[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

攻めだのアンチエイジングだの、美容に疲れた女の「コスメの墓場」


(C)安彦麻理絵

 早いもので、今年ももうあと残りわずか……「おんなの美容・総決算2012」。今年1年でまた、私は一体どんだけ化粧品を買い漁ったのだろう? こんな時、いつも私の頭をよぎるのは『あの金で何が買えたか』(小学館)という、村上龍の本のタイトルである。私が化粧品につぎ込んだ金で、ほかに何が買えたのだろうか……。そう考えると、「毎度毎度の己の愚かさ、学習能力のなさ」に、激しく悶絶してしまう。そして、頭をかきむしりながら「臭いものにフタ」をするわけである……。

 私の部屋はこんなふうに「なかったこと」にされた「コスメたちの墓場」と化している。そんなふうだから、己の人生をまっとうできなかったコスメたちの怨念に復讐されて、私はいつまでたってもブスのまんま。おんなの人生、こんなんでいいはずがない。私がもて遊んで、ほったらかしにしたコスメたちの呪怨を、年内中になんとか成仏させないと、これから「いい中年時代」を送る事は不可能である。そんなわけで、私はせっせと「最下層の女郎みたいになったコスメたち」(まるで、かたせ梨乃とか西川峰子みたいなコスメ)を、入浴剤がわりに使ったり、体中に塗りたくったりして消費してるわけである。

 それにつけても、人間の肌質ってやつは年齢と共にどんどん様変わりしていくらしい。今までは平気で使っていた化粧品が、何故か急に合わなくなって、顔中ブツブツ……という事が、ここ最近ひんぱんである。あと、「香りのするもの」がとにかくダメになってしまった。いわゆる「化粧品くさいニオイ」もそうだけど、オーガニックコスメなんかの「アロマの香り」、あんなのまでオエっとなってしまうのだ。ローズマリーの香りとか、以前は大好きだったのに、今は、あのニオイを嗅ぐと胸焼けがしてくるのである。こうなってくるともう、使えるものなんて限られてくる。「無香料無着色敏感肌用」という、色気もへったくれもないヤツらだ。

 元来、化粧品遊びが好きな私からしてみると(なんだかまるで「女遊び」とか「風俗」みたいな感じだが)、こんな地味なのが「いらっしゃいませ……」なんて、隣に座ってこられたら、「この店には、こんなのしかいないのかぁっっっ!!」と怒鳴り散らしてたもんだったが……。最近は「実は、かいがいしく、いい仕事してくれるんだな」と、評価が変わりつつある。今までは、髪の毛盛り盛りの、目頭ザックリ整形しまくりみたいなヤツらとか(ドラッグストア・プチプラ系コスメ)、金持ち・ブランド大好きな、隙のないヤツらとか(デパート系ハイブランドコスメ)、こだわりのオシャレ系なヤツらとか(自然派オーガニックコスメ)、なんかそういうアクの強いのばかりを相手にしてたけど、トシをとってくると、さすがにそれも疲れてきた……。

 ついこないだなんて、魔がさして「ニベア」に手を出してみたが、なんだか、「大箱系の昔からあるキャバレーに在籍する、伝説のババアホステス」に相手をしてもらったような気分になった。昔ながらのいい商品なのかもしれないが、なんとなく「1回こっきりで十分」という感想……結局、興味本位だし。だから、そんな事ばかり繰り返していると、なんていうか、「炊きたての白飯」みたいな、そんな、ほっこり安心できる娘にシモの世話をしてもらいたい……というふうに、心境が変化してきたのである。アンチエイジングだの、攻めのお手入れだの、そんな荒技を繰り出すヤツらにはもう疲れた……どうやらトシをとると「基本的な事を、忠実にやってくれるヤツら」に有り難みを感じるようである。

 そんな私の最近のオススメは「ドゥーエ」という、調剤薬局とか皮膚科で売ってる化粧品だ。これ、ヒルドイドクリームという、皮膚科で出される保湿剤を作ってる製薬会社が、資生堂と共同開発したものだそうで。まったく、面白みもへったくれもない商品だが「なんだかもう、コスメに振り回されるのには疲れた……」なんて人は、一度試してみてはどうでしょう?

 ところで、そんな「オススメコスメ」だが。私の今年の「ベストコスメ」は、クリニークの「クイックライナーフォーアイ・インテンス」とゆうペンシルアイライナーである。このアイライナーの素晴らしいところ、それは「もの凄く、本当にもの凄く楽にラインが引ける!!」という所である。目周りをコレでなぞっても、全く痛みを感じない。スーっと軽くなぞるだけで、アイラインが完成するのだ。そして、当然なのだが「時間がたっても滲まない」。あと、コレ、結構重要なのだが、形態が「繰り出し式」。私は、いちいち付属のエンピツけずりで削るのが面倒で仕方ない派である。削るのを億劫がってるうちに結局使わなくなる、というのが今までのパターンだった。だから「繰り出し式」というのは、非常にポイントが高いのである。私は今まで「アイライン」に対してかなり苦手意識を持っていたが、この商品のお陰で、それが覆された。

 さて、そんな素晴らしいアイテムを使って、私なりに掴んだ「アイラインを引くコツ」なのだが……それは「ラインを引く時は、『リング』の貞子になりきる」という事である。映画『リング』のラストで、真田広之を追いつめる時の貞子……真田広之をショック死させる威力を持つ、あの「剥き出しになった貞子の目」、あれを思い出して頂きたい。マブタをクイっと指で引き上げて、あの「貞子の目」みたいにすると、アイラインが引きやすい。とはいえ、コレはやはり、誰もいない部屋で一人でやった方がいい「おんなの秘め事」である。『リング』の続編は『らせん』ではなく『ライン』……。ダンナや彼氏の前でこんな、「『ライン』の貞子」になってたら、ドン引きされるのは間違いない。

 しかし、女友達の前とかだったら……目の前で女友達にコレやられたら、私、間違いなく腹を抱えて爆笑する。そしてなんだか「友情が深まりそうだなぁ」と思うのは、私だけだろうか?

エンピツけずりをなくしてカッターで削ったりな

しぃちゃん

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