ドラマレビュー第8回『タンクトップファイター』

アクションドラマ×アイドルの良作『タンクトップファイター』の身体性

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『タンクトップファイター』公式サイトより

 1990年代以降、テレビドラマとアクションシーンは、相性が悪かった。例えば、昔の刑事ドラマは、アクションが中心で派手な爆破シーンや銃撃戦が付き物だったが、『踊る大捜査線』(フジテレビ系)のヒット以降は、アクションは控えめになり『相棒』(テレビ朝日系)などは、完全にミステリードラマとなっている。

 そんなアクションドラマ不遇の中で、人知れず実験が行われているのが深夜ドラマ枠だ。『BAD BOYS J』(日本テレビ系)等のヤンキードラマではアクションがすでに定番化しており、ケンカシーンをどう見せるのかという試行錯誤によって進化を遂げている。また、登場人物がとにかく走りまわる『リアル鬼ごっこTHE ORIGIN』(テレビ埼玉・千葉テレビ放送・テレビ神奈川)もなかなかのクオリティで、一つひとつは低予算で小粒な作品だが、毎回見る度に発見がある。かつて、大量生産されたVシネマの中から三池崇史が生まれたように、いつかアクションドラマから新たな才能が出てくるのではないかと注目している。

 そんな中で、今期最も面白く見ているのが『タンクトップファイター』(MBS)だ。物語は強盗殺人容疑で父親が逮捕された西木果衣(かい)、理久(りく)の姉妹が、親族側から1億円の訴訟を起こされ、その賠償金を支払うために指名手配犯の特別懸賞金を獲得しようとバウンティハンターになるというもの。主演の果衣を小野恵令奈が、理久を川島海荷が演じている。

 小野は、かつてAKB48に所属していたアイドル女優で、なんといっても映画『さんかく』での無自覚な色気が印象的だ。しゃべり方と表情が特徴的で、そこから醸し出される小生意気な、人生を舐めているかのようにみえる立ち振る舞いが、若い女の子特有の色気と生々しさにつながっている。女優として癖が強いため、どんな役でも当てはまるというタイプではないが、常に暴投スレスレの危険球ながらも、ギリギリのところでストライクゾーンに放り込んでくる演技が魅力的で、指名手配犯を捕まえるために、常に危なっかしい動きをする果衣は、彼女にぴったりのはまり役だ。

 一方、姉の理久を演じるのは川島。すでに映画やテレビドラマで多くの主演作をこなしており、キャリアに裏打ちされた安定感のある演技をみせている。この間まで『好好!キョンシーガール~東京電視台戦記~』(テレビ東京系)で、キョンシーと戦っていたことを考えると、彼女が『タンクトップファイター』でもおかしくないのだが、今回は機械に強い、おとなしい姉として、妹のバックアップを務めている。この攻めの小野、守りの川島という演技の基調がそのまま作品のトーンにもつながっており、川島の落ち着いた芝居がドラマの完成度を高めている。

 いわゆる濡れ場はないが、毎回登場する小野が上着を脱いでタンクトップで戦う場面が、濡れ場の役割を果たしており、アクションを通して小野の体をどう見せるのかが、本作の主題だと言える。しかし、予想以上に派手に動き回り、泥と汗にまみれて顔がぐちゃぐちゃになっているため、アイドルドラマよりもハードコアだ。視聴者は知らず知らずのうちに、小野の10代後半の出来上がっていない体が痛めつけられる様を通して、このドラマの持つ妙な生々しさを味わうことになる。

 特に第4話で展開された、蛇のタトゥーがある成熟した美女とのキャットファイトは、イリーガルな色気が作品全体から漂い、見ごたえ抜群だった。漫画調のイラストに9nineの主題歌「Evolution No.9」がテンポよくのっかっているOPも素晴らしく、白っぽさが強調された映像と、やたらと動くハードコアなアクションが印象に残る、隠れた良作だ。
(成馬零一)

所詮、GIジェーンのデミ姐の足元にも及ばないけどね!

しぃちゃん

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