[女性誌速攻レビュー]「Ray」2013年2月号

「日本をハッピーにする」2013年「Ray」の可愛いの方向性が国家規模に

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「Ray」2013年2月号/主婦の友社

 2012年最後の「Ray」(主婦の友社)カバーガールは、石原さとみ。「清楚で可憐なお嬢様像」「親しみもたれる人なつっこい存在感」「気高い女優としてのたたずまい」と、さまざまな表情を持つ石原さとみの“真実”に迫るというインタビューも掲載されています。でもそれって、「個性がない」ということを表明してしまっている気も……。

 読者100名にリサーチした「石原さとみさんのイメージって??」も、根拠なきぼんやりとしたイメージばかり。「実は運動オンチ!?」「いつでもポジティブ、凹んだりしなさそう」「寂しがり屋で甘えんぼうに見える」などのイメージに、「私、めちゃくちゃスポーツをやってきてるんですよ」「ここ1~2年でそうなれました。それまでずっと、8年くらい、ネガティブな人生を送ってきたんですよ」「前は寂しかったけど今は全然平気です」など、ことごとくギャップ返しをするさとみ……。「ギャップは、モテるための基本」とはよく言いますが、芸能人としてのイメージが確立されてない、つまり尖がっていないさとみの「こじつけギャップ」には、空回り感が漂っています。やっぱり、「前は寂しかったけど今は全然平気です」のギャップは、芸能界で辛酸を舐めつくしたのち、オーガニックに開眼した杉田かおるぐらいでなければ生きてこないのでは、と思ってしまいました。

<トピックス>
◎石原さとみ ドーリーMAGICのヒミツ
◎RayガールズNew Girly宣言!!
◎泉里香の「お誘いが止まらない(はぁと)」足し算引き算ミニCD

■2013年の「Ray」は「共感」がキーワード

 石原さとみの茶番を楽しんだ後は、華々しい「RayガールズNew Girly宣言!!」に目を通していきましょう。編集部から、Rayガールズの新しいイメージについての提言、2013年「Ray」の目指す可愛いの方向性が示されていました。

「Rayが宣言するRayガールズの新しいイメージはひとりよがりじゃない、まわりも共感できる『可愛い』を身につけた女のコです。」

 これはつまり、憧れの存在を目指すのではなく、みんなで一緒に可愛いを目指しましょうね、ということなのでしょう。「New Girly宣言!!」と息巻く割には、あまりにも穏和主義的な目標です。そもそも女は、20代の「そのワンピ可愛い!」「でしょ」から、40代の「うちなんてもう何年もセックスレスよ……」「うちもうちも」、そして70代の「あそこの病院の先生いいわよ~」「私も行くわ~!」まで、年齢を問わず「共感」でコミュニケーションを図るという一面を持っているもの。なぜ今さら「共感」を強調するのかと疑問を抱いてしまったのですが、その宣言に続く言葉で、「Ray」の目指す「共感」の方向性が突然ぶっ飛びました。

「そんなRayガールズがファッションの力を借りて少しでも増えたら日本はもっとハッピーになるはず!私たちはこれから先もそんな思いでずっとRayを届けていきます(はぁと)」

 今まで、男受けするスタイルを掲げ、大好きなカレに愛されたいと、半径5m以内の「可愛い」を目指してきた「Ray」。それがいきなり、「日本を幸せにしたい……そのために、まず私たちが可愛くならなくっちゃ!」と、国家規模の目標をかましてきたのです。このこじつけ感も去ることながら、続く特集では、「お誘いが止まらない(はぁと)」ミニスタイルコーデや、「冬の愛され」デートスタイルを紹介する「Ray」の相変わらずぶりに、モヤモヤが収まりません。男に愛されれば日本がハッピーになるのか!? いや、可愛くなって男からお誘いを受ける、すると、ディナーをごちそうになったり、アクセサリーをもらったり、旅行へ連れて行ってもらったりで経済が潤う、すなわち日本がハッピーになるということなのでしょうか? 複雑すぎます。

■カリスマ・矢田亜希子の亡霊が登場

 そもそも「Ray」は今まで、どういった「可愛い」を掲げてきたのか。「Ray’s 可愛いHistory」で、10年間の「可愛い」を振り返ろうと思ったのですが、しょっぱなの2003年から、地雷が潜んでいました。「矢田亜希子さんがアイコンの『大人キュートStyle』が人気」……。10年前、「カリスマ」だった矢田が、今となっては、「男選びに失敗するな」という「教訓」の役割を担っているかと思うと感慨一入ですね。

 ほかにも、05年には、「パリス・ヒルトン、ニコール・リッチーに代表されるL.A.セレブブームが到来。そこにRayらしくピンクやキラキラをとり入れた『LOVEカジュアル』が台頭」、07年には「“女優”がキーワードの『レディSTYLE』が街を席巻!」など、「Ray」にも、「愛され」という漠然とした言葉ではなく、憧れの対象を明確にしていた時代が確かにあったようです。

 しかし、08年には、「今となっては定番のシフォンや花柄も『姫カジ』スタイルで主役服に抜擢されて以降、トレンドキーワードに」、10年には「可愛いけど、肩ひじはってない リラックスムードなスタイルに注目が集まる」と、憧れの人物アイコンよりも服自体のイメージや着心地が重要視されるように。

 さらに、昨年からは「“誰からも愛され”て“特別な日にもOK”を兼ね備えたいいコちゃんがヒット」、今年は「おしゃれと好感度の両立を狙った愛されスタイルがスタンダードに」と、自分がどう見るかよりも、他人からどう見られるかが、「可愛い」のポイントとなったというわけです。

 「私は●●みたいになりたい! 私は可愛い!」と自分に言い聞かせるよりも、誰かに「それ、可愛いね」といってもらう方が、「Ray」ガールズは幸せになれるということなのでしょうか。そして、その先に日本のハッピーが……? まぁでも、「世界で一番美しいのは誰?」と1人寂しく鏡に問いかける魔女よりも、小人に親しまれ、王子に愛される白雪姫になりたいというのは、当然の心理なのかもしれません。

 より疲れないように、より傷つかないように――「Ray」を通して、20代前半の女の子のか弱さを見せつけられたような気分になりました。私たちの可愛さで、日本をハッピーにしたいというのも、「愛され」の持つ漠然さと同様に、空疎化したポジティブにしか思えないんですよね。ここはひとつ、かつての「Ray」の憧れアイコンだった矢田先生に、「傷ついてこそ、苦労してこその人生!」と、一発かましてもらいたいと思ってしまうのは、私が少しだけ年を取りすぎてしまったからなのでしょうか。
(豊島ユイ)

女の幸せって結局スノーホワイトなの?(遠い目)

しぃちゃん



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