[TVツッコミ道場]

『半沢直樹』、不快感も残酷さも残さない「半沢裁き」の絶妙さ

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『半澤直樹』公式サイトより

 今回ツッコませていただくのは、今クールぶっちぎり人気のドラマ『半沢直樹』 (TBS系)の“快感”の理由。

 「時代劇」的なストーリー展開のわかりやすさや、スピード感、キャラクター性、上司にも屈さない強さ、「倍返し」をはじめとする決めゼリフなど、人気の理由は数々あるが、中でも一番のキモは「スッキリ感」のある落とし所の絶妙さにあると思う。

 時折「勧善懲悪の世界観」を指摘する声もあるが、半沢は決して「いい人」じゃない。時に冷淡にも見えるほどの躊躇のなさやクレバーさは、実に痛快だが、不完全燃焼の思いを視聴者に抱かせず、かといって「やりすぎ」の不快感を与えない、こうした着地点って、実はかなり計算されたものだと思う。

 それを強く感じたのが、第一部最終回の8月11日放送分だった。

 今回、半沢は、東京中央銀行の大阪西支店長・浅野といよいよ対峙する。西大阪スチールの「計画倒産」により、5億円を騙し取られた責任を半沢になすりつけ続けてきた浅野だが、実は自らの株取引の失敗で重ねた5,000万円の借金を埋めるため、西大阪スチール・社長の東田と結託した「陰謀」だったことがわかる。

 だが、浅野を追い詰めていく一方で、同時進行で描かれていくのが、支店長夫人と半沢の妻・花(上戸彩)との間で育まれる「友情」のようなものだ。浅野が実は家族を大事にしていること、銀行員としてではない、人間的な温かみが、妻子の存在によって浮き彫りにされる。

 こうなると、ついつい同情が芽生え、「10倍返し」を宣言していた「半沢裁き」の手綱も緩んでしまいそうだ。多くのドラマの場合は、おそらく浅野の妻に頭を下げられた時点で、許してしまうのではないだろうか。正直、「ここでただ許してしまったら、ガッカリなドラマになる」と思った。おそらく同じように感じた視聴者は少なくないはずだ。

 なぜなら、「罪を憎んで人を憎まず」は正論だが、そうした温情が、現実には何も生まないこと、場合によっては単なる自己満足に終わってしまうことすらあることを、私たちは知っているから。

 裁きを免れた悪人が、反省の色を一瞬見せた直後に舌を出してみせたりすることは多々あるものだ。実際、犯罪者の再犯率は高いし、昔話の『かちかち山』のおばあさんだって、タヌキの調子の良い懇願に同情しなければ、殺されることはなかったはずだ。きちんと罪を償うことなく赦された者は、きっとまた繰り返す。

 とはいえ、難しいのは、浅野の「家庭人」としての姿を見てしまった後に、もし半沢が無慈悲に浅野を告訴した場合、後味の悪さがどうしても残ってしまうこと。

 そこで視聴者の興味が半沢のジャッジに注がれる中、半沢の出した答えは、「許さない」ということ。だが、それだけじゃない、「自分及び自分の部下を全員希望の部署・ポジションにつけること」という「交換条件」付きだ。しかも、半沢の東南アジア出向を取り下げる代わりに、浅野が左遷される。そんな浅野も、結果的に、家族と一緒に暮らせるという「幸せ」を得る。

 これって単なるいい人に成り下がることなく、生理的な不快感を覚えるような残酷さもない、満点の回答ではないだろうか。視聴者の「スッキリ感」を引き出す絶妙な落としどころ。現実でのさまざまな事件も解決してくれないだろうか……そんな妄想も膨らんでしまいそうな、見事な「半沢裁き」だと思う。
(田幸和歌子)

かちかち山の救いのなさがすげえ…

しぃちゃん

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