[女性誌速攻レビュー]「美ST」4月号

加齢とともに美魔女はどこへ行く? 「美ST」の内海桂子師匠という目標

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「美ST」2013年4月号/光文社

 「美ST」4月号(光文社)の表紙は、5人の美魔女です。美魔女というと、最近は「年甲斐もなくイタい」「必死すぎてコワい」と揶揄する人がいたり、「美しくあろうと努力して何が悪い!」「“年齢相応”って誰が決めたの?」と反論する人がいたり。そのうち「美とはなんだ」「美は誰のためにあるのか」と難しい論争になったりして、深い考えがない人は不用意な発言は避けた方がいい要注意ワードになってきた感があります。

 果たして美魔女はイタいのか。正解はわかりませんが、「美ST」4月号を読んでいて、1つ気づいたことがありました。美魔女が「イタい」と形容されるのは、“年齢不相応だから”ではなく、過去や現在にすがりついている感があるから、他人に違和感を与えているのではないかということです。“過去のイケてる私”や“今のお金をかけてる私”を必死で守ろうとするイメージがあるんです。美魔女に限らず、過去の栄光にすがっている人や過去の恋愛を引きずる人、今の幸せがいつまでも続くと思い込んでいる人って、うっとおしく感じるじゃないですか。「時は流れるものなんだよっ!」と、諸行無常の理を説きたくなる。そんな感情が、美魔女を見ているとふつふつとわきあがってくるのではないかと思うのです。

<トピック>
◎齋藤 薫の読む美容液 第39回TEAM美魔女
◎40代、これからです!「美来予想図III」
◎「ダメな自分」を知るあなたこそ美しい。

■美魔女の行く末

 そんな美魔女に対する違和感が、今月号の特集「40代、これからです! 美来予想図III」を読んで消え失せました。この特集では、美魔女が無理やり過去に戻ろうとしたり、現状を必死で維持しようとはしていません。美魔女が加齢しているんです。美魔女が未来への一歩を歩き出したんです!!

 まず、冒頭で40歳の美魔女が、リアルな特殊メイクで60歳に化けています。20年間お手入れした「素敵な60歳」と、シワシミカサカサの「残念な60歳」の2通りに化けていますが、どちらにしてもシワシワ。かなりのインパクトです。そっか、誰でも老いればシワシワになるんだ。魔女にも私たち人間と同じ時間が流れているんだな。そんな当たり前ことを確認できました。美魔女は永遠ではありません。

 その上で、顔・体型の維持法、ガン予防などについて紹介しています。そして、特集の最後は、「究極の目標 『笑顔の似合うおばあちゃんになりたい』」で締めくくられています。内海桂子師匠(90歳)を始め、“笑顔の似合うおばあちゃん”が何人か登場しているのですが、芸能人ではなく主婦や食堂女将など普通の人ばかりなので、顔の造作が美か醜かでいえば「普通」としか言いようがないおばあちゃんばかり。しかし、お年を考えれば驚異の若さ。みなさん健康美を保っています。本当にいい笑顔です。なるほど、あと50年もしたら、顔の造りもしわもスタイルも関係なくなるんですね。生き生き、健康。これが美しく生きるということなんだなあと素直に感じました。

 「イタい」と言われている美魔女が目指しているものが、“若返って男とチャラチャラ遊ぶこと”ではなく、“笑顔いっぱいのおばあちゃんになって、健康で長生きすること”だとしたら、どう思いますか。それでも「イタい」「年相応に朽ちて死ね」と思うでしょうか。あんまり思わないのでは? しかし、筆者は、チャラチャラ目的がイタくて、長生き目的がイタくないとは、単純に言いきれないように感じます。たとえチャラチャラや、あるいは「特に意味はなく、ただ美しくありたい」という欲望がベースにあったとしても、それでその女性が笑顔で生き生きと暮らせるなら、結果的には同じことかもしれないなあ、と。美しく生きるってどういうことなんだろ。やっぱりこの問題はドツボにハマりそうです。

■鏡の中に自分の母親そっくりの人が!

 第3特集は、「『ダメな自分』を知るあなたこそ美しい」。「ダメな自分」とは、例えば、ホームビデオに無意識のうちに写り込んでいた自分の顔。口角が下がり切って、思わずギョッするような怒り顔だったりします。あるいは、歯医者さんの治療用照明の下で見た手鏡の中の自分。アゴがタルタル。24歳の娘と一緒に鏡の前に立った自分。目元のハリが全然違ってギョッギョッ。こうしたダメな自分を認めて、欠点をカバーしていこうという企画です。

 確かに、無意識の顔って、一瞬自分と認識できずに「この鏡の中の老婆はいったい誰?」と思ってしまうことありますよね。自分の頭の中の“自分”と著しく違う容貌だったために起きる現象だと思いますが、それをメイクで欠点をカバーするのもいいんですが、いい加減これが真実の自分である、と認識できるようになりたいものです。何歳になったら正しく自分を把握できるのでしょうか。前項で述べた内海桂子を始めとする「笑顔の似合うおばあちゃん」たちは、自分の顔を見てギョッとすることはないのでしょうか。

 とかく美容に関しては、「自分はこうだったはず」「こうありたい」「こうあらねばならない」という意志が頭に常に貼り付いていて、それが原動力になることもありますが、鏡の中と現実のあまりのギャップに苦しめられることもあります。過去や理想といったものに捉われることなく、ナチュラルに美しくあることってできないんですかね。あと50年くらい年を取らないと解脱できないのかしら。50年後……生きてる気がしねぇ!
(亀井百合子)

美魔女がいつしか哲学に……

しぃちゃん

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