[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月7日号

女たちの“不安”という小さな芽を共有し、「婦人公論」は今日も進む!

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「婦人公論」6月7日号(中央公論新社)

 日々慌ただしく過ごしていると、目先2、3日の不安が先に立ち、なかなか老後にまで目が向けられずにあっという間に月日だけがたっていきます。しかし今号の特集「老後が不安という『病』、治せます」を読み、「老後を考える=今の生活を直視する」ことであると痛感しました。冒頭の作家・村上龍氏の「希望の種は自分で探し、出会うしかない」は特にオススメ。「不安というのは、とりあえず食べるものがあり、寝るところもあり、伴侶もいるけれど、現状や将来のさまざまなことに対して大丈夫だろうかという感情です。だから不安に感じることを不安に思うことはありません」と語る村上氏。というのも『55歳からのハローライフ』(幻冬舎)の取材で「本当に追い詰められた人、それも特に男性は、不安という感情に蓋をしてしまうということを知った」からなのだとか。一方で女性は「自分なりの小さな喜びや希望を見つけるのが上手」で、不安を表に出すことにもあまり抵抗がないということです。確かに。女同士だと“不安”も立派なトークネタです。

<トピックス>
◎老後が不安という「病」、治せます
◎小島慶子×やましたひでこ 悪意なき母の呪縛から自由になれた日
◎中島知子 家族の暴力的な支配が私を苦しめ、破壊していった

■ご近所ホラーの正しい楽しみ方

 「不安エンターテインメント」というジャンルは、老後に限ったことではありません。例えば「30過ぎた娘が嫁ぎもせずアイドルにハマっているけど大丈夫かしら」とか「来年定年を迎える夫と、これからどうやって過ごしていったらいいの」とか、女たちは自らの不安を寄せ合うことで“あるあるという共感”と“自分だけじゃない安心感”を得、毎日を不安感謝デーにしてしまう、恐ろしく業の深い生き物ではないでしょうか。そりゃ女の方が長生きしますね。村上龍氏の「今が盤石だからこそ将来を不安に感じる」理論で言うなら、「婦人公論」という雑誌は愚痴と自虐と自慢に満ち満ちた“女のSNS”。

 今号の「『近くの他人』ほど怖い あなたを襲う隣人トラブル」も、ご近所ネタというごく身近なホラームービーをキャーキャー言いながらみんなで楽しむような、不謹慎さとたくましさを感じます。不動産関係者のホンネ座談会でも「毎日のように住人のドアをノックするセレブ風おばちゃんが最終的に全住民をマンションから追い出した」など「マジすか……(ゴクリ)」な例をてんこ盛りに出してきて、最終的には「よりよい隣人関係なんて幻想なんじゃないか、という気がしますね。もともとないものを求めるから、つらくなるのかもしれませんよ」と締めくくる。これがホントの『クロユリ団地』……。

 読者体験手記「ご近所バトルに巻き込まれて」でも、「私は間違ってない! 私は120%被害者!」という書き手と「大変だったねえ(いやいや結構アンタもアレだよ)」という読み手の成熟したオトナの関係にグッときます。「マッチ箱のように小さい建売から、高級住宅街とチラシにうたわれる地へ越したのは、航空会社で出世街道をひた走っていた夫の経済力によるものだった―」なんて書き出し、ネットだったらボコボコにされそうですが、「婦人公論」においては女たちのかわいいマウント合戦として処理されるから不思議です。書き手も読み手も「婦人公論」リテラシーがあるのでしょうね。ちなみにこのご婦人、高級住宅地で「ろくでもないお隣さん」に悩まされ、嫌がらせを受けて結局出ていくことになるのですが「今考えると、あの高級住宅地を選んだ頃の私たちは、少し若すぎたのかもしれない(意訳:若いのに、そんな高級住宅地に住めちゃう私たちって……)」と結んでいました。あぁ、どっちもどっち!

■真麻の爆発はいつ起きるか

 続いて紹介したいのは「親と子」をテーマにしたインタビュー&対談企画。タレントの小島慶子×クラター・コンサルタントのやましたひでこによる「悪意なき母の呪縛から自由になれた日」、中島知子の「家族の暴力的な支配が、私を苦しめ、破壊していった」、高橋真麻の「フジテレビを卒業、もう恋愛に悩みません!」。前述2つはいわゆる“毒親”に苦しめられた日々の告白、高橋もまた親の影響力の強さを思わせるインタビューで、並列して読み進めると興味深い類似点を発見できます。

不安をおもちゃにできないなんて、つまんない人生よ

しぃちゃん

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