ナイーブ過剰!

「OL」「熱狂」はNG! 最新テレビ放送禁止用語に見る、言葉狩りの脅威

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『放送禁止映像大全』/三才ブックス

 今月26日放送された朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の「10秒しりとり」という企画の中で、レギュラー出演中のアイドル・曽田茉莉江が、「ロンパリ!」という言葉を使ってしまったことが、ネットを騒がせている。「ロンパリ」とは、「一方の目でロンドンを、もう一方の目でパリを同時に見る」という意味で斜視の比喩表現である。1950年代に普及した言葉であるが、現在は差別用語とされてテレビでは使用が自粛されている。

 また昨年の3月にはTOKYO MXの人気番組『5時に夢中!』で漫画家・西原理恵子が女性器の俗称「まんこ」を生放送中に発言したとして番組をクビになった。この件で同局に対して不満を持った高須クリニック院長・高須克弥が、番組のスポンサーを下りるという騒動にまでなっている。

 これらの件はさすがに問題視されても仕方がないが、テレビの現場からは、過敏になる一方の差別用語に対し、一部で疑問の声も上がっているという。主にバラエティ番組で活動するベテランディレクターが語る。

「卑猥な表現や、蔑視のために生み出された差別用語が禁止なのは当然としても、最近は日常で使われる言葉までも放送禁止用語とみなされています。多岐にわたりますが、例えば、『外人』『父兄』『片親』なども、人種差別や、女性差別、障がい者差別に当たる可能性があるとして、理由がないならば使わないように指示されています。これらの言葉を普段耳にして、『差別だ!』と思う人はほとんどいないとは思いますが」

 「職業差別を連想させる」として、テレビでは放送禁止扱いになっている言葉も、日常では普通に使われているという表現は少なくない。

「『百姓』『土方』『ペンキ屋』『肉屋』『八百屋』『坊主』といった言葉も差別的だということで、基本的には使えません。ただ、『百姓』や『坊主』などは、農家の方や僧侶が自らを表して口にするような場面では使用可だったりもします。完全に禁止というわけではないんです」(同)

 明確な禁止とまではいかないが、使用が望ましくないと自粛扱いの用語はかなり多いようだ。また、男女雇用機会均等法等の成立や、近年のジェンダー思想の広まりで、ナイーブになっているものもある。

「かつては何の疑問もなく、番組のタイトルにも使われていたような言葉が今では使えません。『看護婦』は『看護師』、『スチュワーデス』は『客室乗務員』、『保母さん』は保育士、『婦警』は『女性警官』など言い換えています。『営業マン』もNG扱いで、『営業スタッフ』とか『男女営業マン』とかに言い換えが必要です。あと、『OL』も局によっては使用が望ましくない言葉になっています。言い換える場合は、女性社員などとしているようです」(同)

 さらに、度が過ぎるのではないかという自粛も存在している。

「最近は、『お年寄り』という言葉もほぼ禁止扱いです。差別とまではいかなくても、失礼だからという理由です。『年配の方』などに言い換えていますね」

 このような放送禁止用語が増大する流れの中で、スポーツ番組を担当するあるディレクターは、さすがに困惑したこともあったという。

「『日本中が熱狂!』というコピーを考えたら、ダメ出しを喰らったんです。『狂』という文字が、不快な表現に当たりかねないということで、使用しないようにとのお達しでした。いくらなんでも過敏になりすぎなんじゃないかと思いましたね」

 放送禁止といっても、法律で規制されているわけではなく、あくまで自主規制である。局としては、先回りして視聴者からのクレームを避けようとする考えもあるのだろう。しかし、“言葉狩り”のように、放送禁止用語を増やすことと、本当の意味で差別的な表現や視聴者を不快にする表現をなくすことは、別の問題ではないのだろうか。
文:渡辺則明(QBQ)

クレームへの想像力の豊かさを、番組作りに反映して!

しぃちゃん

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