[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」2月号

「CLASSY.」のベタな設定は、シチュエーション萌えしたい男女の現れ?

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「CLASSY.」2013年2月号(光文社)

 「CLASSY.」(光文社)のテーマは、ズバリ“本命彼女”。媒体資料によりますと「仕事でもプライベートでも、圧倒的な存在感と美しさを保ち、『幸せ』になるための自分磨きを怠らない女性――それがCLASSY.読者」ということです。「圧倒的な存在感」「美しさ」「自分磨き」……現代男性を引かせる三種の神器ですね。で、そんな彼女たちの努力のゴールはもちろん「結婚」。ですので誌面も「いつものアウターをデート仕様に」「今年こそ結婚できるメーク」「男はみんなニットワンピが好き」など、「本気出した」感に溢れております。ホンネとしてはあるもののストレートに出すことは躊躇される、「とにかく(いい男と)結婚したい」という思いを、ここまでぶっちゃけられるのも「CLASSY.」ならでは。熱い思いと現実が絶妙にズレていくさまを観察させていただきたいと思います。

<トピックス>
◎まだまだ冬のオシャレは終わらない!!
◎男はみんなニットワンピが好き
◎今年こそ結婚できるメーク

■おっさんたちの妄想が過ぎます!

 季節の二歩も三歩も先を行くのがファッション業界のお約束ですが、今月の特集は「まだまだ冬のオシャレは終わらない!!」。これからが冬本番、という当たり前の事実に目を向けた企画です。「教えます!いつものアウターをデート仕様にする方法」では、ダウンジャケットやムートンコート、ダッフル、ピーコートの格上げコーデをそれぞれの妄想デートシチュエーションごとに提案しています。一部をご紹介しますと、

「散歩の途中に立ち寄ったお気に入りの北欧カフェで甘いハニーラテを一杯。ほっこり温かなこの空間、リラックスできるんだよな」
「ムートンブーツって暖かいね。モコモコ気持ちいいから、寒くなってくるとついつい履いちゃう。今日だって、ほらお揃い!」
「後輩たちを応援しに、懐かしい外苑の競技場へ。シーソーゲームに大興奮!最後、逆転されちゃった…でも、いい試合だったね」

 「CLASSY.」女子はこういうデートをご所望なんですね。「ちょっと寒いからイチャイチャしちゃう?」的な。二人で特別な時間を楽しみたい……乙女チックを捨てきれないアラサー女子たちの欲望が垣間見えます。いいね! ベタだね! ちょっとおっさんの妄想入ってるけどね!

 女性誌の妄想が爆発する企画としては「着回し○○days」もテッパンですが、「CLASSY.」のそれもまたベタofベタ。まとめると……“29歳の女性が念願の旅行ライターに。巻頭企画を任されはりきる彼女の前に現れた、超絶イケメンで仕事も出来る無口なカメラマン! とっつきにくくて、しかも無愛想で、あんなヤツ全然好きじゃないし……だけど、なんでだろ、どうして彼のことがこんなに気になるの?友達が設定してくれた代理店男子との合コンにもちっとも身が入らない私。そして出会いから30日後ついに彼が……”。

 トレンディドラマを彷彿とさせる、ドリーミングなストーリー。筆者も時々地方でのドサ周り取材をしますが「歩きやすい、冷えない、締めつけない、かさばらない」くらいの基準でしか服は選んでいませんし、同行カメラマンはだいたい「○○のギャラが下がったよぉ」しか言わない。現実から大きくかい離した、夢見がち「CLASSY.」ガールたちの“逆さ富士”を見た思いのファッションページでございました。

結婚は「人間性」じゃなく「条件」だと思ってる現実派

 続きましてはこれぞ「CLASSY.」の真骨頂、「男はみんなニットワンピが好き!」を見てみましょう。母数が怪しげな“男”たちが「オレたちの○○ワンピ」を語り尽くすという、フツーの方からおフェミな方まで血圧上昇間違いなしの企画です。

 「20代、30代男性へのアンケートで判明した、“みんなニットワンピが好き”という事実。ふんわりとした肌触りは思わず抱きしめたくなるし、ニット素材はなんだか安心するのだとか」とはリードの弁。男をオトす最短ルートと崇められたかと思えば、「白ワンピは狙い過ぎ」と邪推されたり、「CLASSY.」におけるワンピースとは時代に翻弄され数奇な運命をたどったヒロインといったところでしょうか。風とともに去りワンピ。

 ニットワンピの素晴らしさを、広告代理店やPR会社勤務、歯科医師、会社経営の男性たちはこう語ります。「鎖骨がきれいにみえるデザインが好き」「ボディラインがわかるワンピースって女のコならではですよね。さらに足元はヒールを合わせてとことん女らしく!」「ダボっとしたタートルに顔を埋められたりしたらさらに可愛いですよね。そんな女のコにサッカーの応援に来てもらいたい!」。あぁこれがウワサの「男性用ダボダボYシャツを羽織ったポニーテールの女」願望の男たちか! 絶滅したかと思いきや、「CLASSY.」という保護観察下で生息していたのですね。

 彼らが言うことには、ニットワンピには「こなれ系」「コンサバ系」「ほっこり系」という3パターンがあり、食いつく男性のタイプも違うそう。鎖骨がくっきり見える襟ぐりに落ち感のある「こなれ系」は流行に敏感でファッション好きな男性が、ボディラインはしっかりめ、さりげない甘めディテールが女のコっぽい「コンサバ系」は結婚願望高めな男性が、ざっくりローゲージでBIGシルエットが特徴の「ほっこり系」は女性に対してはシャイな男性が、それぞれ支持しているということです。

 着回し企画では「CLASSY.」ガールたちの憧れ逆さ富士がこれでもかばかりに表れていましたが、このページはその逆。男たちによる古典的な願望が溢れだしております。「肩肘張ってないんだけど、オシャレで女っぽい……(26歳・広告代理店)」「どこへ連れて行っても自慢できる、きちんと感と品の良さを兼ね備えたコンサバワンピは永遠です(27歳・広告代理店)」「真冬のデートはざっくりニットのワンピを着た彼女と手をつないで街を歩きたい(34歳・広告代理店)」と、「『CLASSY.』周りには代理店勤務しかおらんのか」と思わずつっこみたくなりますが、これこそが「CLASSY.」ガールたちが“本命彼女”になりたい人種なのでしょう。

 「彼を知りて、己を知れば百戦して危うからず」とはかの孫子先生のお言葉。読者が結婚相手としてふさわしい(と思っている)男たちの好みを知り、そこに自らを沿わせていくことは兵法としては至極真っ当です。しかし、客観的に見てみますと「私はこんなデートがした~い」と夢見る「CLASSY.」ガールと、「オレたちこんな女のコが好き~」とのたまう広告代理店的男性たちの“理想”は重なっているようでまったく交わっていないのですよ。お互い見ているのは“シチュエーション”であり、そこに生きている“人”ではない。結局他人を完全に理解することなんて出来ないし、だからこそ“ガワ”にこだわろうとする「CLASSY.」は、ある意味非常に現実主義なのかもしれません。「ステキ」とか「ハッピー」とか体のいい言葉で誤魔化さない潔さが、この雑誌にはありますから。

 読み物ページで読者との距離感を縮めることをせず、ファッションやメイクだけで本命彼女になりたい読者たちの心情を体現しようとする「CLASSY.」。“結婚できる”から広がるパラレルワールドは、ドンピシャ世代ならずとも心惹かれる大きな魅力だと思います。
(西澤千央)

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