ドラマレビュー第15回『ぴんとこな』

『ぴんとこな』、華やかさを抑え感情を描くイケメンドラマの到達点

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『ぴんとこな』公式サイトより

 近年、大きく急成長したジャンルに「イケメンドラマ」がある。定義はあいまいだが、『花より男子』や『美男ですね』(いずれもTBS系)のような、複数(だいたい4人以上)の若い男性が登場する女性向けの華やかなドラマのことで、男性アイドルや新人俳優にとって、登竜門のようなジャンルとなっている。

 そんなイケメンドラマの最新形が、TBSで木曜午後9時から放送されている『ぴんとこな』である。主演は玉森裕太(Kis-My-Ft2)、中山優馬、川島海荷。原作は嶋木あこ原作の少女漫画で、歌舞伎役者を目指す若者たちを主人公とした青春ドラマとなっている。

 名門・木嶋屋の御曹司、河村恭之助(玉森裕太)は、歌舞伎界のプリンスとして人気を博していたが、父親に認めてもらえないことから、歌舞伎に対する思いは冷めていて、稽古もさぼりがち。しかし歌舞伎ファンの同級生・千葉あやめ(川島海荷)に恋したことで、歌舞伎に対する情熱が芽生えていく。一方、ライバルとなる澤山一弥(中山優馬)は、恭之助とは正反対の真面目な努力家。一弥はあやめと幼馴染で、あやめが一弥のことを好きだと知った恭之助は、恋と歌舞伎のライバルとして一弥に対抗心を燃やすことになる。

 天才と秀才、金持ちと貧乏人。才能と努力。基本的な物語構造は、正反対の属性を持つライバルが競い合うという『ガラスの仮面』(白泉社)等で定番のものである。しかし面白いのは、主人公の恭之助が、努力が嫌いな名家の跡取りで、ライバルの一弥が、叩き上げの努力家という構造になっていることだ。

 第1話、恭之助は、一弥のハングリーさと向上心に圧倒されて劣等感を感じる。しかし第3話では、努力家の一弥が恭之助の中に、自分にはない役者としての華を感じて、以降スランプに陥ってしまう。お互いに足りないものを実感させることで、双方の魅力を引き立てる見せ方は実にうまい。

 恋愛パートも、恭之助と一弥があやめを取り合うという単純なものではなく、一弥はあやめを一途に思い続けながらも、歌舞伎役者として家柄を獲得するために轟屋の娘と付き合おうとしており、そこに何かを企んでいる澤山梢平(松村北斗)が絡んでくるという複雑なものになっている。

 普通のドラマなら鼻持ちならない悪役として描かれそうな恭之助も、肝心のところではウブであやめに手が出せずに悶々とするような、思春期の少年が持つナイーブな感情がしっかり描かれているため、目が離せない。タイトルの「ぴんとこな」とは、歌舞伎用語で「男らしく芯のある、二枚目」という意味だが、恭之助が、女の子たちを取り巻きとしてはべらせているのが目立つくらいで、近年のイケメンドラマのような派手さはあまりない。しかしこれは欠点ではなくむしろ長所で、地に足のついたしっかりとした青春ドラマとなっている。

 この辺り、異色の学園ドラマ『鈴木先生』(テレビ東京)や、ジャニーズ事務所の若手アイドルの青春ドラマ『スプラウト』『Piece』(いずれも日本テレビ系)で演出を務めた河合勇人がチーフ演出に付いていることが大きく作用している。

 唯一残念なのは、肝心の歌舞伎シーンの魅力が伝わりにくいこと。歌舞伎に対する知識がない自分には、恭之助と一弥のどちらの演技がうまくて下手なのか? どちらに華があってないのかを、台詞やドラマの流れ以外で実感することができなかった。歌舞伎の面白さがもっと出ていれば、ジャニーズアイドルファン以外にも間口が大きく広がるのだが。
(成馬零一)

オタ的には派手さもほしいの

しぃちゃん



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