『女のみち』トークショーレポート

若さを失った自分の“売り”は? 30代女性のもがきとAV女優が重なった夜

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撮影:曳野若菜

 AV監督ペヤンヌマキが主宰する演劇ユニット「ブス会」は、女だらけの世界を通して見える女性の実態を生々しく描き出してきた。今回お邪魔したのは、AV撮影現場を舞台にした作品『女のみち』上映会&トークショー。「ブス会」メンバーに加え、現役AV女優の竹内紗里奈、元AV女優の森下くるみ、AVライターの雨宮まみがAV業界の裏側を語り尽くすこの夕べ。AVに生きる女たちの本音がさく裂した。

 この日の渋谷UPLINKは超がつくほどの満員状態だった。男性6割、女性4割といったところか。ようやく席を確保し一息ついた私は、会場をある特殊な臭いが覆っていることに気が付く。「イカ……イカ臭い……」。これは本イベントならではの仕掛けなのか、それとも来場者たちのリビドーが早々と昇華してしまったのか。オマエか? それともオマエか? みっちみちの会場で、私は密かに先走り犯人を捜索していた。

 イカスメルの正体は不明なまま、今日のメインであるトークショー「AV現場の裏側話しちゃいます!AV女優からみた『女のみち』」がスタート。MCである雨宮氏を先頭に、竹内氏、森下氏、「ブス会」メンバーであるもたい氏、主宰者であるペヤンヌ氏が登場した。『女のみち』が初演されたのは2006年。ペヤンヌ氏は『女のみち2012』を上演したきっかけをこう語る。「6年たって、AV業界はだいぶ変わりました。だからこそ再演ではなく、『女のみち』の女たちの6年後を描いた方がいいかと」。不況の波は人間本来の欲求をテーマにするAV業界にも容赦なく押し寄せている。雨宮氏によると、「2006年は“AV飽和の時代”。それを境にAV雑誌も随分と廃刊になった」とのこと。「現場に置いてあるお菓子が100均になったり、お弁当の質もガクっと落ちてますね。300円くらいのお弁当を“2個食べていいですよ!”って言われても……」「ドリンクすら出ない現場もある。あっても石油みたいな味がするド○キのお茶とか!」etc。

 今回、“セルフ潮吹きの女王”という難解な役柄に挑んだのは、舞台女優のもたい陽子氏。役作りの為に初めて訪れたAV撮影の現場は、まさに「職人たちの集まりだった」という。「現場は職場ですからね。渇いてますよ。全然ベタベタしてない。技術的な話しかしないし」と話すのは、現在AVから離れ、女優・小説家として活躍する森下くるみ氏だ。ここで“潮吹き”を知らないかもしれないウブな来場者たちのために、ペヤンヌ氏が『女のみち2012』制作の際に参考にしたという一本のビデオテープを上映した。その名も……『浣腸まんぐり大噴水』。

 まさに「WAになって潮吹こう♪」状態。複数の女優による一斉放射は圧巻の一言だった。大噴水の余韻に浸っていると、遅れていた熟女系AV女優の村上涼子氏が到着。彼女こそ潮吹きレジェンドと称されるお方だという。村上氏には、「どうしたら潮を吹けるようになるか?」という質問が殺到。村上氏いわく「元々体質だと思うけど、段々と自分の体がわかるようになって、今では撫でるだけでも吹く」。スゴい。「現場で潮吹けるって神」とペヤンヌ氏も大絶賛。村上氏のような高い潮吹き力を誇る女優がいる一方で、「プレッシャーで全然潮吹けなくて、“この膀胱が悪いんだ!”って自分のお腹をバンバン叩き出す子もいる」のだとか。水は常温じゃなきゃダメ、水とポカリをブレンドする、レッドブルが効くと聞き、シーン毎に飲んでいたら胃に穴が開いた……潮吹きに対する涙ぐましい努力を聞き、「みんな体張ってるよね。私がこの業界に入った頃は、人前で裸になれてSEXできるだけでOKだったのに。今は特殊な技術が2つ3つないとね」と、ペヤンヌ氏がつぶやいた。

 というのも『女のみち2012』のテーマは「AV業界における女の賞味期限問題」。ただかわいいだけじゃ生き残れない。潮吹きに代表されるような、技術やセルフプロデュース力までも求められるのが現在のAV業界。かわいくて若いだけでも難しいのに、さらに加齢という魔物が女たちを襲う。現役AV女優である竹内紗里奈氏も「『女のみち』でカスミが言う『私、劣化したって言われるんです』っていうあの台詞。あの気持ちが痛いほどわかる」と漏らすほど。

 「特殊な業界だけど、根っこにあるのはどこの職場にもあること。女なら誰しもが直面する加齢問題、そして結婚、出産。女を売り物にするAVなら尚更それが端的に表れるんです」というペヤンヌ氏の言葉に、三十路半ばの私も深く共感した。可愛いだけでも若いだけでもダメというのは、可愛くも若くもない者にとっては厳し過ぎる現実だ。その時、頭の中に先ほどの『浣腸まんぐり大噴水』の映像が再生された。誰でも年を取れば肌は水を弾かなくなる。だけど努力と経験によって「水を吹く」女はいる。ペヤンヌ氏の「『女のみち』を潮吹きで成仏させたかった。最後に潮で泣きたかったんです」という言葉。潮を吹けない自分を呪い膀胱を叩いたり、潮吹きのためのオリジナルドリンクを作ったり。AV女優たちの潮吹きにかける熱い思いは、若さや可愛さに依拠しない何か、自分が生き残れる何かを必死に探し求める30代女性の姿に重なるのだ。誰かに吹かされるんじゃなく、自分で吹く潮――「セルフ潮吹きの女王」にはそんなメッセージが込められているのだと、私は勝手に理解し、そして泣いた。

 こうしてトークショーは感動のフィナーレを迎えた。満員の客席からぽつぽつと人が帰り出した頃、前方に座っていたスーツ姿のサラリーマンが握りしめていた袋に、私の目は釘づけになった。「おつまみあたりめ」。お、オマエだったのか! その潮の香りは、まだほんのりと会場を包み込んでいた。

潮VSあたりめ、そんな夕べも素敵やん

しぃちゃん

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