[女性誌速攻レビュー]「美ST」2月号

「美ST」誌上で、大久保佳代子が驚異の41歳であることが明らかに!

2013/01/11 16:00
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「美ST」2013年2月号/光文社

 「美ST」2月号(光文社)の表紙は、篠原涼子。毎月表紙の女優について評する齋藤薫のコラムでは、相変わらず「希有な人」「男を虜にする」「女たちの憧れ」とヨイショしまくってます。その中に次のような一文がありました。「基本的にはシッターにも誰にも頼らず、“子育て”も“家事”も完璧にこなす姿が、自らも子育てをしてきたインタビューアーを感動させた」。篠原には4歳の長男と2012年2月に出産したばかりの次男がいます。それでいて、9月放送のドラマで仕事復帰も果たしている。それでもシッターに頼ってないって、一体どういうこと!?

 篠原のインタビューでその詳細が明かされるのかと思ったら、内容は、“ネイルサロンに行ってカルジェルデビューした”という話に字数の半分を費やし、あとは「ヨガにはほぼ毎日行きます」「料理も買い物も全部自分です」というドヤ顔話。だ~か~ら~、幼稚園児と乳児がいて、シッターに頼らないで、仕事やヨガの時間をどうやって作ってんの!? 「美ST」読者は美容に興味があるのは当然ですが、「その時間をいかに捻出するか」という点にも興味があるはず。

 仕方ないから筆者が自分で調べてみましたよ。「女性自身」2012年10月16日・23日号(光文社)に「篠原涼子 復帰の陰にあった『還暦過ぎ超イクメン夫の献身』」という記事がありました。24歳年上の夫・市村正親は息子たちのためなら「労を惜しまず、何でもやっている」そう。また、「BAILA」2012年5月号(集英社)には、市村自身のこんなコメントがありました。

「家では、お父さんを頑張ってやってますよ(笑)。下の子のおむつを替え、上の子の遊び相手をして、ベランダガーデンの野菜や花々に毎日水をあげて……。子どもを育てるって本当に大変だよね。だから、育児疲れで妻が少しストレスを感じているかなというとき、できるだけ笑顔でいるようにしています」

 市村も舞台やドラマに忙しそうですが、夫婦2人で助け合ってそれぞれの時間を作っているんですね。「育児に疲れた……」とこぼす妻を笑顔であたたかく見守る爺、いい話じゃないですか。そういう話、語ってほしかったな。

<トピック>
◎新40歳は、頑張って当たり前“動じないい女”
◎特集 40代は「美容医療と真剣交際中(はぁと)」
◎I can Do it! 「美に効く資格」取れちゃった♪

■今、一番輝けるワタシたちは“DKJ48”

 昭和47年、48年生まれに注目した「新40歳は、頑張って当たり前“動じないい女”」という企画が掲載されています。「美ST」ではこの世代を「DKJ47、DKJ48(=団塊ジュニア)」と呼び、競争が激しく、受験や就職など人生の局面をたくさん乗り越えてきたので、「何事にも動じない強さ」が身に付いていると解説。そして、DKJ女性5人が登場し、自分のライフスタイルや目標などを語っています。5人の肩書きは、それぞれ「トレンダーズ代表取締役」「主婦・サロン『Kahua』主宰」「弁護士」「マナーコンサルタント」「主婦」。「仕事も家庭も綺麗でいることも、全部叶えられる良い世代ですよね」「若い頃に日の目を見なかった分、今が一番輝ける世代なのかも」と余裕しゃくしゃく。これが“動じないい女”ということなのでしょう。

 筆者もドンピシャで昭和48年生まれですが、彼女たちの言葉に1つも共感できませんでした! そもそもこの企画の目的は何でしょうか。「輝いている美人社長や美人サロン主宰の生き方を見て、おまえもがんばれよ」と、いいたいのでしょうか。大きなお世話じゃ。女40歳、散々がんばってあれこれ手を尽くした結果が、今ココ、このザマなんですよ。多くのベビーブーマーたちが力強く時代の荒波を乗り越えましたが、それ以上に多くのベビーブーマーがそうでもない人生をもや~っと漂っています。人口が多いってそういうこと。「頑張って当たり前」とか言われたくないです、ま・じ・で。

 ……という僻み根性は冗談半分として、こういった世代論は外側から見て楽しむものであって、その世代のど真ん中にいる人間は、いまひとつピンとこないものだなというのが実感です。「負けず嫌いで真面目な努力家が多いが、頑張りを見せたくない一面も」と言われても、そうでないようなそうであるような。ていうか、それは世代の特徴というより、「美ST」や「STORY」読者の特徴では? 雑誌の読者には世代を超えて共通するモノがあります。特に主張の強い光文社の女性誌には顕著だと思います。

■美しすぎてビックリ!

 特集「40代は美容医療と真剣交際中(はぁと)」を見てみます。折に触れて美容医療を推す「美ST」ですが、「美STファミリー77人」を対象にしたアンケートの「行きつけの美容皮膚科はありますか?」という質問で「YES」と答えた人は、たった18人しかいませんでした。「美STファミリー」がどういう属性なのか詳細不明ですが、4分の3は「NO」。もっともNOと答えた人でも「美容医療体験者は比較的多い」と書かれています。「比較的多い」ということは、すごく多くはないということです。

 なので、この特集にどれだけ需要があるのか計りかねるのですが、興味のない方も体験取材した新田恵利(44歳)、大桃美代子(47歳)、大久保佳代子(41歳)のスッピンは必見です。新田と大桃は、えーとまあ年相応なのですが、大久保の若さは驚異的! 色が白くて一点の陰もなく、なだらかなゲレンデのよう!! しかも、テレビで見る顔と素顔の落差がゼロ。世の女性誌は平子理沙を“驚異の41歳”などと崇めていますが、あんなに作り込んだおてもやん美女は中年女が目指す方向性とは違うはず。これからは、乙女のゲレンデ・大久保を“驚異の41歳”と敬うべき。私たちが憧れるべきは大久保佳代子です!

 てなわけで、100万人を超える昭和48年生まれ女子がいよいよ今年40歳を迎えるということで、今月号は“ここで稼がにゃいつ稼ぐ”的な意気込みをひしひしと感じる「美ST」でした。「I can Do it! 『美に効く資格』取れちゃった♪」という企画では、「名刺にさりげなく入っている『○○セラピスト』とか『××アドバイザー』みたいな肩書き、カッコいいですよね。(略)いざ、40の手習い。始めてみませんか?」という趣旨のもと、「アイブロウスタイリスト」「心理フレッシュフラワーアドバイザー」「小顔リンパセラピスト」など数日の講習で取得できる資格を紹介しています。

 費用が10万円以上かかるものもあるのですが、趣旨の通りごく趣味的な資格なので、就職に生かせるわけではないようです。12万4,750円かけて、7時間の講座を3日間受けて「インディアン チャンピサージ」なんて聞き慣れない資格なんて……。「美ST」が対象としているネオバブリーな「DKJ」と大きな格差を感じずにはいられない「DKJ(ダメ・かもしれない・女子)」の筆者ですが、「DKJ(だけど・こんな・自分が好き)」なので、根っこはみんな同じなのかもしれないですね。
(亀井百合子)

最終更新:2013/03/05 22:22
『美ST』
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