石川敏男の芸能デスクレポート

『あまちゃん』『半沢直樹』で証明された、日本テレビ業界の“悪習”とは?

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『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック』/ ビクターエンタテインメント

 4月の放送スタートから半年間話題をさらったNHK連続テレビ小説『あまちゃん』が、9月28日に最終回を迎えた。最終回の視聴率は23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。156回の放送の平均視聴率は20.6%で、NHK朝ドラ10年間の中でも、第2位を記録した。ちなみに1位は、昨年上半期放送の『梅ちゃん先生』で20.7%。ドラマ離れがささやかれて久しいテレビ業界だが『あまちゃん』も、同じく今世紀1位の最高視聴率42.2%を記録した『半沢直樹』(TBS系)も、視聴者に媚を売らない番組作りが高視聴率につながったのかもしれない。

 テレビ局や制作会社はドラマを作る時、 過去に高視聴率を獲った人気ドラマを分析する。結果、「この時間帯に、誰と誰がどんなシーンを演じ、どんなストーリーにすれば数字が上がるか」ばかりを考えているのだ。その時の時代の流れはあまり加味されない。同じ時間帯の裏番組との比較もない。ただ単純に「視聴率が獲れた」というシーンや芸能人だけを寄せ集めて、ドラマに加えていくという。

 この傾向は、ドラマ作りだけにとどまらない。ワイドショーもバラエティもしかり。視聴率が獲れた企画やタレントを取り込むという、数字を見据えた番組作りに終始しがちだ。視聴者が考えるよりも、ずっと安易に番組が作られているのだ。だから「この季節は、オオスズメバチの恐ろしさで視聴率が獲れる」となったら、どのワイドショーもニュース番組も、同じ企画のオンパレード。「オオスズメバチの恐ろしさ」で数字を獲ったら、他局は、それ以上の「恐ろしさ」を見せようとする。

 バラエティ番組だって「誰々の発言の時に数字が上がる。あのタレントは数字を持っている」というデータだけで出演者を決める。タレントが数字を獲った発言は、他局がCMに入った瞬間かもしれないのに。でも、そんなデータだけで人選するから顔ぶれは変わらない。アイデアも発想もない。全員とは言わないが、プロデューサー・ディレクターと呼ばれる人たちには、“視聴率至上主義”が身についてしまっているのだろう。これが、今のテレビ業界の大問題であり、その問題にすら気がつかないで番組を作っているのだ。

 『半沢直樹』の脚本家・プロデューサー・演出家は、原作を忠実に実写化することを心掛け、過去のドラマを分析・加味しなかったことで、新鮮さを出していたのだろうし、『あまちゃん』の脚本家・宮藤官九郎さんも制作サイドに媚を売らない脚本を書いた。出演に難色を示していた女優の小泉今日子は、脚本が宮藤だと聞いて出演を決めたと聞く。視聴者の反応は「面白かった」「楽しかった」「新鮮さ」に尽きる。

 この両番組には、視聴者からドラマの続編を期待する声が聞こえる。『半沢直樹』の続編は決まっているらしいが、『あまちゃん』は、宮藤次第だろう。NHK朝ドラ始まって以来のパート2制作なんて、これも常識破り。過去に例がない。

 ドラマ班にとって大事なのは、大胆な発想と、視聴者に媚を売らないこと。そしてあてにならない過去の視聴率を気にしないこと。そんなことを教わった気がする。

石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。

やべぇ、オオスズメバチの恐ろしさがきになる

しぃちゃん

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