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「鳥貴族」も誕生28年目! 大倉忠司社長が語る居酒屋業界と“忠”の秘密

2013/05/22 22:00

【サイゾーpremium】より

――小誌発売日の2日前の5月16日、関ジャニ∞の大倉忠義は28歳の誕生日を迎えた。さかのぼること28年前の1985年、長男・忠義が生まれたその年、父は、今や庶民の味方として愛される「鳥貴族」の第1号店をオープンさせたのだ。「最悪1店舗にまで縮小する日が来たとしても、またこの腕一本で焼き鳥を焼いて、家族を支えますよ」。そう笑顔で語ってくれた、大倉忠司社長の「鳥貴族」への思いとは?

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(写真/田中まこと)

──2010年の「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)のインタビューで、12年に上場、16年に1000店舗達成が目標だとおっしゃっていましたが、現状はいかがでしょうか? まだ上場はしていないようですが……。

大倉 あれ? 僕12年に上場する言うてました? あ、そうですか(笑)。もちろん、今も上場は目指していて、具体的にいつとは言えませんけど、計画には入っていますよ。

──昨年300店舗を超えて、いよいよ大手チェーンと呼ばれるような存在になってきていますよね。自分たちが大手だという意識や実感はありますか?

大倉 大手という意識はないですねえ。まあ、やっと中堅くらいまできたかなぁとは、思うてますけどね。

──大倉社長は、「創業当初から、チェーン展開を目指していた」と、以前インタビューで答えていらっしゃいましたよね。

大倉 そうですね。外食企業というよりも、もともと流通に興味を持っていましてね。創業当時(1985年)は、大手スーパーが全盛期で、その中でもダイエーが日本一だったわけですよ。ダイエー創業者の中内功さんの本なんかもほとんど読みましてね、「チェーンストアこそが、世の中に貢献できるぞ!」と。大衆市場という、一番多いお客さまを相手に商売ができますから。そこに、自分の夢、志を見いだしたんですね。

──とすると、経営ビジョンは創業当初から変わっていない?

大倉 焼き鳥店でダイエーさんのようなチェーン展開をしたいという目標は、今も変わりません。創業直後の88~89年頃はバブルの頂点で、お金儲けだけを考えれば、高級店をやったほうがよかったんです。でも、自分の夢を考えると、チェーンストアこそ理にかなっていると思いまして。

──とはいえ、出店した店舗を減らすことなく、創業から順調に拡大してきている鳥貴族の強みは、どこにあったのでしょうか?

大倉 やはり、鳥に特化して大量販売することで、仕入れ価格を抑えられるという点ですね。現在は、養鶏農家と契約して、餌や飼育環境をこちらでコントロールすることを目指しています。

──具体的に、いつごろから本格化しそうですか?

大倉 今年の4月に、商社でずっと鶏肉を専門に扱ってきた人間をスカウトしましてね。現在は産地に出向いて、いろいろとお話をさせていただいているところです。ウチもそれなりの店舗数になったので、農家の方も興味を持ってくれるようになりましてね。

■均一居酒屋方式は他店をパクっただけ?

──多店舗展開でコストを抑える狙いはわかるのですが、それを低価格で均一にするというアイデアはどこから来たのですか?

大倉 これは別にウチがオリジナルでやったわけじゃないんですよ。鳥貴族を始める前、若い頃に通っていた地元の炉端焼きの店が、230円均一だった。そこに感動しましてね。これは、安いだけじゃなくて、面白いな、と。均一料金って、ダイソーさんもそうですけど、お得なメニューを見つける楽しさがあるじゃないですか。「これは値段なりの商品だな、おや、これはお得やなぁ」って探すことが楽しくて。それを素人の時からずっと温めてたんですよ。

──素人、つまりお客さんの目線で考えたことなんですね。

大倉 ウチのもうひとつのウリであるじゃんぼ焼鳥もそうなんです。これも、若い頃に通っていた店で初めて大きい焼き鳥を食べた時に「大きい焼き鳥ってこんなにジューシーでうまいんや!」って感動して。それをずっと覚えていて、自分で起業する際には、絶対に大きくしようって思ってたんです。

──でも、それをやろうとするのに心配はなかったんですか? 1本で十分だなって思われて、あまり注文してもらえないんじゃないかとか。

大倉 実は怖かったんですよ。あまり食べてもらえないんじゃないかなって。私の焼き鳥の師匠が来た時にも「大倉君、こんな大きな焼き鳥はあかんよ」って言われたんですよ。でも、それって店側の目線なんですよね。プロの目線だと、どうしても制約が大きなってしまいますし、メニュー作りもやりづらくなってしまいますから。さらに言うと、均一料金にする際に、普通の居酒屋と同じで、原価率を30%にしてしまいがちでね。そうすると、商品の質も落ちちゃって、誰も食べてくれなくなる。誰が見ても、これは得だなというメニューを作らなきゃダメですね。

──そんな大倉社長から見て、大手の均一居酒屋の料金設定ってどう思います?

大倉 名前は出せないですけど、大手の幹部の方とお会いした時に「均一料金は失敗でした」とお聞きしました。やはり「(鳥貴族を)真似してやったんだけど、利益が上がらない。利益が上がるように、各メニューの原価率を調整したら質が下がって、お客さんが離れていって、結局やめますよ」とのことでした。居酒屋でいろんなメニューを均一にするのは無理がありますからね。ウチみたいに、専門店で鳥に特化して、仕入れコストを抑えないとキツいですよ。この点に関しては、やはり焼き鳥専門店という強みがありますね。

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