[TVツッコミ道場]

AKB48も観覧客も気の毒だった、節操のないTBSの『音楽の日』

2013/07/04 19:00
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日本人はノリが悪いってことで水に流して~

 今回ツッコませていただくのは、6月29日に13時間超という長時間にわたって放送されたTBS『音楽の日』。

 7月6日に日本テレビ系で放送される『音楽のちから』が「音楽番組史上初の12時間生放送」と先に大々的に発表していたことや、司会を含めたジャニーズ出演者の顔ぶれが、「飯島班」「ジュリー班」と言われる派閥争いを思わせることなどが、放送前から話題となっていた。だが、そうした派閥云々はさておき、実際に見てみると、不思議な点が数々あった。いくつかを挙げてみたいと思う。

 まずは、NHK朝ドラ『あまちゃん』人気への露骨な便乗ぶり。以前もTBSは、朝ドラ『ゲゲゲの女房』が大人気となった際、『中居正広の金曜日のスマたちへ』において、水木しげる夫妻をゲストに呼ぶという便乗ぶりを見せていたが、「報道のTBS」などと日頃真面目さを売りにしているわりに、こういうところ、案外えげつないし、節操がないのだ。

 しかも、『音楽の日』では岩手県の三陸鉄道が登場し、どういうわけか乗り込んだのは吉幾三だった。吉幾三って、岩手じゃなくて青森出身のはずだけど……。『あまちゃん』で、ヒロイン・アキが「岩手って何有名だっけ? え~、 なまはげ? きりたんぽ?」なんて聞かれるシーンがあったけど、ざっくり「東北だったら、いいか」くらいの認識なんだろうか。ちなみに、駅で歌ったのは、スター錦野旦とチーター・水前寺清子。なんだかわけがわからない。

 また、深夜に登場したSKE48と、乃木坂46は、AKB選抜総選挙においてSKE48で最上位だった松井珠理奈と、乃木坂46で少し前までセンターを務めていた生駒里奈が欠席だった。2 人は年齢的に深夜出演がNGだったのか、それとも体調や仕事・学校の関係などがあるのか、公式発表はされていないが、もし時間帯のせいだとしたら、ちょっと気の毒な扱いだと思う。

 さらに、一番気の毒だったのは、ソロを披露した板野友美と高橋みなみ。非常に狭い会場に観客を入れ、アーティストと観客が一体感を味わえるライブになっていたのは番組全体として良いが、距離が近いだけに、観客の反応がひどく目立ってしまう。

 板野は、股間あたりをダンサーが触るようなセクシーダンスを披露しているサービスぶりなのに、観客はシーン……。高橋みなみに至っては、ステージを降りて観客と同じ目線で、観客に囲まれて歌ったにもかかわらず、女性客が何組も、何度も歌唱中にコソコソ話をする様子がテレビに映し出されていた。

 触れ合える距離感で、一生懸命歌っている最中にコソコソ話をされる、しかもそれをテレビで映される屈辱って、想像を絶するものがある。そんな目に遭った高橋みなみも気の毒だが、コソコソ話をする姿を全国に流されてしまった一般客だって、嫌な感じの人に見えてしまうのだから、やっぱり気の毒だ。

 ちなみに、TBSの歌番組では、『あらびき団』方式で、どういうわけか演者でなく、観客の後ろ頭や「無」の表情を唐突にズームする手法が度々用いられるが、今回は一般客の薄毛の頭なども容赦なく映し出されていた。

 これ、一体誰が得したんだろう……。歌に元気をもらうつもりが、なんだかいろいろ気がかりで、心の痛む歌番組だった。
(田幸和歌子)

最終更新:2013/07/04 19:00
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