[女性誌速攻レビュー]「美ST」3月号

ホルモンヌちゃんが股をおっぴろげて妊活! 「美ST」人気4コマ漫画の衝撃

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「美ST」2013年3月号/光文社

 「美ST」3月号(光文社)の表紙は、中年女性の星・黒木瞳(52歳)です。いつからかこの方を紹介する時には必ず年齢を付けて、「えっ、○歳に全然見えな~い!」という反応を示さなければならなくなりました。原田17才の逆バージョン、黒木瞳52才です。黒木本人も逆・原田17才化をすっかり自分の芸としているらしく、インタビューで「40代の頃と体調が違うとか、肌が違うなど、鈍感だからでしょうか、あまり感じないので、自分でも自分の年齢に驚いています」と語っていました。捉えようによっては、読者にケンカを売るようなお言葉です。

 早朝の撮影があっても4時起きで弁当を作っているそうで、「一応全部手作り。コロッケなんか多めに作って冷凍ストックに。市販の冷凍食品を使わないのがこだわりです。子供はすぐに大きくなりますからね。母親でいる時間を、自分で楽しんでいるって感じかな」と堂々賢母宣言していました。昨年は、娘がらみでいろんなウワサが週刊誌を騒がせていましたが、そんなことは露ほども感じさせないところは、さすが大女優です。こんなに若々しいのに大女優だから「おトメさん」だって演じてしまう、そんな黒木瞳52才です。

 にしても、先月号の「料理も買い物も全部自分です」宣言の篠原涼子といい、このインタビューページは、多忙な女優による仕事&育児両立のアピールページとなっているのでしょうか。世の女性が背負う重荷を、女優も最前線で背負っているんですね。いやー大変ですわ……。

<トピック>
◎美まっしぐら! ホルモンヌちゃん!
◎特集 チャンス! 40代は最後の“ヤセキ”
◎冬の最強美容アイテム マスク美人への道

■「ガンガンやってればいいのよ」とおっぱいが子宮にアドバイス

 はじめに、「美ST」が生んだ不思議キャラ“ホルモンヌちゃん”の連載マンガ「美まっしぐら! ホルモンヌちゃん!」を見てみましょう。ホルモンヌちゃんは子宮と卵巣をかたどったキャラクター。恋人は“チョコ腹筋”くんです。と説明しても、意味不明だと思いますが、そういう奇怪なキャラが登場し、女性ホルモンの作用について解説するという4コママンガなのです。

 今月号では、ホルモンヌちゃんは妊活に励んでいます。基礎体温を測り、排卵日と思われる日を特定。「チョコくーん、早く早く!」と股をおっぴろげて誘い、チョコ腹筋くんから「狙いもアソコも見え見えなんだよ」とそっぽを向かれてしまいました。女性医師の“パイパイ先生”は、「排卵日にこだわりすぎ。今まで通りガンガンやってればいいのよ」とアドバイスしています。

 こうして文章化すると、キャラのネーミングからストーリーからセリフからかなりイッちゃってヤバい感じなのですが、もう連載20回目を数える「美ST」の看板コーナーなんです。で、何が問題なのかというと、妊活です、妊活。「美ST」の読者は40代が中心。妊活のラストチャンスと言えます。黒木瞳52才(しつこい)にコロッケで母性をアピールされて、子宮キャラは股を広げて妊活をする。そして、特集では「チャンス! 40代は最後の“ヤセキ”」として一生で最後のダイエットを促される。女40代、身体状況も人生模様もバラバラです。

■DaiGo式ダイエット法が斬新

 特集「40代は最後の“ヤセキ”」でも40代女性の状況の複雑さが顕著に表れていました。初めに登場する田中美奈子は、2人の子を出産した後、ダイエットを成功させた秘訣について「家族4人で過ごす時間がいちばん幸せなとき。(略)そんな幸せな時間があるからこそ、ダイエットも頑張れます」と語っています。いるんですよね、何をするにしても“幸せ”と結びつける人。幸せでない人も頑張れますよ。

 かと思えば、読者4人の実体験レポート「『美魔女ダイエット』3週間やったらこんなにやせた!」では、それぞれ体験者に「子育て一段落主婦」「子育てまっ只中主婦」「のんびりマリッジレスさん」「超多忙マリッジレスさん」とキャッチフレーズが付いています。「マリッジレスさん」という呼称、気が利いてるんだか失礼なんだかよくわかりませんし、体験者それぞれに「3年以内に結婚したい」「ダイエットは、婚活の一環」と言わせているのもあからさますぎます。

 「美ST」読者の共通項は、“中年”と“美容マニア”ということだけのはず。それ以外の、こんなに露骨な属性分けは必要なんでしょうか。世の多くの人は、「美しさ」に外見だけでなく、内面的なものや生き方のようなものを期待しがち。しかし、「美ST」に外見の美醜以外の価値観を持ち込むと、返って居心地が悪いと感じてしまいます。「美容をどんなに頑張っても、幸せなブスにはかなわないのかよ!」って。そう思うのはひねくれ者の筆者だけでしょうか。まあ、一般的には、黒木瞳のインタビューを見てもわかるように、外見の美醜だけでなく、自分の美しい生活や人生のストーリィを語りたい(または「美ST」が語らせたい)んでしょうね!

 肝心のダイエットに関する情報は、「朝一番に白湯を飲む」「1日の総摂取カロリーを1500kcalに」といったどこかで聞いたことがあるものが多かったのですが、意外におもしろかったのがメンタリスト・DaiGoの「それでもやせないあなたは『心がおデブ』だから!」というページでした。「トイレの便器にお菓子の写真を貼る」(→食べる気が失せる)、「部屋の内装、服、髪型、通勤経路に至るまで、全てを変える」(→『自分は変わるんだ』という自己暗示をかける)といった斬新なダイエット法が掲載されています。昨年、テレビ番組でパフォーマーとしての悩みを吐露し、引退を示唆するなど、自身のメンタル面が心配されているDaiGo。こんなお遊び企画も生真面目に取り組むから疲れてしまうのかもしれません。

■「私、きれい?」「これでも?」と尋ねるマスク美魔女が出現!

 最近、笑える企画が少なくなった気がする「美ST」ですが、今月は「マスク美人への道」というしょーもない(笑)企画がありました。マスクには保湿効果がある上、頬のたるみや法令線など下半顔の老けを隠してしまうので、マイナス10歳の効果があるとか。その上、ベースメイクが簡単に済ませられ、マスクの白さがレフ板効果で色白に見え、紫外線防止にもなるという最強美容アイテムなのだそうです。そこで、マスク別メイク法を解説しています。「くちばし型」はマスクのラインにつられないよう眉尻は上げ気味に、「プリーツ型」は膨らんで下ぶくれに見えやすいのでシャープな目元に……。ホントどうでもいいんですが、つい見入ってしまうこの企画。確かに、目だけがんばればいいって、美魔女への近道かも!

 「誰にも言えない美魔女の保健室」というコーナーで「尿もれ」が取り上げられ、対策法が解説されています。「30歳以上なら3人に1人、40歳以上となると2人に1人が尿もれといっても過言ではない」とのこと。なかなか興味深い記事です。こういった小粒の良記事ならいろいろとあるのですが、「これぞ『美ST』」といえるような爆発した記事は残念ながらなかったように思います。女40代、求めているものは正論じゃないんです、パッションです。私はどこのカテゴリに分類されるとか、そういう窮屈な世界を打ち破るような、パッション。ハッとしてグッときてドカーンと、意識が変革するような……そう、美魔女のセカンドステージがほしいんですよ。なんて、すっごく無責任に要求しちゃっているのは、それだけ「美ST」への期待が大きいからかもしれません。
(亀井百合子)

しょーもなさが命の雑誌です

しぃちゃん

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