Hage田ゲス子セレクト「渡る世間は鬼女ばかり」

誰にも言えない本音だから……ネットの匿名性が子育てに悩む人を救う

2013/10/11 17:30

<身近な人間ゆえの難しさ>
物凄い勢いで誰かが悩み(質問)を@復活120
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/live/1295395650/

 投稿者の父親が入院したので、年の離れた姉が2歳の娘を連れてよくお見舞いに来てくれるようになりました。しかし、この姪の様子が変。ほとんど話さないし、笑いもしない。そして姉も娘にまったく話しかけません。背中や首元にあざのようなものがあり、「姉の虐待を疑っている」と2ちゃんねるで相談する投稿者。「児童相談所に連絡すべき」というアドバイスがあったので、早速電話してみると「お姉さんなんだし、直接話し合ってみれば?」と言われ、有効な回答は得られません。

 ほかの2ちゃんねらーが「頻繁に病院にくるのであれば、一緒に散歩に行くと言って看護師さんに見てもらえば」とアドバイスし、投稿者は実行します。しかし、看護師に見てもらう際に姉に見つかってしまい姉は激怒。投稿者とかばおうとした看護師が殴られて、警察に通報されます。その結果、やはり姪に対する虐待が判明し、義兄両親に引き取られることが決定しました。

<DVハネムーン期>
【enemy】真のエネミーは義実家ではなく配偶者 相談スレ6
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/live/1300425817/

 夫は6年間、投稿者と息子、娘を暴力で虐待し続けてきました。そこで離婚覚悟で逃げ出して別居します。息子は暴力を受けるので絶対に戻りたくないと言ってますが、娘は「優しい時のパパは好き。死ねって叩かれるのはいやだけど、パパ反省してるんだよね? 帰りたいなあ」と発言。投稿者の父も「夫が反省しているのなら、戻ってみては」と言っています。

 夫は「お前たちが出ていってから拒食症になっちゃって……」「鬱でろくに働けないし、この上家族まで失うなら死のうと思った」と、精神的につらいということをアピールしています。しかし、この6年間、警察に虐待として通報されたり、注意したり、たしなめてもDVは治りませんでした。実父と娘の言葉に迷う、と2ちゃんねるで相談します。

 やはり多くの2ちゃんねらーは「DV加害者の戯言だから、惑わされるな。母親としてしっかりしろ」というコメントが多数寄せられます。目が覚めた投稿者は、「戻ることなく、しっかりと離婚をしたいと思います」と宣言しました。

■子育てに行き詰まった時こそ生きる、匿名性

 「虐待はダメ」と言うのは簡単ですが、実際になくす・減らすのは大変です。虐待を減らすにはいろいろな対策はありますが、2ちゃんねるが虐待防止に一役買っているのは間違いありません。

 子育てには関して「聖人君子」であることを社会から求められるため、愚痴や本音を実際での会話やFacebookなどでは語ることできません。そのため“子育てに関して言いたいことも言えず、ストレスが蓄積して虐待!”というパターンは多々あります。

 その点、2ちゃんねるの育児板を見てみると「子どもを産んで後悔している」「男の子はかわいくない」「障害を持った子どもなので、育児放棄したい」といった、親たちの本音が投稿されています。2ちゃんねるは「匿名」だからこそ、悩みを吐露することができるのです。回答する2ちゃんねらーも匿名だからこそ、建前でなく「本音」のアドバイスができる。「私も自分の子どもをかわいいと思わなかったけど、何とか育てることができた」「障害を持った子どもを持って絶望したけど、なんとか家族が保っている」といった回答は、質問した親の心を少しでも軽くしてくれます。子育てに行き詰まったり、悩みを抱えて孤独に陥ったり、そんな時にネットで通りすがりの人に「わかるよ」と言ってもらえるだけで、心が軽くなって、子どもへの愛情を確認できることもあるのです。

 社会が「聖人君子」を求める限り、子育てで自分がイライラし始めた時は、2ちゃんねるなり発言小町なり、匿名性の高い場所で心情を吐露するというのも、1つの虐待防止策です。

Hagex
ネットに投稿された人間関係のトラブルを集めたブログ「Hagex-day.info」を運営。「ネットウォッチャー四天王」の1人……というウワサ。

最終更新:2019/05/21 15:46
ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)
正論だけじゃ前に進まない問題があるの
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