『閉経記』刊行インタビュー

女は閉経で刷新される? 伊藤比呂美が語る女の性と『閉経記』

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『閉経記』(中央公論新社)

 漢と書いて「おんな」と読む。その心境に至るまで、あまたの地獄を経験してきた女、それが詩人の伊藤比呂美氏だ。摂食障害、不倫、結婚、子育て、家庭崩壊、うつ病、娘の思春期、離婚、親の介護と死、そして更年期・閉経。簡単に羅列するとその重みが薄れてしまいそうだが、伊藤氏はこの「女の波乱万丈フルコース」を一つひとつ咀嚼し、自分の言葉で紡いできた。近著『閉経記』(中央公論新社)は、「婦人公論」(同)の連載「漢である」をまとめた一冊である。

―――もともとの連載のタイトルは、どんな心境でつけたのですか。

伊藤比呂美氏(以下、伊藤) 漢と書いて「おとこ」と読ませる人もいるけれど、オジサンたちは絶対「漢」じゃないと思う。女の方が「男気がある」人が多いから。男気というか、正義心とか公共心みたいなものかな。若い時はほかのことで忙しくて忘れているけれど、40代後半からむくむくと正義心やらが立ち上がってくるんですよ。いろいろな生活感を基盤にして心の中に醸し出てくる。昔は正論を人前で言えなかったのに、言うだけの度胸がついてきた。しかも、羞恥心がなくなっているんです。それが更年期であり、「閉経記」です。

―――「更年期」ではなく『閉経記』とつけた、その心は?

伊藤 「経」の字が好きなの。月経の経ね。もともと詩人として一番最初に書き始めたのが自分の体で、部位や現象をどんな言葉で表すか、ずっと考えてきました。いやらしくなく、下品じゃなく、うしろめたくなく、自分の部品をちゃんと表現できる言葉を。当時は「生理」とか「アンネ」なんて呼んでいたけれど、私は「月経」を使ってきました。ぼかしたり誤魔化したりせず、色がついていない言葉ですからね。だから閉経と表現した。『閉経記』って、私たち女の軍記みたいなタイトルでいいでしょう?

―――更年期に対しては「ツライ」とか「大変そう」と、ネガティブな印象を抱きがちですが、「更年期は、障害どころじゃない。おもしろくてたまらない」と書いていますね。

伊藤 選択肢が広まって、自由になったから。更年期に入って、選択肢が「男を狩りにいく」だけではなくなり、もっと大切なものに集中できるようになったの。ほら、私は業が深いから(笑)。もちろん、そのほかにもすったもんだの苦労がいろいろありまして。子どもの思春期とか、夫との不調和とか。その苦労に対処するために「書く」ことを続けてきたワケですが、書くこととその苦労がピタッと合わさってきた気がするんですよ、更年期に入ってから。ひとつの表現方法をしっかりつかんだような、それを今は反芻している感じかな。これを更年期まで待たなくちゃいけなかった、というのは口惜しいところですが。

漢としての生き方を学ぶ

しぃちゃん



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