[女性誌速攻レビュー]「プレジデントFamily」2月号

プレファミの「頭のいい妻が、学習教室を開いたら」企画を支える選民意識

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「プレジデントFamily」2013年2月号
(プレジデント社)

 三度の飯より東大が好きなお母さんお父さんが集う「プレジデントFamily」(プレジデント社)、今月号の特集は「お金」がテーマ。今は所得の高い家庭ほど東大進学率も高いと言われており、比較的裕福とされるプレファミ読者層でも「今あるカネを東大に向けてどう使うか」ということに強い興味関心があるようです。それにしても「お金が貯まりに貯まる生き方」という特集タイトル、インパクトありますよね~。「貯まる」じゃなくて「貯まりに貯まる」。昭和のネズミ講みたいでイイ響き。キャッチも「冬の時代、この先30年の安心を手に入れる一冊」などと大風呂敷を広げております。それにしても「プレジデント」及び「プレジデントFamily」から漂うこれら“根拠のない自信”は、一体どこから来るものなのでしょうか。これが「年収800万円オーバー」の正義ってやつ?

<トピックス>
◎お金が貯まりに貯まる生き方
◎アラフィフ&アラ還1000人調査 女の人生、お金の後悔ランキング
◎頭のいい妻が、学習教室を開いたら

■「失敗から学ぶ」=ディスる、の意

 今号のMoney企画、目玉は「アラフィフ&アラ還1000人調査 女の人生、お金の後悔ランキング」です。「先人の失敗から学ぶ」べく「すでに子育てを終えた、終えつつある50~60代女性に『お金の後悔』について」アンケートを実施。それをもとに「家計の見直し相談センター」の藤川太氏とファイナンシャルアカデミー代表の泉正人氏が対談するという内容です。

 「お金を使いすぎた後悔」のダントツ1位は「教育費」。専門家のお2人も「削るべきは『教育費』と『住宅費』」と答えています。

「そもそも教育費は『かかるもの』ではなく『かけるもの』」
「教育費は所得に比例してどんどん上がるそうです。問題は親の一方的な思いでズルズルと『かけている』ケースが多いこと」(藤川)

 と、まずは読者の「カネかければ東大入れんじゃねーか」幻想を打ち砕きます。実際にアンケートを見ると、「教育費で後悔したこと」の約半数が「使い過ぎた」という結果に。「老後資金なのに子どもに使ってしまった(62歳)」「勉強はしないとわかっていても塾に通わせた(61歳)」「長男が自宅から遠い大学だったため下宿させたが、送金しすぎて(月15万円)蓄えがなくなった。長女や次女の分のお金が足りなくなり、長女にはお小遣いもあげられなかった(59歳)」などなど切ない……。

 「とりあえず(子どもには)大学に行ってほしい」という気持ちから、バンバン教育費にお金をかけていたあの時代。たとえ老後資金を使ってしまったとしても、それは立身出世した子どもたちから回収できると淡い希望を抱いていたのかもしれません。しかしロスジェネの息子娘たちからは回収はおろか、ぶら下がり続けられている現状がそこに。この企画から読み取れることは「トンビはタカを産まない」ということでしょう。しかしこのメッセージを「でも……アナタ、そこのアナタはタカですよ」と受け取る年収800万以上の親御さんたちは一定数いるから、この雑誌は成り立っているのです。「あきらめろ」と言われると諦められない、そんな人間の心理を上手に突いた企画だと思いました。

妻も夫も、どちらのプライドも満たされる

 特集以外にも「やっとわかった! 資産運用ビギナーズ教室」「あなたの勝負カラーは何色? 2013年女の開運サイフ」「最後の手段は、消費の断食30日間」など、お金にまつわる魅力的なページが多い今号。続きましては、その中でも筆者が特に気になった、「頭のいい妻が、学習教室を開いたら」を見てみたいと思います。

 まぁ何といってもその気持ち悪いタイトルに釘付け。『彼女が水着にきがえたら(主演:原田知世)』のオマージュなのでしょうか……(たぶん違う)。「頭のいい妻」って……何? 今号は「賢い子ども」「東大合格」「勝利の方程式」などいつもの煽り文句が少ないと思ったら、とんでもないものブッこんできましたね。

 リードには「世帯年収をアップさせたいなら、妻も働くに限る。せっかくなら働くやり甲斐もほしい。子育て経験も生かせる『学習教室』って理想だと思うけど……。果たして誰にでもできるのだろうか」とあります。登場するのは2人の学習教室運営者の女性。有名国立大学を卒業後、証券会社に勤務、出産後は専業主婦になり、子どもが小学生の時に某学習塾を開設した女性(45歳)と、短大卒業後に証券会社勤務、社会人になってから海外留学、先ほどの女性同様専業主婦を経て、某英語教室を始めた女性(40代)。どちらも大手教育会社のフランチャイズです。

 教室を開くきっかけ、実際にかかった費用や現在の収入などとともに、子育てをしながら「先生」として働くことの大変さややりがいを話すお2人。専業主婦時代に「仕事がしたい」という思いを新たにし、それぞれ教室開設に至ったのだと言います。苦労は多くても自分が働くことは「家族にとってプラス」になったと考えているようで、「教室がある日は家で子どもたちに留守番させていましたが、おかげで自立心が育ったと感じている」(学習塾経営の女性)、「専業主婦だったころには見られなかった夫の一面を知ったこと。私が忙しいときには食事の後片付けをやってくれたり」(英語教室経営の女性)だそう。

 復職した女性が何より求めるのは「仕事のやりがい」。実際にお2人の収入を見てみますと、仕事量や責任の重さに比べて収入は決して多くありません。そこで立ち返りたいのこの企画のタイトル「頭のいい妻が、学習教室を開いたら」です。夫から「子どもたちの保育の問題がクリアできたら、やってみたら」と勧められたという女性。これを「理解があるダンナね~」ととるか「何なんスか上からスか」ととるか……筆者は残念ながら後者のイメージを強く受けました。

 働きたいと願う専業主婦。「ちゃんと子どもたちの面倒見る人が確保されてるんだったらいいよ」と、それを“許可”する夫。子どもを持つ母が働くには、夫から許しを得ないといけないんですね。そして「妻を働かせる甲斐性のない夫」というレッテルを貼られないためにも、「妻はやりがいを求めて働いている。私の“頭のいい妻”は“先生”なんです」と自分にも周囲にもわからせる必要がある。これを言い換えると、「頭のいい“私”の妻が、学習教室を開いたら」という見出しになるのではないでしょうか。単なるお金特集の一企画だと思ったら大間違い、「頭のいい妻が、学習教室を開いたら」というタイトルには「プレジデントFamily」読者層のプライドをうまいことくすぐるようなプログラミングが施されているのです。「やりがい」ってホント、罪深い言葉です……。

 前世代の「失敗」を「自分たちはそんなにバカじゃないし」と冷ややかに受け止める。妻の復職にもガチガチにエクスキューズを盛り込む。「東大合格」というキラーフレーズを使わずとも、「プレジデントFamily」の選民思想は具現化できるのだと再認識した意義深い号でした。そしてあらためて「子供を元気にする。親も元気になる」という同誌のキャッチコピーがブラックジョークに思えて仕方ない今日この頃です。
(西澤千央)

やりがいより、白米のうまさを感じろ!

しぃちゃん



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