[女性誌速攻レビュー]「美ST」1月号

「美ST」セックス特集、「しなくても女は終わりじゃない」とセックスレス肯定!

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「美スト」2013年1月号/光文社

 「美ST」(光文社)もついに来ちゃいましたよ、セックス特集。「愛は40代を救う! 絶対! R40指定――『H』と『I』の間には何がある?」と題して、40代の性を取り上げています。「美ST」ではこれまでも、“恋心”の特集を組んだり、ミニ企画としてセックスを扱ったりしたことはありましたが、ここまで大々的な特集は初めての試みです。

 最初のページにこう書かれています。「『セックスでキレイになる』――よく言われることですが、本当でしょうか? もしそうなら、一大事。美ST読者に行ったアンケートでは、40代の約半数がセックスレスという結果が出ているのです」

 セックスレスが夫婦仲や心身の問題ではなく、“キレイになれるかなれないか”という問題につながっているところが、美容雑誌である「美ST」ならではですね。ではさっそく中身を見てみましょう。

<トピック>
◎特集 愛は40代を救う! 絶対!
◎3割盛れる“facebook写真術”でいいね
◎「子だくさん」がキレイなママを作る!

■美容のためにセックスすべき?

 「美ST」のセックス特集は、まず「46歳、今が私の“モテキ”です!」という、婚外恋愛体験をもとにした再現グラビアからスタート。ベッドでシーツにくるまる美魔女の下に、医師の解説が添えられていました。それによると、女性は更年期が近づくとホルモンの関係で性欲が増し、若い男性がそれを察知して寄ってくるため、「46歳で『モテキ』が訪れるのは当然のこと」なんだそう。……ふーん。性欲が強けりゃモテるというなら、これまでなんも苦労してねえよ、と誌面を破り捨てたくなる気持ちを抑えて次へ進みます。すると、別のページでも、カウンセラーが「男性は20代、女性は40代が性欲のピーク。だから40代女性と10歳以上年下の男性との恋愛が多いのです」と断言していました。なんだろう、この無責任な励まし。

 40代の読者を対象としたアンケート結果によると、「あなたはセックスレスだと思いますか?」という質問に51%の人が「Yes」と回答。「夫以外のパートナーはいますか?」という質問には、83.7%の人が「No」と回答していました。逆に言えば、49%の人が「セックスレスではない」と思っており、16.3%の人が婚外恋愛を楽しんでいることになります。ほんと? それって結構多くないですか? そこはかとなく読者格差を感じました。

 しかし、今回最大のテーマは年下男にモテる云々ではなく、最初のページにもあったように、セックスと美の関係です。「セックスレス」側に入ってしまった51%は、美しくなれるのかなれないのか、それが問題だっ! 回答は、産婦人科医・宋美玄のページ「医学的に見た美と性の複雑かつ悩ましい関係」に掲載されています。ここでは、「セックスでキレイになるって本当?」に始まり、「セックスレスでも夫婦関係は良好。このままじゃダメ?」「セックスしてると閉経や更年期が遅くなる?」「オナニーとセックス、女性のカラダに与える影響は違う?」などのQ&Aが掲載されています。

 「美ST」読者のセックスレスの悩みは、「したくてたまらないのにできない」ではなく、「“女として終わってる”と思われたくない、でも、してない、どうしよう」ということなんですね。もともと「美ST」読者は欲張りです。子育てして(今号では「『子だくさん』がキレイなママを作る!」という企画まである)、仕事して、それでいてキレイで、ママ友付き合いも華やか、夫とも円満で、夜も絶好調。これをすべて叶えるとなれば寝るヒマがありません。となれば、他人に披露するわけでない夫婦の営みから削られていくのは仕方がないことです。しかし削ることで、他人にもっとも誇示したい「女としての美しさ」が損なわれるのは困る。だからセックスしたい。したいけどしたくない。恋に恋するお年頃ならぬ、セックスとセックスしたいお年頃、それが「美ST」読者なのです。

 セックスと美の関係について、個々の回答については本誌をぜひお読みいただきたいのですが、ひとこと引用するとすれば、

「メディアに洗脳されて、したくもないのに、セックスしなければ女でなくなると悩む女性には、心が満たされているならば大丈夫、と言いたいですね」

 に尽きます。「美ST」でまさかのセックスレス肯定です。ホッとした40代は多いと思います。

■写真は「いいね!」でも実際は……

 「3割盛れる“facebook写真術”でいいね」という企画が組まれています。友達申請や「いいね!」が殺到する人気のフェイスブッカー美魔女が登場し、自撮りを指南しています。例えば、「女ウケする自撮り名人」は、「床に寝ころんで上から撮れば顔がリフトアップして究極の女優顔に」とコツを伝授。寝っころがってる自撮りなんて怠惰な印象しか残らないと思うんですが、そんなことよりリフトアップ第一なんでしょうね。「男性ファンから『いいね!』殺到」の美魔女は、「アルバムの水着セクシーサービスで男性の友達申請短期間に大量ゲット」「グラビアアイドルになった感じで、ポージングも頭の中に入れて撮影」とアドバイス。いや、素人のオバサンがそんなことしてたら、絶対陰では怖がられますよ!

 どこまで本気かネタかわかりませんが、ここまで露骨でないにしても、facebook上では誰しも多少は自分を演出するもの。何を書いてどんな写真を載せようか、自分の好みで取捨選択しているわけですからね。そうして「いいね!」や友達申請を増やそうとする。そんなことしてどうなるの? とは言いません。たくさんの人から注目されるのは、それはそれで喜びだと思います。でもなんだろう、そこに実態が伴っていないのが40女の哀しさです。企画タイトル通り、3割盛ってるだけなんですもん。光を当ててシミ・シワを飛ばしても、本当に消えているわけではない。「いいね!」がたくさんついても、実際に会ってみたら「年相応」とがっかりされるはず。それでも盛らずにいられないこの哀しさ。

 美しくあること。それが男とセックスするためだったり、結婚するためだったり、リアルの場でチヤホヤされるためだったりしない。美しくあることが手段ではなく目的となっているのが「美ST」です。他人から「イタい」と思われても走らずにいられないのが美魔女です。止められない衝動を感じます。美魔女、それは美と寝る女……いえ、自分と寝る女なんです。“いつまでも自分に欲情したい”という欲望を刺激し続ける「美ST」は、女のエロ本なのかもしれません。
(亀井百合子)

セックスしなきゃ病からの卒業……

しぃちゃん

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