角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第36回

超レア! 現役人気アイドルが見習いとして働く保育園

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ステージさながらの迫力で節分の鬼役を演じて
くれた”つっきー”。さすが、アイドルはエン
ターテイナー

 駒沢の森こども園、大盛況のためバイトを雇うことになりました。新聞折り込みに求人を出すことも考えたのですが、知り合いのツテがいちばん確実だと思い、私はある人に声を掛けました。その人は、経営者として超一流の人。現在はジェイソンマスクをつけた異色のアイドルグループ「アリス十番」などが在籍する芸能事務所を経営しています。ある日、急に思い立ち、経営していた飲食店を閉めて事務所一本に賭けたそうです。私も同じように、ある日突然保育園を始めたわけですから、本気度がなんとなくわかるんですよね。

 年明け、アキバにある「アリス十番」の常設劇場を家族で見に行った時、これは子どもウケ間違いない! と確信し、「アイドル活動優先でいいから、バイトしたい子がいたら紹介して」と、その日のうちに連絡しました。グループに属しているアイドルは超まじめでないと務まりませんし、あいさつもでき、人当たりも抜群にいいことが最低条件みたいなものです。その上、歌やダンスができ、声も大きくて体力もあります。しかもイマドキのアイドルは黒髪ストレートという、親ウケ間違いなしの女の子たち。アイドルでありながら、保育士見習いにもこれほど適した人材はいません。

 それに比べて新聞折り込みは、お金を出したところで、どんな人が来るかわかりません。以前、求人広告を出した際には、たくさんの問い合わせがありましたが、ほとんどが高齢者。高齢者が全員不適というわけでなく、アクティブシニアみたいな感じの方が来たら採用するつもりだったのですが、電車で「絶対、席を譲らないといけないな」という感じの方ばかりで、小さい子どもの世話は怖くてとても任せられません。子育て経験者はわかると思いますが、2歳児ぐらいの子どもは車の危険性をまだ理解していないのに、体力だけはあり、どこに向かって走り出すか親でもわかりません。とにかく保育は体力がないとダメなのです。

 また、年齢が許容範囲であっても、希望が細かすぎて「これじゃ、ほかの会社でも断られてきたよね」という感じの人や、一般常識からかけ離れた人ばかりが来るので困りました。子ども用の机を見たことがないせいか、椅子と間違えて座ってしまう人や、世の中は変わっているのに、バブル時代で感覚が止まっている人、人材を選ぶのは会社であって、面接に来た人は選ばれにきたのに、“選んでやってる”感がある40代後半の人なども不採用にしました。ネタには困らないですが、実際働いたらトラブルの元になりかねません。特に今回は幼稚園教諭免許を持ったキャリアのある保育士が欲しいのではなく、子どもと保護者ウケするまじめな人物に働いてもらいたいだけなのですから。

■アイドルがバイトするのは、珍しいことじゃない!

 結果、アリス十番の月村麗華ちゃんが働くことになりました。「研究生が来てくれればいいな」と思っていたら、この事務所のメインアイドルが来たのです(笑)。ライブを見に行った時、複合ユニットであるアリス十番の中でも一番気になったユニットに在籍する女の子。彼女の事務所の社長から「面接お願いできる?」と言われましたが、「クビにならず在籍しているということは、全てをクリアしているという証拠だから、その日から働いてもらうね」とメールを返信し、当日を迎えたのでした。現代のアイドルは何かあると、すぐ謹慎、降格、解雇ですからね。

 案の定、子どもウケ抜群で、元気に働いています。節分のイベントでは、鬼の全身タイツにジェイソンマスク、ステージと同じテンションで子どもたちは大泣き! まさか、さっきまで優しく温厚な“つっきー”(園でのあだ名)が鬼に扮装しているとは誰も気づきません。

 アイドルがバイト? 実情を知らない人は驚きますが、別に珍しいことではありません。彼女も今までいろいろなバイトをしていたそうですが、芸能活動中心のため、何度もクビになったそうです。アイドルは薄給の割に拘束時間が長く、バイトをしなければ生活が成り立たないのが現実です。ですが、都合よく働ける場がありません。なので、自由出勤の風俗で働いているアイドル、グラドルも多いです……(実際、某グループのアイドルが本厚木のピンサロで働いていることが事務所にバレ、公式ブログに事務所が風俗勤務で契約違反をしたとして解雇した事実を記載した事件もありました)。

 これから事業を拡張するに当たり、バイトを雇うならアイドルに限ると思いましたね。アイドル雇用は、本人にも園にもプラスになりますし、男児はやっぱりかわいいお姉さんが好きなのです。保育園は、お母さん代わりになることはもちろん、お母さんができないこと、家庭ではできないことをやってあげる場所なのですから!

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書に加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では5歳の愛娘の子育てに奮闘中。

「麗華ちゃんがいると、男子が私たちのこと見ないのよね!」(女子の心の声)

しぃちゃん

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