【ポスト『SATC』はどっち??】

高校生のキャリーを描く『The Carrie Diaries』vsリアルを追求した『Girls』

 大都会ニューヨークを舞台に4人の個性的な女性たちが本音を炸裂させながら繰り広げる、愛と友情のスタイリッシュドラマ『Sex and the City』(以下SATC)。世界中で社会現象を巻き起こした『SATC』は、その後2回にわたり映画化され、中年になってもピュアなハートを持つバブリーな4人のガールズたちに、ファンは大いに魅了された。

 今年4月、『SATC』を世に送り出した、米最大手ケーブルTV局「HBO」で、ニューヨークを舞台に奮闘する4人の女性たちの日常を描いたドラマが放送スタートした。ドラマのタイトルは『Girls』。メディアはこの作品を、“もう一つの『SATC』”として大々的に取り上げた。役者が最も気にするといわれる業界紙「The Hollywood Reporter」は、この作品を「近年まれに見る、オリジナリティにあふれたドラマシリーズ」と大絶賛。これぞ多くの女性たちが待ち望んでいたポスト『SATC』だと言われるようになった。

 だが、それに待ったをかけるような形で、我こそはポスト『SATC』だと名乗りを上げる新作ドラマが、来年1月に放送スタートすることが発表された。80年代半ばを舞台に、『SATC』の主人公キャリー・ブラッドショーの高校生時代を描いた『The Carrie Diaries』である。放送するのは、青春ドラマの名手「CW」ネットワーク。『SATC』の原作者キャンディス・ブシュネルが執筆した同名小説をドラマ化した作品で、スタイリッシュ系ガールズドラマとして大成功のポテンシャルが高い、新作ドラマだと伝えられている。

 今回は「ポスト『SATC』候補」と題して、この2つの作品を紹介したい。

■『Girls』

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 メインキャラクターは4人の女性。タブーなことでもなんでも話し合える女友達で、彼女たちは固い友情で結ばれている。複雑な恋愛事情、厳しいシティライフにくじけそうになりながらも踏ん張っていく姿を描いたのが『Girls』である。

 ここまで読むと『SATC』と同じ要素を持つドラマだと思われがちだが、明白に異なる点がある。『Girls』の主人公は20代であり、ライター志望で出版社のインターンをしているが、自立できるほど稼げず、親の仕送りをあてにしている。『SATC』のキャリーのようにスタイルが良いわけでも、衝動買いした高級ハイヒールが似合うわけでもない。洗礼された男性たちとのセクシーなセックスなど夢のまた夢で、前戯なく挿入される有様。『SATC』が“クールなアラサー女性たちの優雅なシティライフ”だとすると、『Girls』は“バタ臭いお姉ちゃんたちが憧れの都会に出て文句タラタラながらも生きていく奮闘記”なのである。

 『SATC』ファンにはにわかに受け止めがたい内容に思われるが、長引く不況にあえぐアメリカの女性たちにとって、『Girls』は素直に「ホッ」とできる癒やし的な存在。誰もが『SATC』のように生きたいけれど、モデル体形を手に入れることも、キャリアを手に入れることも、男を手に入れることも至難の業。憧れの世界を見て妄想するよりも、ポッチャリ体形の主人公が職場でも恋人からも鼻で笑われる姿を見ている方が共感できるのだろう。カラフルなカップケーキを友達とパクッと食べてストレス発散するより、1一人冷蔵庫の前に立ち、昨日の残飯をやけ食いする方が、一般的な独身女性に近い姿で共感できるのである。

 ほかの3人の女性たちも、男を連れ込みセックスしまくる超現実的ウーマン、『SATC』に憧れるものの最も遠いところにいるバージン、つかみどころのない不思議ちゃんと、「あ~、いるいる」とうなずきたくなる面々ばかり。このドラマは現代の若い女性たちが直視したくない部分も包み隠さず赤裸々に描いており、それが大ウケしたのである。

 実はこのドラマ、放送前から大きな期待を集めていた。映画『40歳の童貞男』『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』などのヒット作を手掛けたジャド・アパトーが太鼓判を押した、無名女性が企画した新作コメディだったからである。この女性の名はレナ・ダラム。脚本、プロデュース、監督だけでなく、主人公も彼女が演じている。まだ25歳という若さだが、ここまでシニカルでウィットに富んだ脚本を書けるのは天才と脱帽する評論家も多く、アメリカの辛口批評家からも好評を得ている。

 なお、『SATC』で主人公キャリー役を演じたサラ・ジェシカ・パーカーは、『Girls』について、「『SATC』とはまったく異なる内容の番組よね」「でも、女性たちが繰り広げる会話がとっても親密で温かみがあるっていう点は似ているわ」とコメント。

 『SATC』の大まかな要素を残しつつ、一般的な視聴者に最も近づけたドラマ、それが『Girls』なのである。

■『The Carrie Diaries』

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 昨年夏からテレビシリーズ化がウワサされていた『The Carrie Diaries』は、『SATC』主人公キャリーの高校卒業前後から名門ブラウン大学に入るまでの間を描いた物語。まだバージンである16歳のキャリーの初恋の相手やライターを目指すきっかけ、ライターへの階段を上り始めたきっかけなど、『SATC』のルーツがわかる作品となっている。

 『SATC』は30代、『Girls』は20代女性が主人公だったが、『The Carrie Diaries』は10代女性が主人公。高校生特有の男子生徒をめぐる女子同士のいざこざなどもあり、若い視聴者層だけが狙いなのかとも思ってしまうが、意外と『SATC』との共通点は多い。主人公が同じということもあるのだが、16歳のキャリーも友情をとても大事にし、友達の意見に耳を傾け、うれしいことがあったら真っ先に友達に電話をするというスタンスは変わらない。バージンとはいえ恋にも体当たりし、マンハッタンを愛し、シティライフに胸を躍らせる。『SATC』をリアルタイムで見てきた世代にとっても、大都会に憧れていた、甘酸っぱい青春ドラマとして純粋に楽しめるのである。

 80年代が舞台ということも、幅広い年齢層から支持されるのではないかとみられる要因だ。『SATC』の人気キャラクターとどうやって知り合ったのかも描かれており、本家とリンクするヒントが楽しめるのも大きな魅力。社会人になってからできた友人の学生時代をのぞくような感覚のドラマであり、『SATC』ファンにとっては見逃せない作品となっている。

 『Girls』と大きく異なる点は、“キャリーは10代でもキャリー”だということ。オシャレでファッションセンスが抜群。おまけにボーイフレンドもカッコいい。超リッチでもワルでもなく、平凡に近い感じの10代のキャリーだが、センスが抜群に良いため、『The O.C.』『ゴシップガール』のファンもきっと虜にすることだろう。『The O.C.』『ゴシップガール』のジョシュ・シュワルツとステファニー・サヴェージが製作総指揮を務め、『SATC』『ゴシップガール』の両方に携わったことがあるエイミー・ハリスが脚本を手掛けているという、最高のスタッフが制作に関わっているという点でも大いに期待できそうだ。

 なお、キャリー役には『ゴシップガール』のブレイク・ライヴリー、オルセン姉妹の妹エリザベス・オルセン、『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』のマイリー・サイラス、『glee/グリー』のディアナ・アグロンといった旬の若手スターの名前が報じられてきたが、手に入れたのはティム・バートン監督の名作『チャーリーとチョコレート工場』でバイオレット・ボーレガード役を熱演したアナ・ソフィア・ロブ。キャリーに声質や雰囲気が似ており、見た目はちょっとキツいがドラマではキュートでピュアな感じが出ており好感が持てる。キャスティングはうまくいったと言っても過言ではないだろう。

 サラ・ジェシカ・パーカーは『The Carrie Diaries』をとても楽しみにしていると公言。アナが「サラから激励の手紙をもらったの!」と明かしているほどだ。サラはインタビューで「『SATC』のファンがキャリーのことをもっと知りたいと思うことは素晴らしいわ。私も、実はその1人なの。どんな展開になるのか楽しみ」とコメント。『SATC』のルーツを探れる、ファン必見のキラキラ感あふれるドラマが、『The Carrie Diaries』なのである。

クイーン・オブ・馬面には敵わないって!

しぃちゃん

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