連鎖する恐怖

娘の友人と不倫、親子で薬物所持……セレブに見る機能不全家族の実態

2013/02/07 16:00
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ハルク・ホーガンは息子の事故で一家離散状態……

 近年、「機能不全家族」をテーマにした作品がハリウッドでははやっている。アメリカ人の多くが機能不全家庭に育っているとされており、多くの人の共感を得られるからだろう。「機能不全家族」とは、本来家庭にあるべき「家族だんらん」「健全な子育て」「家族間の助け合い」などが機能していない、問題を抱える家族のことを指す。一見、幸せそうに見えても、夫婦関係が冷え切っていたり、子どもたちが精神的・肉体的な虐待を受けていたり、両親がアルコールや薬物依存の問題を抱えているという家庭が、アメリカではとても多い。

 ハリウッドスターにも、機能不全家庭の出身者が少なくない。現実逃避するため歌や演劇にのめり込んだと公言しているセレブもいるほどだ。今回は、世間に衝撃を与えた、セレブの機能不全家族の実態を紹介したい。

■ジェシカ&アシュリー・シンプソン

 誰もが羨むほど家族仲が良い敬虔なクリスチャン・ファミリーとして知られていた、シンプソン家。元牧師だった父ジョー(54)は2人の娘のマネジャーを務め、見事スターに育て上げた。ジェシカ(32)は父親に絶大な信頼を寄せ、母ティナ(52)とも親友以上のなんでも話せる関係を築き上げていると公言。元夫ニック・ラシェイとの新婚生活を追ったリアリティ番組では、「父が口を挟みすぎている」「嫌な舅」だと視聴者から叩かれたが、ジェシカは父をかばい、離婚後も良い親子関係を保ち続けた。

 しかし昨年、実はジョーとティナが築いていたのは、ウソに塗り固められた家庭だったことが発覚。2人は仕事を理由に長年別居生活を送っていたのだが、その間、ジョーはこともあろうに若い青年たちと浮気ざんまい。それを知ったティナがジョーのホテルに乗り込み、離婚を突きつけたと報じられた。その後、ジョーが8年前に極秘でジェシカに450万ドル(約4億円)の生命保険をかけていたとも伝えられ、彼の黒い部分があらわになり、世間は彼の二面性に失望した。


 両親が離婚することになり、第二子妊娠中のジェシカはティナに、アシュリーはジョーについて、いがみ合いを始め、家族は真っ二つに。昨年のクリスマス休暇も、それぞれに分かれて過ごしている。

■ハルク・ホーガン

 日本でも知名度が高く、プロレス界で最も成功を収めたといわれているハルク・ホーガン(59)。いつまでも美しい妻リンダ(53)に娘ブルック(24)、息子ニック(22)と美形ぞろいの仲良しファミリーで、2005年から2年間、一家を追うリアリティ番組が放送されていた。家族の深い絆、ハルクの親バカぶりを披露し、番組はヒット。しかし、07年8月に息子が同乗していた友人に重い後遺症を負わせるという飲酒運転事故を起こした後に、一家はあっけなく崩壊。家族が起こした大問題に耐えられるほど絆は固くなく、それどころか実はいつ崩壊してもおかしくない機能不全に陥っていたことが明らかになった。

 ハルクは息子の事故を「神が望んだこと」だと発言し、激しくバッシングされた。同時期に娘の友人がハルクと不倫関係にあったことを暴露し、妻と離婚することに。妻はハルクの財産の多くを取ることに成功し、息子よりも若い19歳の青年との交際をスタート。「気持ち悪い」とバッシングされた。

 ハルクの方は、娘によく似たこれまた若い女性と再婚。娘は歌手として活動しているものの、鳴かず飛ばず。ハルクは「離婚の時、自殺しようと考えたほど落ち込んだ」と告白したが、その頃に盗撮されたセックステープが流出。相手は親友の元妻で、親友にお膳立てしてもらったことも明らかになり、家族だけでなく友人関係もおかしいとメディアに書き立てられた。

レイトン・ミースター

 人気海外ドラマ『ゴシップガール』で、ニューヨークのヤングセレブ界の頂点に君臨するブレア役を演じ、大ブレイクしたレイトン・ミースター(26)。実は、彼女が生まれたのは刑務所の中。母(56)は麻薬密輸罪で州立刑務所に服役中だったのだ。父親もまた別の刑務所に服役中で、母親が出所するまでの間レイトンは祖母によって育てられた。両親は、叔母や祖父と共にジャマイカからアメリカにマリファナを運ぶ裏ビジネスをしており、多額の富を築いていたが、母がレイトンを身ごもり、間もなくして全員が逮捕されたのである。

 その後、両親は麻薬密輸から足を洗い、レイトンいわく「良い思い出もあった。ハッピーな時間もあった」とのこと。しかし、彼女は10歳の頃からモデルとして、14歳から女優として休みなく働きだしたことを、「子ども時代が短くて逆によかった。同じ年代の子たちとは、話が合わなくって。誰が誰を好き、嫌いとか本当にバカバカしく感じたし。私は『今月のガス代、払えるかな?』『食料は買えるかな?』ということを心配しているような子だったから」と語っており、子どもに金を稼ぐことを強いるような親だったことを明かしている。

 それでも両親をかばう発言をしてきたレイトンだが、2011年に「病気の弟の治療費として毎月7,500ドル(約66万円)を仕送りしてたが、母が美容整形などに使っていた」と裁判を起こした。母は詫びるどころか「レイトンからの月々1万ドル(約88万円)の仕送りが遅れたから、健康保険を取り上げられたんだ」と逆提訴。最終的にはレイトンの主張が認められ、勝訴に終わったのだが、母娘関係は完全に崩壊してしまった。

 なお、レイトンの兄ダグラスは米空軍アカデミー2年生の頃、泥酔し同アカデミーの女性をレイプしたとして訴えられるという法的トラブルを起こしており、親同様、犯罪者となっている。

■アリエル・ウィンター

 人気テレビコメディ『モダン・ファミリー』に、1話当たり7万ドル(約618万円)という破格のギャラで出演している14歳の名子役アリエル・ウィンター。育ちの良さそうな雰囲気を漂わせている彼女だが、生まれ育った家庭は恐ろしいほど崩壊している。そのことが公になったのは、昨年11月のこと。34歳になる姉シャネルが10月に裁判所に提出したアリエルの法的後見人申請の審理が行われ、「アリエルは母親から叩かれ、罵倒され、食べ物を与えられないなど、身体的・精神的な虐待を受けている」という主張が認められたのだ。母親は親権を失っただけでなく、娘たちから半径91m以上離れるという接近禁止令まで出された。

 母親は「虐待なんてウソ」「5年前に乳がんを患った私は娘の健康に常に気を使っていた」と良き母をアピール。その後、大昔に家を出た父親が「生物学的な父親だから」「常に娘を愛しているし」と、我こそは後見人にふさわしいとしゃしゃり出てきた。両親は「シャネルは自己破産したことがある。アリエルの金目当てだ」と主張したが、彼女の夫はペプシを創設し世界的ブランドに育て上げた貢献者の孫であり、経済的に恵まれている。おまけにシャネルも約20年前、児童相談所から「母親の虐待を受けている」と判断され救済されていたも明らかになった。その後、彼女は母親から隔離され、里親の元で育てられ、実親とは絶縁したという。

 母親は「彼氏のキャメロン・パラタス(18)と『セックスしちゃダメ』だと言ったことに、アリエルは怒っている」と主張したり、シャネルからアリエルを奪い返すためにシャネルのヌード写真を流出させようと水面下で動くなど、母親とは思えぬ言動で世間の批難を浴びることに。「私は、娘がリンジー・ローハンみたいにならないようにと、見守っているだけなのに」と弁解するものの、崩壊した機能不全家族が元に戻ることはないだろうとみられている。

■ライアン・オニールと子どもたち

 1960年代のハリウッドを代表するプレイボーイ俳優だったライアン・オニール(71)が、自分が築いた家庭が救いようのないほどの機能不全だと公言したのは2011年のこと。上の子3人との親子関係は最悪でケンカや騒動が絶えず、そのことが最愛の女性、ファラ・フォーセットを精神的に苦しめ「ストレスからがんを発症したんだと思う。自分の機能不全家族が、ファラの命を奪ったんだ」と涙ながらに告白したのだ。しかし、世間はこれを冷ややかな目で見ていた。

 なぜなら05年に長女テータム(49)が自叙伝を出し、長男グリフィン(48)と自分がごく普通の人生を送れないのは悲惨な子ども時代を送ったからだ、と暴露したからである。「父は暴力的で、虐待されながら育ったトラウマを抱えている」「10歳前後でドラッグにハマったのも父のせい。家中に、父の麻薬があったから」と明かした彼女は、9歳の時、父と共演したデビュー作『ペーパー・ムーン』でアカデミー助演女優賞を受賞したが、10歳前後で薬物・アルコールに手を出し、13歳で自殺未遂を繰り返すように。元テニス選手ジョン・マッケンローと結婚し、3人の子どもを産んだが離婚。重度のヘロイン中毒だったため親権も失い、私生活は今なおボロボロだ。

 同じく薬物トラブルの絶えないグリフィンも「11歳の時に父からドラッグの手ほどきを受けた」と告白。姉同様、薬物依存から抜け出せない彼は、86年にボートを無茶苦茶に操縦し、フランシス・フォード・コッポラ監督の息子を死なせるという事故を起こしている。父子関係は最悪で、口ゲンカの末にライアンがグリフィンに銃を発砲して逮捕されたこともある。

 ライアンはドラッグ依存だったことを認めているが、「子どもたちは自分の人生がうまくいかない理由がほしくて、オレのせいにしている」と断言。良い父親だったと自叙伝を執筆したが、2番目の妻との間にもうけた次男パトリック(45)を含む3人の子どもたちは「大ウソだ」とコメント。11年夏にはテータム、グリフィンと親子関係を改善する道のりを描いたリアリティ番組を制作したが、数カ月後に「あれは番組。和解なんて、実際はそう簡単にいくわけない。娘との関係は前よりも悪くなった。ひどいもんだ」と、あっさりと告白。

 なお、ファラとの間に生まれた三男レイモンド(27)とは比較的仲が良いが、彼も薬物依存に苦しんでおり、08年にはライアンとレイモンドが親子揃って薬物を所持していたとして逮捕。レイモンドは有罪になり刑務所に入ったため、ファラの臨終に立ち会うことができなかった。

 ライアンは慢性白血病、前立腺がんと立て続けに闘病しているが、子どもたちは父親から受けたひどい仕打ちを決して許そうとはしない。

最終更新:2013/02/07 16:00
『機能不全家族』
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