[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」6月号

「男ウケ」を称賛しながら、男の単純さを伝播する「CLASSY.」の奥深さ

2013/05/04 17:00

 除菌シートや手作りスープで無事彼氏捕獲に成功したら、次は「彼氏ができたら“頑張らないヘアメーク”に変えなきゃ!」。「合コンならOK!彼女だとNG!」という東京スカイツリーの展望台レベルの上から目線で、巻き髪やつけま、マスカラ、ピンクチークにパールシャドウ、マットなリップなどを一刀両断。「男性は女性を守る存在でいたいのに、攻撃的な濃いメークをされると気持ちがなえてしまうもの」「ずっと一緒にいたい彼女って思えるのは、健康的な中に優しさを感じる頑張りすぎてないメーク」などなど、イケメンヘアメークさんも言いたい放題です。もう間接的に浅丘ルリ子をディスっているようにしか思えない「頑張らないヘアメーク」。結局、男は石坂浩二時代から何も変わっていないということですね……。

■同じおかみさんでも藤田紀子じゃダメ

 除菌シートで男を捕獲、うっすらメイクで“敵じゃない”アピールしたら、いよいよ結婚……といきたいところですが、まだまだ乗り越えなければいけないハードルがあるようです。それが「『男のマリッジブルー』その傾向と対策」。めんどくせぇなオイ。

 金融会社勤務、弁護士、会社経営など「CLASSY.」ガールが好みそうな男性3名が、マリッジブルーから婚約破棄に至るまでの道のりを激白。「結婚準備に必死になりすぎた彼女にドン引き」「長引くケンカに疲れて」など、結婚式に対する温度の違いをきっかけに心がすれ違うパターンが多いようです。一生に一度と張り切り過ぎて暴走する女、仕事がハードで式準備どころではない男。まぁそこまでならなんとなくステレオタイプではありますが、このマリブル男座談会は後半からが読みどころ。怒涛の本音攻撃がさく裂しています。

 「会って疲れるっていうのは一生一緒にやっていける気がしない」と三木道三が降臨したかと思えば、「仕事をベストな状態でさせてくれるコじゃないと、結婚してもしんどいだろうなって考えてしまう」「人間性ってすごく大事で、遊び相手ならとにかく可愛くておしゃれで自慢できるっていうのでいいのかもしれないけど、結婚したいコは、些細なことでもきちんと『ありがとう』が言えるコだよね」「あと、基本、男は女のコにほめられたいよね。例えば『仕事、大変なのにがんばってるね』とか」などなど最終的には「おふくろさんよォォォ」な内容に。

 マリブル男の特徴として「何事もメールで済ませようとする」「あまり主張せず、言い争うことを嫌う」「親友と言える“濃い”友達がいない」などが挙げられていましたが、自分が他人とコミュニケーションを取ることは恐れるくせに、オレのことは理解してくれ、おふくろみたいに褒めてくれって言われましてもねぇ。恋愛専門家・潮凪洋介センセイまで「おおらかで、安心して家庭を任せられる『おかみさん気質』の女性は結婚相手として魅力的に映ります」と肝っ玉かあさん推しする始末。どうやら「CLASSY.」的結婚道においては“浅丘ルリ子よりも京塚昌子”の法則があるようです。

 ファッションページから読みものページまで、恐ろしいまでに一貫した「男受け」路線を突っ走る「CLASSY.」。こんな風に書くと異性に媚びを売るだけのイケ好かない雑誌だと眉をひそめる意識の高い女性もいらっしゃるかもしれませんが、それはちと早計です。「CLASSY.」の根底にあるのは、実は「男の浅はかさ」の暴露。唇をぷるぷるさせただけで「オレのためにかわいくしてくれてる」と思い込む都合の良さ、フェスで差し出されたふかふかのタオルに感涙する単純さ、何かあると仕事や趣味、または男の友情に逃げ込む臆病さ……「こういう女子がモテる」と指南しながら、実はくだらない男の性を綿々とあげつらって笑っている、それが「CLASSY.」ではないでしょうか。そんな感じで読み進めますと、また違った味わいがありますよ。
(西澤千央)

最終更新:2013/05/04 17:00
「CLASSY.」
里子が里芋に見えてくるのよ……(ただの老化)
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