[女性誌速攻レビュー]「リンネル」4月号

フォーマル白装束もカタカナ職業も……「リンネル」の“私らしい”は安易過ぎ!

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「リンネル」2013年4月号(宝島社)

 “ふわっとやさしい暮らし&おしゃれマガジン!”がキャッチフレーズの「リンネル」(宝島社)。前号では、ファッション特集で白いアイテムを多用していることをお伝えしましたが、今月号の「軽やかな春のよそおいお届けします!」というページでも、白・白・白。いわく「注目は白と白を合わせる着こなし 素材でニュアンスを出すのが着こなしのポイントです」とのこと。シワッとした素材を重ねた白装束で、温室か植物園らしきところで撮影しているのですが、そんな樹木が生い茂る場所で白い服を着ていたら、カメムシが卵を産みつけますからお気をつけて……と、白いタオルを狙い撃ちされたカメムシ産卵被害体験者の筆者は申し上げておきます。

<トピック>
◎軽やかな春のよそおいお届けします!
◎配色別 私らしいフォーマル服の選び方
◎リンネルハローワーク―私らしい仕事の持ち方・見つけ方―

■セックスが想像できない服なんです

 ファッション特集でもう1つ気になったことがあるんです。「着ているだけで思わず笑みがこぼれてしまうような」「ふわりと空気をまとうような」「肌なじみのよいアイテム」など、自己満足度重視の説明文の中に混じって、やたらと「大人っぽい」「大人な着こなし」という表現が出てくるんです。数えてみたら、巻頭から続くファッション企画24ページ中、「大人」という単語は18回も登場していました。

 確かに、リンネルに登場する服は、「大人」というより「少女」。すなわち「女性的」というより「中性的」。でも、自らあえてそういう服を選んでいるんですよね。にもかかわらず、その特徴を「大人」という言葉で打ち消そうとするのはなぜなのでしょうか。それは、「リンネル」読者の意地の見せ所といいましょうか、「リンネル」読者のプライドなのではないかと思いました。例として、掲載されているコピーを2つ抜き出して超訳&読者の気持ちを代弁してみます。

【例1】
(掲載されているコピー)「幼く見えがちなプレッピースタイルはすっきりとしたシルエットと素材感で大人顔に」

(超訳)「フケ顔に似合わない若作りスタイルも、選びようによっちゃ『イタい』と言われない……かも!?」

(読者の気持ち)「年齢なんかにこだわりたくない! “年相応”なんて言葉、誰が決めたの? いくつになっても好きな服を着て私らしく♪ イタいなんて言わせないぞ」

【例2】
(掲載されているコピー)「リラックス感のあるスタイルには、渋めの色を挿し色に合わせて大人のおしゃれ感を」

(超訳)「着心地重視、色気ゼロのスタイルも、色の選び方で少しはモテ度がUPする……かも!?」

(読者の気持ち)「男に媚びたくない。媚びる女は大嫌い! 男の前でも私らしく♪ でもセックスしたい」

 ……ということではないでしょうか。白装束だったりエプロンドレスだったり部屋着みたいなダラッとしたワンピだったり、そういったアイテムを心のどこかでは「年齢や容姿を考えると多少キツいかな」「モテないな」と自覚しながらも着続けるには、他人にどう思われようと屈しない意志が必要なんです。その意志を支えているのは、「私らしさ」という言葉。

 なんたって「配色別 私らしいフォーマル服の選び方」という企画ページで、白装束を推してるくらいですからね。「白はNGとされることも多いフォーマルシーン。オフホワイトや生成りなど、やや含みのある色合いを選んで」と断り書きを入れておきながら、真っ白なワンピに白いコットンジャケット、くるぶし丈の白ソックス、白ひも靴、そしてなぜかかごバッグというスタイル。TPOより「私らしさ」が大事。私という名のふわっとやさしい爆弾、それが「リンネル」なのです。

■2010年代とは思えない、カタカナ職業礼賛

 「私らしさ」攻撃はさらに続きます。「リンネルハローワーク―私らしい仕事の持ち方・見つけ方―」というミニ企画をみてみましょう。「自分の長所、個性を活かして現在のお仕事に出会ったみなさん」という趣旨で6人の方が登場し、仕事への思いを語っています。その肩書きは、“ショップディレクター兼店長”“ブックデザイナー”“フードデザイナー”“シューズ輸入会社ディレクター”“ブランドデザイナー”“キャンドルアーティスト”。

 なにこれ、なにこれ、なーにこれ(怒)! あまりの怒りで手が震えてしまいました。無論ここに登場している方々には罪は一切ありません。問題は「リンネル」編集サイドです。企画に「ハローワーク」と付けておきながら、日本全体から見たらこんなに特殊で人数の少ない、つまり就職困難な職種ばかりを集めて、読者にこういった職種だけが「私らしい仕事」という幻想を与えていいとお思いなのでしょうか。これで、読者が路頭に迷っても構わないとお考えなのでしょうか。「クリエイター系を出しときゃ、読者は喜ぶでしょ」と安直に考えたのかもしれませんが、読者はそんなにバカじゃありません。

 私らしく生きられる仕事は、ディレクターやデザイナーやアーティストばかりではありません。「リンネル」的視点からすれば“おしゃれ”に見えない仕事であったとしても、仕事で私らしさを発揮している人は数えきれないほどいます。自分や自分の家族や周りの人や地域や日本や地球に優しい暮らしを提供する仕事をしている人もたくさんいます。「リンネル」という媒体の枠組みを守っても、もっとバリエーション豊かに、読者に「こんなふうに働きたい」と勇気づけるようなページはできるはず。「私も、私らしく生きてるんだ」と自信が持てるようなページもできるはず。これじゃ愛がない。自分の雑誌を真剣に読んでいる読者への愛が、まったく感じられないよ!

 「私らしく」は耳触りのいい言葉なので、特になんの意図もなくテキトーにあちこちに散らばせているように見受けられます。本当の「私らしく」とはどういうことなのか。「リンネル」を読みながら、みなさんも一緒に考えてみませんか。
(亀井百合子)

アマゾンレビューは付録の話ばかり!

しぃちゃん

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