女子たちがはまる「こじらせ」蟻地獄

2013/07/25 20:00

【messyより】

nagako0725cw.jpg
(イラスト/別珍嘆)

 女子たちは本格的に「こじらせて」いた

 雨宮まみ氏の『女子をこじらせて』(ポット出版)は、とてつもなく面白い自叙伝だ。女の半生を自ら描いた書籍の中でも、指折りの濃密さと切実さ。『ハダカの美奈子』(講談社)をなんとなく買う経済力があるみなさまには、是非、本書を購入し、消費されるための露悪として軽薄にはやり過ごせない【少女の重力】をご堪能いただきたい。

 少女の重力とは、ご本人も書かれているように【自縄自縛】の能力である。本書には、必要以上に卑屈で、自意識過剰で、自虐・自嘲・自己批判過多で、モテる女への憎悪と恨みにがんじがらめで、しかしなまじ行動力はあるから反射的に、まさに反射神経で行動しては傷ついて、成仏できない呪いの澱に足を汲み取られて抜け出せない女性の心理が描かれている。私のように淡白に「とっとと抜け出そう」と考える者には到底、考えられないような面倒な精神性の数々が凝縮された一冊だ。

 その根底には女性の誰もが経験する思春期の精神構造の影響がある。ゆえに、思い当たる節のある者にとっては痛みを伴う読書体験となるが、雨宮氏の文体は総じて素直で、サービス精神旺盛で、思考や感情を言語化する際のセンスが鋭く……

続きを読む

最終更新:2013/07/25 20:54
アクセスランキング