『子育て主夫青春物語』堀込泰三×叶井俊太郎対談(前編)

東大卒の主夫と元ヤリチンが、男の育児参加を阻む“見えざる壁”を語る

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「母乳以外はパパ・ママという性別は関係ない」と話す堀込さん(左)と
叶井さん(右)

 厚生労働省によると、2009年10月~10年9月までの育児休業取得率は、女性87.8%に対し、男性は2.63%。「イクメン」ブームなどの影響で育児に興味を持つ男性が増えてきたとはいえ、まだまだ少数派と言わざるを得ない。

 『子育て主夫青春物語』(言視舎)を上梓した堀込泰三氏は、仕事の都合で育休が取れなかった妻に代わり、大手自動車メーカー在籍中に2年間という異例の長期育休を取得。職場復帰後しばらくして育児に専念するため退職したという主夫経験者だ。そんな堀込氏と、マンガ家・倉田真由美の夫で、サイゾーウーマンで育児日記を連載中の叶井俊太郎氏が、男性の育児参加を阻む見えざる壁について語り合った。

叶井俊太郎氏(以下、叶井) 俺ね、パパ友が欲しかったんだけど、子育てしてる男性を児童館や子育てカフェで見かけないんですよね。堀込さんは、今は主夫なんですか。

堀込泰三氏(以下、堀込) 今年度から子ども(5歳男児、1歳半男児)が保育園に入り、今は自宅でフリーランスで翻訳の仕事をしています。子育ての責任者は10:0で私。1人目の時は育休中なので仕事をしなくてよかったんですが、2人目は夜中に仕事をしていたんで大変でしたね。家事は、妻(大学研究員)と分担しています。

叶井 うちは、平日は妻が家で仕事をしながら娘(3歳2カ月)を見ていて、妻に取材や打ち合わせが入ったら、俺が仕事を持って帰って、家で娘の面倒を見てます。土日の育児は俺がメインですね。1歳半の子は母乳ですか?

堀込 ミルクと半々でしたが、今はもう卒乳しています。

叶井 早! うちはまだ寝かしつけに母乳がないと絶対寝ない。妻が泊まりがけの仕事の時は、夜中3時くらいまでずっと泣いててキツいんですよ。疲れている時も母乳に関係なく、すぐママのところに行っちゃう。

堀込 うちは完全にパパっ子です。特に上の子は、僕にぴったりくっつく感じです。

――お2人とも、一時期は仕事をせずに完全に主夫だった時期がありますが、男女の役割が100%入れ替わることはできると思いますか?

叶井 母乳の問題さえなければ、全然できるよ!

堀込 できますね。ママかパパかというより、関わってる時間の長さによって違うのではないかと思います。

叶井 それはあるかも。うちは関わってる時間は妻の方が長いから、ママに行っちゃうのかもしれないね。

堀込 うちは、妻の職場近くに住んでいるんで、夕飯は妻が帰ってきて一緒に食べますが、その後また仕事に戻って帰宅は夜中。だから、子どもの寝顔を見るだけの、いわゆる“お父さん”になっちゃう。それは母親として寂しいだろうなと思うんです。だから、なるべく妻と子の時間を確保することが僕の課題。なので、高い家賃を払ってでも妻の職場の近くに住み、散歩がてら授乳させるために通っていました。

――一般的な夫婦だと、育児を全面的に担う妻が「私はこんなにやってるのに……」とストレスを抱え込むことがよくあるのですが、堀込さんはそういうストレスはありますか?

堀込 ないですね。子育てに関しては、全部任せてくれた方がありがたいと思っています。

――ということは、育児においては、夫か妻かどちらかがイニシアチブを取るべきということでしょうか。

堀込 いえ、うちは全然方針が違いますけど、十人十色でいいと思っているので、どちらがイニシアチブをとるかは気にしていません。たとえば、妻は子どもの食べ歩きを注意しますが、僕だけしかいない時は構わずさせています。世の中にはいろんな考え方の人がいることを、一番小さい社会である家庭で学べるのはいいことだと思っています。

叶井 うちも、娘はお菓子が好きだけど、妻は禁止してるんです。だから、俺は妻がいない時に「今のうちに食べろ」とあげちゃう。

堀込 そんな感じです。ただ、「夫婦で方針が違ってもいい」ということは、共有していた方がいいかもしれないですね。

――育児の方針が合わないというのは、夫婦がもめる理由の1つです。妻は夫に育児参加してもらいたいけれども、イニシアチブは自分が取りたいと考えているのかもしれません。

堀込 そうですね。「門番ママ」という言葉があるんですが、せっかく旦那が家事や育児をしようとしても、門番みたいに「それはダメ、あれはダメ」と口を出す奥さんがけっこういるそうなんです。それで、旦那さんが怒って「じゃあ、やらない」ということになる。任せる時は、全面的に任せた方がいいと思います。

叶井 わかる! 自分のやりかたを押し付けられると、やりたくなくなるよ。
(後半に続く)

堀込泰三(ほりこみ・たいぞう)
1977年千葉県生まれ。東大大学院を経て自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2007年長男誕生時に2年間の育児休業を取得。その間、夫人の仕事でアメリカに渡るものの、育休が終了したため単身帰国。その後、育児に専念するために退社し「子育て主夫」に転身。現在は翻訳家として在宅で働きながら2人の息子を育てる。

叶井俊太郎(かない・しゅんたろう)
1967年東京都生まれ。映画『アメリ』などを手掛けた映画宣伝プロデューサー。バツ3・600人斬りを経て、2009年にマンガ家倉田真由美氏と再婚。倉田氏の連れ子「まー」くん、愛娘「ココ」ちゃんの育児奮闘は『突然、9歳の息子ができました。』(小社刊)に詳しい。代表取締役を務めていたトルネード・フィルムを破産手続きし、2010年4月~9月まで無職になり、子育てに積極的に参加。会社員となった今も、率先して子育てをしている。

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