[女性誌速攻レビュー]「25ans」1月号

楽観的な「25ans」に投げこまれた、杏という名の自己主張の塊

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「25ans」(ハースト婦人画報社)
2013年1月号

 女性誌速攻レビューでは久々の登場となる、「25ans」(ハースト婦人画報社)。今月号は400号記念号かつ、クリスマス&ボーナスシーズンで、高級時計やジュエリーの広告が入る女性誌の稼ぎ時ということもあって、厚さ2.4センチという分厚さ。手に取ってみても、エビちゃんフィーバーで盛り上がっていた「CanCam」(小学館)絶頂期を彷彿させる重さです。

<トピック>
◎幸せエレ女の実態調査
◎永久保存版 キャサリン妃BOOK
◎杏’s 美ロソフィー

高倉健か「25ans」かという男気!!

 400号記念、そして年末号ということもあって、今月号の大特集は「エレ女の“幸せバイブル”」です。補足しますと、「エレ女」とは「25ans」の造語で、エレガントなお嬢様といった意味。何のひねりもないけれど、その素直な心意気に好感が持てます。

 特集前半は読者400人のアンケートから得た「幸せエレ女の実態調査」。まずはストレートに「あなたは強運ですか?」と聞き、実に83%もの人が「Yes」と答えています。「強運な人ってどんな人?」には「自分に自信がある人」「とにかくプラス思考!」「明るい、華やか、楽天的」、幸せを感じるのは「いい仕事ができたとき」「お風呂上りにシャンパン」、自分を強運だと感じるのは「会いたいと思った人に偶然会える」「いつも最後は何とかなるとき」と、とにもかくにも素直。

 ファッション/小物ページでも、「幸せカラーNo.1はピンク」といえば、1,000万円超えのピアジェの指輪からエミリオ・プッチのビキニ、真っピンクのカウチソファ、プールジュールのショコラまで一緒に並べちゃう力技。普通に考えたらソファとショコラは同じページに収まらないものですが、担当者が猪突猛進に「ピンク!ピンク!」と必死に集めた感じがします。

 「強運パワーをもらえるMOVIE9」という、なぜ10作品というキリのいい数にしなかったんだ! と疑問にしか残らないページでも、『ラブ・アクチュアリー』『キューティー・ブロンド』『プラダを着た悪魔』と確かに素晴らしい映画なんですが、明快というか、わかりやすいというか、苦味の少ない映画が占めています。「25ans」を愛読する淑女のコアゾーンが一体何歳なのかは想像できませんが、経済的に裕福がゆえに、きっと酸いも甘いも経験されているはずなのに、この作品選び。過剰な自意識まみれの女性誌が多い中で、六甲の雪解け水のような清々しさ!

 さらに読者の自意識過剰の密集地帯ともいうべきお悩み相談コーナーも、「25ans」は一味違います。相談内容がなんと、「『死』が気にかかりポジティブになれません」です!! 他誌のように「嫌な先輩がいるけど、嫌われないように自分の意見を通したい」「彼に本当の自分を見せられなくて……」なんてゴチャゴチャ言わず、「女は黙って死を考えろ、話はそれからだ!」と言わんばかりの姿勢。くぅ~~痺れる!! 高倉健のような背中でモノ言う姿勢を継承したのが、まさかに「25ans」とは。すみません、今まで「25ans」をナメてました。反省します。

金で解決できることは、金で解決しようぜ!

 そんな素直で男気あふれる「25ans」ですが、実は結構重篤な病を抱えています。それはズバリ、「プリンセスになりたい」症候群!! 今月からは新連載「姫と王子のリアル・ライフ」が始まり、グレース・ケリーを祖母をもつモナコのシャルロット・カシラギ嬢を取り上げています。母親の意向で爵位は持たないものの、哲学を学び、障害馬術の選手として、ファッションアイコンとして、まさに才色兼備を体現している彼女にフォーカスしています。

 今月号の分厚さについては先ほど言及しましたが、本誌自体約500ページ、さらに別冊として「永久保存版 キャサリン妃BOOK」108ページまで付いてます。しかも、ロイヤルウェディング翌日の2011年4月30日から2012年10月までの公務日すべてのファッションを掲載するという気合の入れよう。つまり、今月の「25ans」の実に1/6がキャサリン妃のストーカー記録!! ページをめくってもめくってもキャサリン妃なので、「たまにフォーリンラブのバービーのコラが混ざってんじゃないか?」「映画のプレミア上映会って公務なのか?」「昔のウィリアム王子讃美はいずこ……」など自分なりの楽しみ方を見つけてください。

 でもいくら「25ans」がキャサリン妃になりたくても、世界の王室の嫁になるのは席に限りがありますし、可能性はゼロに近い。しかし、「25ans」の“着地”は厳密に言うと、キャサリン妃そのものではなく、キャサリン妃というコスプレをしてみたいということ。なので、「キャサリン妃BOOK」には「これであなたもプリンセス! “なりきりキャサリン妃コーディネート講座”」「プリンセスになれる旅」(キャサリン妃御用達のホテル紹介など)と、金にモノ言わせりゃなんとかなる系の企画です。潔い! キャサリン妃の性格分析とか、余計な文脈でキャサリン妃を語ることもなく、「若くて美人でスタイル良くて、しかもプリンセスだったら憧れるでしょ?」と一環した姿勢で特集しているので気持ちがいいです。ただ1つ、「25ans」読者の財力を考えると渡英はハードルが低く、「キャサリン妃追っかけロンドンMAP」はものすごく役に立っちゃうんじゃないかなと心配したことだけお伝えしておきます。

押切もえの正統な後継者

 今月は400号記念号ということもあり、「25ans」の特長が出ていました。同誌の素直さ、ストレートさがまぶしく、ほかの女性誌がいかに自意識にまみれているかがわかります。ただ、その中で1人異彩を放っているのが、同誌カバーガールの杏です。彼女の新連載「杏’s 美ロソフィー」は、「読書家として知られる彼女の提案で、『文学』×『美容』という一見変わった企画が実現しました。毎号、1つの文学作品の登場人物をビューティー目線で杏ちゃんが分析。実際にヘア&メイクで表現するという試みです」というあちゃーな内容。

 第1回はトルストイの『アンナ・カレーニナ』の主人公・アンナをイメージした、眉に重きを置いたメイク。で、実際の内容は、「私、眉毛が好き、というか眉にとても興味があるんです(略)でも、自分の薄い眉は昔はコンプレックスでした」……って、ええ!! 杏の話かよ! アンナはどこへ行った?? 要約すると、仕事をはじめたらナチュラルな眉を褒めてもらって好きになった、という自分語りでした。

 そもそも「読書家の彼女」の持ち込み企画というくだりで、女性誌の三大疾患のひとつ「押切もえという病」が感じられるのに、さらにマイストーリー語られても、ねぇ? 押切もえよりも一見自己主張が弱そうに見えるのに己の主張を突き通す強さ、「自分磨き」という安易な言葉を使わないしたたかさ、ご自慢のナチュラル眉と目のあたりの険の強さが今後どのようにブラッシュアップされていくのかが楽しみです。2013年は、「25ans」の素直な心と、杏の“計算”の一騎打ちに注目ですよ!
(小島かほり)

福くんと亀梨くんと家族ショットみたいなものも撮ってます

しぃちゃん

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