[女性誌速攻レビュー]「STORY」2月号

「STORY」礼服企画、「K應のお母さんのヒールは●●」という細かすぎる規則


「STORY」2013年2月号/光文社

 「STORY」2月号(光文社)は、まず、林真理子の連載コラム「出好き、ネコ好き、私好き」からご紹介したいと思います。見出しは、「どんなに美しい40代でも、やっぱり忘れちゃいけない希望と諦めのバランス」。なんだか「STORY」読者にケンカを売っているような言葉です。内容は女性ストーカーについて。林真理子は「女性ストーカーの心根がしみじみとわかる」とのことで、“元カレ”らにストーカーに間違われた衝撃の過去を明かしています。しかしながら、書くことでガス抜きができているので、本物のストーカーにならずに済んでいるそう。男性の誉め言葉を「お世辞だとわかっていても心ははずむ。が、心のタガをはずしたことはない」と述べています。

「『何のかんの言っても、おばさんだもん』という諦めと自己認識が私の中にはあるためだ。たいていの女が、この諦めと、『頑張ればもっとイケるかも』という希望とのバランスを保って今日も生きている。そのバランスを保つのが、むずかしい世の中になってきたのは確かなのである」

 と、最後は結んでいます。要は、40~50代でもまだイケると「STORY」をはじめとするメディアが吹聴したせいで、おばさんが勘違いしがちだから、どんなに美しくても「おばさん」という自覚は持っておけよ、ということですね。

 しかし、筆者は「おばさんだもん」という言葉は諦めの言葉ではないと思っています。振り返れば、若い頃はもっとたくさんの諦めの言葉を吐かざるを得ませんでした。ブスだもん、デブだもん、チビだもん、ズボラだもん、性格悪いもん……イケてない自分を認識するたびに自己嫌悪に陥っていました。しかし! 四十路目前の今は、すべてを「だっておばさんだもん」と、年齢のせいにすることができるのです。「おばさん」は諦めではなく、自分を楽にするためのマジックワード。林真理子も、ほかの欠点から目をそらすために、「おばさんだもん」と言っているのでは……と思わずにはいられません。若かったらイケてたんですか?

<トピック>
◎特集「カジュアルを極めた40代の、BACK TO コンサバ宣言!」
◎東京・大阪「プレプラ族」が街に溢れ出す!
◎コーデ不要「ずぼら服」が、朝を救う!

■ファッションの問題じゃないから!

 林真理子のコラムだけではありません。「STORY」を読んでいると、上記のような、問題の本質から視線をずらそうとしているような感覚をところどころで覚えました。例えば、特集「カジュアルを極めた40代の、BACK TO コンサバ宣言!」を見てみましょう。最初のページに次のような説明文があります。

「今、40代は流行ものを軽やかに取り入れ、カジュアルスタイルはお手のもの。だからこそ、いつもの自分とは違う特別な時間、非日常へと誘ってくれるのが、コンサバ服。今やコンサバ服は、何かの役割のために着るのではなく、大人として、女として、自分を楽しむための服なのです」

 つまり、子育て中のママはふだんはカジュアル服が中心ですが、観劇や自分磨き、女子会など「自分時間へのスイッチ」としてコンサバ服を活用しましょうと提案しているのです。登場する読者モデルたちは、日常ではカジュアル服を着て、子ども相手にいかに奮闘しているかを語り、たまのコンサバ服がどれだけ女性としての自分を保つために役立っているかを、これみよがしに語っています。

 さらに、「新40代ママvs.先輩ママ、私たちとはこう違う!」というミニ座談会コーナーがあり、「私たちが子育て真っ最中のときって、自分のために着飾って外に出るなんて考えられなかった」「子供を預けて遊ぶって後ろめたい空気があった」(先輩ママ)、「新世代ママは子育ても大事だけど、自分時間も大事なんです」「ママでもオシャレして出かける機会があると、気分も上がるし子育ても一層楽しくなるから」(新40代ママ)なんてことまで語らせています。

 ちょっと待った! 冷静になって考えてみてください。「自分時間へのスイッチ」をオンにしてくれるものは、コンサバ服でも、預けても平気な子どもでもありません。スイッチはアレですよ。アレ。夫。夫を抜きに自分時間は語れないでしょう。それは、新40代ママだろうが先輩ママだろうが同じです。休日に子どもの世話を任せても、あるいは託児所代をねだっても、コンサバ服やケリーやルブタンを身につけてもブチブチ文句を言わない夫がいなければ成り立ちません。

 大半の読者は、この特集を読んで「こんな服がほしい」ではなく「こんな時間を許してくれる夫がほしい」という感想を抱いたことでしょう。そこから目をそらすための仕掛けとなっているのが「コンサバ」という語。コンサバとは、保守的な、無難なファッションということです。誰でも一着くらいタンスに眠っていることでしょう。ファッションとしてのハードルの低さで、“夫を説得すること”も難なくできそうに感じさせるつもりが、却ってハードルの高さを際立たせたように思いました。この特集を見せておねだりとかするのかな。

■Yahoo!知恵袋やOKWaveでも定番ネタだよね

 同じ特集内の企画なんですが、「“ザ・コンサバ”なセレモニー服も、着回し重視で選べる時代です」という企画も衝撃的でした。卒業式の礼服のおしゃれや日常での着回しを提案しているのですが、「幼稚園や厳しい私立の小学校は、紺スーツが定番」、「小学校からはツイードも解禁」、中学、高校になり「周りの目が厳しくなくなれば、パンツスタイルもOK」、「大学生ともなると、親のスタイルはくだけすぎていなければ特段ドレスコードはなし」「パテントのヒールは高校まで無理」「K應のお母さんたちのヒールはジミー チュウ」と子どもの所属によって細かいドレスコードがあるそうなんです。もちろんそれは学校側が明言している規則ではなく“周りの目”を意識してのもの。

 子どもの晴れ舞台なのに、ほかの母親のヒールが黒か紺か互いにチェックし合うような学校(小学校は黒は×)は、さぞセレブで格式が高い学校なんでしょうね。でも、それも「子どものためだから」と無理して入ったんですよね。子どものためにもかかわらず、そこでわずかでも自分らしさを追求しつつ、大枠ではほかと横並びしたいという矛盾。礼服をランチやデニムなどに合わせて普段着としても着回そうとする感覚。ボスママに成長した高校、大学では白ジャケットにパンツや、コートふうのツイードジャケットにパンツと、素人目にもくだけすぎていて卒業式の目的を見失ってるとしか思えません。一体何がしたいんだ!?

 「STORY」的世界には夢があります。子育てを一生懸命頑張って、たまに自分磨きをして、子どもは有名私立校に通って、やさしい旦那様がいて、キレイな私がいる。夢いっぱい。なのに読んでいると頭に思い浮かぶのは、子育てに疲れて、背伸びして頑張って入った学校でママ友付き合いに疲れて、毎晩帰りの遅い旦那に溜息をついている読者像なのはなぜでしょう。多分……がんばりすぎなんじゃないかな。読んでつらかったので、もう少し肩の力を抜いてほしいと願います。
(亀井百合子)

ババアになっても抜け出せない、「お揃い」の魔

しぃちゃん

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