【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

女としての自分を封じ込めた「不妊」という現実――彼女が婚外恋愛に走った理由

2013/07/08 19:30
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(C)いしいのりえ

 女の目標地点の1つとして挙げられる “結婚”。純白のドレスをまとい、祝福の声を浴びる結婚式は、女にとって人生のピークとも言える日だろう。しかし昨今では、ようやく手に入れた家庭を顧みずに、家庭外での恋愛に没頭する主婦が増えている。いわゆる「婚外恋愛」である。

 独身である私は、女の幸せといわれる結婚を勝ち得た者たちが、なぜ危険を冒してまでも夫以外の男と関係を持ち続けるのかが不思議でならない。――彼女たちが「婚外恋愛」に求めているものは、一体何だろう?

 婚外恋愛をしている女性には、大きく分けて2つのタイプが存在しているという。1つは、恋をしたい女性。もう1つは、恋に落ちてしまった女性。私がそんな話を切り出すと、美沙子さん(仮)は頬を赤らめて「じゃ、私は後者ですね」と答えた。

■「女として欠陥品」という意識を解放してくれた
 
 正社員として、フルタイム勤務で働いているアラフォーの美沙子さん。仕事帰りということもあり、ピンストライプのシャツとタイトスカート、ハイヒールのパンプスというファッションに身を包んでいた。セミロングの黒髪のアップスタイルに、シャープな瞳が印象的だ。一見「ごく平均的なベテランOLさん」のように見えるが、開いたシャツの隙間からこぼれるようなバストラインと、むっちりとした太ももに艶っぽい口調は「平均的なOL」からは逸脱した、どこか只者ではない雰囲気を漂わせている。

 28歳の時、大学時代から交際していたご主人と結婚。結婚10年目に突入した今でも「恋人夫婦」のスタイルを謳歌している。

「夫婦共通の趣味がバイクなんです。平日はしっかり働いて、週末にはツーリングの予定を立てて、遠出する。夫婦共通のツーリング仲間も大勢います。定期的に仲間が集まってツーリングをしたり、キャンプに行ったり……主人とは学生時代からの付き合いなので、いまだに学生気分が抜けないのかもしれません。これで、子どもでもいれば、もう少し家族としての自覚が生まれるのでしょうけれど」

 そう答える美沙子さんは、子どもの望めない体だ。その事実が発覚した20代の頃、ショックから立ち直れなかった美沙子さんを、ご主人は献身的に支えてくれたという。

「こんな私をもらってくれて、感謝しているんです。本当に……」

 まつげを伏せ、表情をこわばらせながら美沙子さんは呟いた。本来ならば、セックスは子を宿すために行う行為。けれど美沙子さんの身体にはその機能が携わっていない。女性としてあまりに悲しい事実は、次第に美沙子さんをセックスから遠ざけていった。

『婚外恋愛に似たもの』
つらいという感情を与えてくれたことに感謝ってすごい境地
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