その影響はテレビドラマ全般に広がり、同じ堤幸彦が監督を務めた『TRICK』(テレビ朝日系)を筆頭に多くのフォロワーを生み出した。そんな彼らが制作したのが『SPEC』だ。

■未解決モノから超能力ドラマへの転換

 変人だが天才の当麻と、武闘派で生真面目な瀬文のコンビが謎の怪事件を解決していくという構造や、カット数の多いトリッキーな映像の中に、少しブラックなギャグやしょうもないダジャレが挟みこまれていく展開は、『ケイゾク』を彷彿とさせ、昔からのファンを喜ばせる一方で、二番煎じの保守的なものにも感じられた。

 しかし、テレビシリーズ第1話の終盤で語る当麻の謎解きを聞いて、多くの視聴者が驚いただろう。事件の真相は、超常現象に似せた人間の犯罪だと思いきや、犯人は本当に人知を超えた超能力(スペック)を持ち、当麻たちを追い詰めていった。てっきり、ミステリータッチのよくある刑事ドラマだと思っていたら、本当に超能力が存在したのだ。

そしてその超能力者(作中ではスペックホルダーと言われる)が、当麻たちにとどめを刺そうとした瞬間、謎の少年、一+一(ニノマエジュウイチ)(神木隆之介)が現れる。ニノマエは時間を止めるスペックを持つ少年で、当麻の目の前で犯人を殺してしまう。この瞬間、物語のジャンルがミステリーから超能力モノへと変わってしまったのだ。これには、見ていて驚かされた。

 その後、次々とスペックの力で犯罪を犯す人間を、ミショウの2人が捜査していく一方で、スペックホルダーをめぐる国家間の陰謀や、ミショウに先駆けて、スペックホルダーを捕獲しようとする公安零課など、さまざまな組織が入り乱れて物語は複雑になっていく。とは言え、こういった設定や謎に満ちた物語は『ケイゾク』と同様、“それっぽさ”を偽装する以上の意味はなく、真面目に考察してもしょうがないものだ。

計算丸出しのあざとさも時に有効ってこと

しぃちゃん

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