【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

「綾奈ちゃんママ」という呼び名に縛られて――婚外恋愛する女の娘への思い

2013/09/01 16:00
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(C)いしいのりえ

 婚外恋愛をしている女性の話を聞いていると、迷いながらも“自分探し”をしているような気がする。20代から30代にかけて、何となく形成していた“自分”が、誰かの妻になったり、誰かの母となったりするうちに、静かに崩壊していくのだという。

 独身の私は、既婚女性にとって、結婚をして妻や母という肩書を得、夫を支えたり子を育てることが、いわゆる“自分探し”の答えだと感じていた。しかし、そうではない既婚女性が大勢いることに気付き、驚かされている。彼女たちが婚外恋愛によって得る答えとは、一体何だろうか?

 小柄な身長にぷっくりと脂肪をまとった肢体を持つ麻由(仮名)さん。丸みを帯びたヒップと豊満なバスト、上半身はS字のラインをくっきりと描いていて、同性の私から見ても「そそる」ボディラインだ。

 指先で押せばポンと押し戻されそうに張りのある体つきで、42歳の体とは想像もつかない。血管が透けて見えそうな透明感溢れる白肌を持つ麻由さんを見ると、東北の血が半分通っていることも頷ける。

■「主人はパトロン」夢のための結婚

「短大時代に東海地方へ移り住みました。当時は東京の大学に進学できるほどの学力はありませんでしたし、だったら地方かな、って」

 新幹線を乗り継ぎ、東海地方の短大へと進学。短大時代のキャンパスライフは、麻由さんにとってきらびやかなネオンのはじける場だった。短大卒業後、派遣社員として勤務していた会社で今のご主人と知り合った。麻由さんは、ある夢をかなえるために、22歳の時にご主人と結婚したという。

「幼稚園の卒園アルバムから、将来の夢はずっと『ピアノの先生』でした。高校を出てからの進路も、当たり前のように音楽科を選びました。今にして思うと、非現実的な夢ですよね。ピアノを置ける場所も確保しなければいけないし、稼げる商売ではない。でも、そこに現れたのが主人だったんです。これで夢がかなうと思いました。結婚当初は、主人をパトロン程度にしか認識していなかったかもしれません」

 きっぱりとそう言い放つ麻由さんに驚かされた。普通そういった思いは、結婚して数年たち、夫に対して愛情のなくなった妻が抱きそうなものなのだが。

 一方でご主人は、麻由さんにベタ惚れ。地元に広い土地を持っていたことから、麻由さんのために防音設備万全の離れを増築して、迎え入れてくれたという。義父母との同居生活が必須だったが、麻由さんは幼い頃からの夢がかなったことが、何よりもうれしかった。

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