[TVツッコミ道場]

『笑神様は突然に…』で気付かされた、瞬間的“面白さ”を伝える難しさ

2013/01/10 11:45
小原正子公式サイトより

 今回ツッコませていただくのは、1月1日放送の『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)。これは「芸人のプライベートに笑いの神が降りた瞬間ベスト10」として、昨夏に「サタデーバリューフィーバー」枠で放送された企画の第二弾だ。

 今回の出演者は「楽しい鉄道マニアの旅」(中川家・中川礼二、ななめ45°・岡安章介、宮川大輔など)、「チーム女芸人」(友近、クワバタオハラ・小原正子、ハリセンボン、アジアン・馬場園梓、森三中・大島美幸)、「チーム・タカ軍団」(オードリー・春日俊彰、アンガールズ・田中卓志、初恋タローなど)だった。普通のバラエティ番組だったら、それぞれをコーナーに分けて、時系列で追う流れが一般的なのに、この番組の斬新なところは、3つの班を全部ひとまとめにして、「瞬間」だけを切り取っているところ。

 つまり、時間軸もゴチャゴチャで、1回も映像が流れない班もあり得るし、ランキング下位から発表していった結果、「出発」が最も面白かったなんてオチになることもあり得るわけだ。でも、雑誌記事などの場合も、時系列で流れに沿ってまとめたものよりも、印象的な部分だけを抜き出して掘り下げたものの方がたいてい面白いもの。そう考えると、この手法は手抜きに見えて、案外良い手法なのかもしれない。

 そんなことを考えながら見ていたのだが、実際に紹介された内容は……。

■鉄道博物館で「鉄神様」と言われる人に遭遇した後、出会ったのは、ホンモノの牧師さんだった(信仰していたのは“鉄神様”ではなく、神だった)
■初恋タローが誰なのかわからない一般の人たちの「○○タロー」→「ゆうたろう?」「つぶやきタロー?」という珍解答
■ハリセンボン春菜の謎のダンス(ガールスカウトのダンス)
■春菜が今一番したいのは、イチャイチャすること

 などなど、わりとどうでもいいグダグダな内容ばかり。さらに、2位になったのは、泥酔してどんどん服を脱いで薄着になったクワバタオハラ・小原の「ニップレスを外して見せた乳首」。そして、輝ける第1位は「アンガールズ・田中の驚きの育毛法(ハゲに、お母さんが手作りしてくれたショウガ汁をかける)」。

 ああ……。そういうもんだよね……。

 飲み会などで、涙を流しながら腹がよじれるほど笑ったことを、翌日誰かに話してみると、「で?(キョトン)」という顔をされることって、結構あるもの。「笑いの神が降りた瞬間」って、その場で共有している空気がとっても大事であって、時間がたったり、別の場所に持って行ってしまうと、単なる下ネタで終わってしまうこともしばしばある。きちんと保存しておかないと、カビが生えたり、誰も食えなくなったりすることだってあるのだ。それはそれで面白いけれど。

 画期的に見えて、その実、本当にグダグダだった『笑神様』番組。ある意味とっても正月らしく、内容が全くなく、良い番組ではあったのかも。
(田幸和歌子)

最終更新:2013/01/10 11:45
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