現実はやっぱり怖い!

映画『ターミナル』の“現実”は悲惨だった!? 実話に基づく映画の真実

 毎年この時期になると、どの映画がアカデミー賞にノミネートされるのか話題に上る。今年、そのノミネート候補筆頭に挙がっているのは、10月に公開されたベン・アフレック監督・製作・主演の『アルゴ』(2012)だ。ニセの映画製作をでっちあげ、大使館の人質を救出するという奇想天外なストーリーの『アルゴ』は、実話を基に製作された映画である。イラン革命真っただ中の1979年に起こったイランアメリカ大使館人質事件において、実際に行われた救出作戦をそのまま映画化したのだ。

 ハリウッドには、『アルゴ』のように実話を基に製作され、高く評価された映画がある。今回はそんな作品の中から、意外に知られていない「実話に基づく映画」をリストアップしてみた。

『エミリー・ローズ』(2005)

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 ごく普通の19歳の女子大生エミリーは、ある日突然幻覚、幻聴に苦しめられるようになった。病院に通うものの原因不明でまったく治らないため、両親ともども「悪魔の仕業」だと思い込み、神父に助けを求める。しかしエミリーは悪魔祓いの最中に死亡。彼女の死は本当に悪魔によるものなのか、誰の責任なのかを問う裁判を描いた映画が『エミリー・ローズ』である。『エクソシスト』さながらのシーンは少ししか登場しないものの、精神的に重いと評判になったこの作品は、ドイツで実際に起こった事件を基に製作されている。

 作品のモデルとなったのはアンネリーゼ・ミシェル。16歳の頃からてんかんや幻聴に苦しめられるようになり、医師に処方された薬を飲むものの悪化。22歳で2人のカトリック司祭により悪魔祓いが行われ、6体の悪魔に取りつかれていたことが判明。悪魔祓いは成功したが、アンネリーゼは聖母マリアの「悪魔に取りつかれた大勢の人たちを救うため、もう一度悪魔に取りつかれ命を捧げなさい」という言葉を聞いたと言いだし、再度悪魔に取りつかれ、絶食生活に突入。23歳で亡くなった時には、体重はわずか30キロだったと伝えられている。

 多くのキリスト教徒から勇敢な少女だとたたえられている彼女だが、裁判では医師が「悪魔になど取りつかれていなかった」と証言。適切な治療を受けさせなかった、死は防ぐことができたとして、両親と司祭は過失致死で懲役刑、執行猶予6カ月の判決を受けた。

『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)

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 何世代にもわたって愛され続けている映画『サウンド・オブ・ミュージック』は、同名ミュージカルを映画化した作品。日本人にもおなじみの「ドレミのうた」「エーデルワイス」は、この映画から広まった歌である。映画は、家庭教師で修道女見習いのマリアと母のいない子どもたちの心温まる話を中心に、子どもたちの父へのマリアの淡い恋心、第二次世界大戦による動乱を描いている。

 ドラマチックに展開する『サウンド・オブ・ミュージック』は、実在したマリアが執筆した家族の歴史書を基に製作された作品である。修道女見習いだった彼女は映画同様、修道院長の勧めで母親を亡くした7人の子どもたちがいる家に家庭教師として住み込むようになり、歌を通し信頼を深めた。子どもたちの父親とも恋愛関係になり結婚。金融恐慌で全財産をなくしたり、ナチス政権下のドイツに併合されたオーストリアからアメリカに渡り、子どもたちと結成したトラップ・ファミリー合唱団で人気を集めるなど、波乱万丈の人生を送った。

 本を基にまずミュージカルが製作されたが、子どもたちの父親のキャラクターが実物とは大きく異なっており、映画化される時に直してほしいと提言したとのこと。映画でもミュージカル同様のキャラで描かれてしまい、彼女や子どもたちは、それをかなり不服としていたと伝えられている。

『戦慄の絆』(1988)

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 アーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートがデコボコな双子を演じたコメディ映画『ツインズ』が大ヒットした1988年。同じく双子が主人公のサイコ・スリラー映画が公開された。『戦慄の絆』というタイトルのカナダ映画である。幼い頃から一心同体に育ち産婦人科を開業する一卵性双生児の男性2人が、1人の女性により精神的に崩壊していくという、おどろおどろしいストーリーの作品である。悲劇は双子が強すぎる絆で結ばれていたこと、同じ外見だが兄は社交的で野心家、弟は内向的で繊細な性格と正反対だったことから起こったという設定であった。

 鬼才デビッド・クローネンバーグ監督、双子2役を演じたジェレミー・アイアンズ主演で絶賛された『戦慄の絆』は、実在した双子の産婦人科医がモデルとなっている。75年7月にニューヨークのマンションで遺体となって発見された一卵性双生児の産婦人科医、スチュワート&セロ・マーカスである。

 マーカス兄弟は幼い頃から何をするにも一緒で、同じ大学に進み、共に優秀な成績で卒業、同じ病院で働いていた。セロは離婚歴があるが死亡当時は独身、スチュワートは生涯独身であった。セロはバルビツールの鎮痛剤依存に陥っており、スチュワートがセロの仕事をこなすことで周囲にはバレずに済んでいたという。2人は互いに依存し合う関係であり、そのうちスチュワートもバルビツールに手を出し、2人とも重度の依存症に。2人が最後に共同で行った手術では手の震えが止まらないようなひどいありさまだったと看護師が証言している。

 2人が発見された時は、死後1週間たっており、司法解剖の結果、鎮痛剤が急激に体内から抜けたことによるショック死だったと報じられた。2人が命を絶つため薬を断ち切ったのか、それとも単に鎮痛剤が切れてしまい、どうにもならなくなってしまったのか、真相は闇の中である。なお、映画では女性の存在などフィクションが交えてあるが、一卵性双生児の精神状態を描くにあたりマーカス兄弟の関係を深く調査したと伝えられている。

『ジョーズ』(1975)

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 スティーヴン・スピルバーグの出世作となった、平和なビーチを襲う巨大な凶暴人食いザメを描いた『ジョーズ』。この映画はピーター・ベンチュリーのベストセラー小説を基に製作されたものだが、この小説は実話を基に脚色を施して執筆した作品であった。

 基となった一連の事件は、16年7月にニュージャージー州のジャージーショアで起こった。それまでサメが人間を襲うという事件がなかった平和なビーチで1日、遊泳中の男性がサメに襲われ命を落とすという事件が発生。警察は専門家たちの「このショアには人を襲うサメは来ない」という言葉をうのみにし、「心配することはありません」と発表したのだが、6日に再び遊泳中の男性が襲われ足を食いちぎられ死亡するという事件が起こり、12日には遊泳中の少年と助けに入った青年2人が襲われ死亡。別の少年も襲われ大けがを負った。

 周辺住民は最初震え上がったものの、ダイナマイトを海に投げ入れるなどサメ相手に大激怒。14日、近くの海上の漁船に引っかかったサメを殺し、腹を裂いてみたところ、人間の体が出てきた。その後、人間が襲われることはなくなり、捕まったサメの単独殺人だと断定された。サメはホオジロザメともオオジロザメだったとも伝えられている。

 ちなみに映画の名台詞「このボートじゃ小さすぎる」は、残念ながら実際には誰も発しなかったフィクションである。

『ターミナル』(2004)

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 感動の名作映画『ターミナル』は、母国クラコージアから航空機でアメリカに到着し、入国しようとしたところ母国でクーデターが勃発し国が消滅したため、パスポートが無効だと入国ビザを取り消されてしまった男が主人公の物語。母国にも戻れず、空港の外にも出られない彼は空港で生活をするようになり、空港ロビーの名物に。社交的な性格の主人公は、さまざまな空港労働者たちと友情を芽生えさせ、とある客室乗務員の女性に淡い恋愛感情を芽生えさせていく。スティーヴン・スピルバーグが監督、トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演と大物揃いのこの映画は、世界的な大ヒットとなった。

 クラコージアが架空の国であったり、クーデターで国がなくなったり、空港で生活するなど、あまりにも現実離れした作品だという人も少なくないが、スピルバーグはとある男性の実話を基に製作したと伝えられている。その男性の名はマーハン・カリミ・ナセリで、イラン国籍の難民。彼は、国連難民高等弁務官事務所により難民として認められたものの書類を掏られたため入国できず、フランスのシャルル・ド・ゴール空港のターミナル1で17年間生活することを強いられた。精神を病んだ彼は映画の主人公のように外交的な性格ではなく、気難しい男。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じた特別な客室乗務員の女性など、もちろんいなかった。マーハンは2006年に病に倒れて病院に搬送。フランス政府からの滞在許可書が発行されたため、もう空港生活は終了している。

 米ニューヨーク・タイムズは、スピルバーグ率いるドリームワークスは彼の物語を基に映画化するに当たり多額の謝礼金をマーハンに支払ったと報じたが、同社はノーコメント。現実はハリウッド映画と異なり、あまりにも悲惨なため、表立ってマーハンの名を出さないのだろうと見られている。

 ほかにも、61年にニューヨーク市警察本部薬物対策課の刑事が大量の密輸麻薬を押収した手柄を映画化した『フレンチ・コネクション』(71)、98年にオーストラリアのグレート・バリア・リーフでスキューバダイビング中に手違いで海に取り残されてしまいいまだに発見されていない夫婦の事件を基にした『オープン・ウォーター』(03)。アンソニー・ホプキンスが神父役を演じた『ザ・ライト エクソシストの真実』(11)、68年の南ベトナムの小さな村にパラシュートをつけて象を輸送するという『ダンボドロップ大作戦』も、実際にあったことを映画化した作品である。

 実際に起こったことに脚色を施して映画化されることがほとんどだが、実際の方がはるかに現実離れしているケースばかり。やはり現実に勝るドラマはないということなのだろう。



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