『子育て主夫青春物語』堀込泰三×叶井俊太郎対談(後編)

出世の妨害、世間の偏見!? 男性の育休取得のハードルはなぜ高い

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主夫ともだちと積極的に交流し、楽し
みながら育児をしている堀込さん

(前編はこちら)

―—堀込さんは実際に育休を取得されていますが、男性の育休取得率が低い要因は、どんなところにあると思いますか?

堀込 私が2年間の育児休業を申請した時、上司に言われた言葉は「同期に置いていかれるぞ」「人生設計どうなってるんだ」でした。それはイヤミではなく、親身になって心配してくれたんです。それで、1~2時間ずつ、3回も話し合いをしたんですよ。最終的には認めてくれたんですけど。そこを乗り越えてまで取得したいと思う人が、少ないのではないでしょうか。

叶井 3回も話し合ったの!?

堀込 はい。でもそれはもう6年くらい前の話で、徐々に企業や社員の意識も変わってきたようです。逆に男子学生が就職面接で「育休取れますか」と質問することもあるらしいですよ。

――「イクメン」ブームも、意識を変える後押しとなったんでしょうね。

堀込 最初は「イクメン」という言葉にアレルギー反応があったんですけど……。

叶井 俺も抵抗あります。自分が好きで育児をしてるんじゃなくて、流行に乗っかって奥さんにイヤイヤやらさせられてる感じがする。俺は、娘が楽しそうにしている姿を見るのが好きだから。それがないと続かないですよね。

堀込 でも、いろいろ聞いていくうちに、日本を変えていこうと真剣に考えた上で仕掛けられたものだと知り、今はそういう言葉も必要だと思っています。ただ、僕が参加している主夫サークル、イクメンサークルでの話を聞くと、仕事しながらのイクメンの中には、この言葉のせいで悩んでいる人もいるそうです。奥さんの要求がどんどん高くなって、「○○さんの旦那さんはイクメンだから、こんなにやってるよ」と言われるそうなんです。父親の産後うつ“パタニティブルー”という現象まであるとか。逆に、育休を取った男性で悩む人は少ないですね。子育てに悩む人と楽しんでる人が二極化しています。

――堀込さんは、育休を取れない奥さんの代わりに育休を取ったことで、初めて子育ての楽しさを知ったんですよね?

堀込 はい、生まれる前は、子どもは好きじゃなかったんです。それがこんなにハマったんですから、子育てをしてないお父さんも、こうなるポテンシャルはあると思います。こんなに楽しい機会を逃しているのはもったいない。

叶井 俺も初めは興味なかったね。娘中心の生活になったのは、1歳くらいからかな。今は女性にも興味ないし、飲みにも行きたいと思わない。毎日6時には帰ってる。とにかく娘中心。

堀込 僕は、楽しさがわかるまで2カ月かかりました。1カ月では大変さしかわからない。それを乗り越えて2カ月たって、やっと楽しくなるというのが持論です。だから、もし育休が取れるなら、最低でも2カ月取ることをおすすめします。そこで楽しくなれば、生き方が変わるかもしれない。

叶井 でもさ、それから会社を辞めるっていうのはすごいよね。

堀込 自分としては、そこまで重大な決断をしたという感じはないんですよ。退職する前に、妻と子どもがアメリカ、僕が単身赴任で日本にいた時期があったんですが、ちょうど上の子が毎日のように新しい言葉を覚える時期だったので、その成長をそばで見たかったんです。僕の場合は、まずライフスタイルがあって、それをかなえるために働き方や職業を変える、というスタンスですね。

――一般に男性は、一度就いた職業や立場を変える柔軟性はあまりないですよね。

堀込 それは、大黒柱の人が多いからでは。うちはたまたま妻が働いているからできるわけで、必ずしも誰もができるわけじゃないと思います。

叶井 そうだね。男が子育てするには、奥さんが稼いでるっていうのは大きいよね。

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パパ友・ママ友がいない叶井さんは
幼稚園入園で状況打破を狙う

――妻が稼いで、男が主夫をすることに対して、周りはどう見ていますか。

叶井 俺は社長をやってた会社の負債で自己破産して、無職だった時期が半年ぐらいあったけど、すごくバッシングされていたし、それがおもしろかったですね(笑)。でも児童館に行くと、「なんで平日に男親がいるの?」と不審がられてたけど。

堀込 長男が生まれた時に参加した子育てセミナーで、50~60代くらいの女性講師から「今日はお父さんも来ていますが、子どもにとってはママが1番、パパは2番」と嫌みっぽく言われたことがあります。「うちの子はそんなことはない」という自信があったんで、途中で帰っちゃいました(笑)。

叶井 そんな固定観念を持ってる人が講師なんてひどい! 俺は、どうしても都合がつかなかったとき、会社に子どもを連れて行ったことがある。「ごめん、気にしないで」って。社員は別に「ああ、来てんの」って感じだったね。俺は周りの目なんて全然気にしないし。こっちのペースに持って行かないとさ、育児は楽しめないよね。

――これだけ育児に楽しんで参加しているのに、お2人ともママ友作りには苦労されていますね。男親の孤独はそこにもあるような気がしますが……。

叶井 ママ友の領域に男が入るのは、イヤなんじゃないかな。「最近ヤッてる?」とか下ネタも話せないし(笑)。

堀込 僕は、上の子が生まれたばかりで日本にいた時は苦労しましたね。結局、仲良くすると旦那さんが不審がるんじゃないかと心配なんでしょうね。こちらとしてはママ友が欲しいわけでなく、子育て仲間が欲しいんですよね。男性が少ないから、「ママ友」になるだけで。アメリカに行って、日本人家族が集まりやすい環境になり、家族ぐるみの付き合いを経て、ようやく一緒に出かけるようなママ友ができましたね。

叶井 そう。もっと子どもの話を共有したいんです。でも、親子カフェなんかで奥さんと話しても、俺の素性がわかると引いちゃうんですよね。600人斬りとかね……。だから、4月から娘が通う幼稚園で、すでに役員に立候補してるんです。役員になれば、自動的に話す機会が増えるでしょ。今はホント、ママ友もパパ友もいないので……。堀込さん、パパ友になりましょう!

堀込 はい、よろしくお願いします!
(取材・文/安楽由紀子)

堀込泰三(ほりこみ・たいぞう)
1977年千葉県生まれ。東大大学院を経て、自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2007年長男誕生時に、2年間の育児休業を取得。その間、夫人の仕事でアメリカに渡るものの、育休が終了したため単身帰国。その後、育児に専念するために退社し「子育て主夫」に転身。現在は翻訳家として在宅で働きながら2人の息子を育てる。

叶井俊太郎(かない・しゅんたろう)
1967年東京都生まれ。映画『アメリ』などを手掛けた映画宣伝プロデューサー。バツ3・600人斬りを経て、2009年にマンガ家倉田真由美氏と再婚。倉田氏の連れ子「まー」くん、愛娘「ココ」ちゃんの育児奮闘は『突然、9歳の息子ができました。』(小社刊)に詳しい。代表取締役を務めていたトルネード・フィルムを破産手続きし、10年4月~9月まで無職になり、子育てに積極的に参加。会社員となった今も、率先して子育てをしている。

会社員でも育児に参加はできるはず

しぃちゃん



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