[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」12月7日号

「あの苦労も私には必要だった」と思うために、「婦人公論」がしつこく断捨離特集

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「婦人公論」12月7日号/中央公論新社

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「人生は『断捨離』の連続です 賢く捨てて、新しい私に出会う」です。「婦人公論」は、今年3月22日号と5月22日号でも断捨離企画を組んでいます。大好きなんですね。断捨離は、単にモノを捨てて整理することではなく、モノといっしょに人間関係や人生をスッキリさせることに重きを置いていることが、いつも人生のことばかり考えている「婦人公論」的にツボなんでしょう。

 今号も「断捨離」の提唱者で“クラター・コンサルタント”のやましたひでこが登場して、森昌子と対談し、人生のスッキリ論を語っています。……ちょっと待って! “クラター・コンサルタント”ってなんスか? ググってみたら、「クラター」とは「clutter」のことで、「散らかっているもの」「乱雑、混乱」といった意味があるそうです。ハァ、まずその肩書きをもっとスッキリしましょうよ。自分が何者か他人に端的に伝えるための肩書きに、一般人が聞き慣れない単語をあえて使うなんて、ねぇ。もしかして他人を煙に巻こうとしているんじゃないですか? 筆者は汚部屋住人代表として宣言します、断捨離にはだまされませんヨ!!

<トピック>
◎特集 人生は「断捨離」の連続です 賢く捨てて、新しい私に出会う
◎江原啓之 人生、苦があるから幸がある
◎「糖質制限」で、老けない、太らない

■今回も捨てたモノのひとつに“夫”が含まれていた!

 というわけで、やましたひでこと森昌子との対談「背負った荷物を下ろして生まれ変われました」を見てみましょう。やましたは、「時間の経過とともにモノは澱のように溜まっていきます。その溜まったモノの選別を通して今の自分を発見する作業が断捨離」と説いています。それを受けて森は次のように明かします。「私、7年前に47歳で離婚した時、子どもを連れバッグ一つで家を出たの。持ち出したのは、ずっと使っていた包丁に、子ども3人と私のお箸、子どもたちの勉強道具。そのほかは全部置いてきました」。このエピソードについてのやましたの感想。「潔い選択です。とはいえ、まったく執着せずに多くを手放したというのはすごい」。いやいや、それは潔いとか執着うんぬんの問題じゃなくて経済力の問題でしょ。

 2人の会話や対談のタイトル、特集タイトルから見てとれるのは、断捨離は“生まれ変わりたいという欲求”なのだということです。金銭面が許せば、誰だって別れた夫に買ってもらったモノはすべて置いてイチから新しくしたいですよ。モノも過去も捨てて生まれ変わりたいですよ。それってつまり、変身願望ってこと。その願望を、かつてはモノをプラスすることで叶えようとしてきました。いつもと違う洋服を買ったり、分不相応のブランドバッグを持ったり、自分の可能性とやらを信じて習い事を始めたり。でも結局、何をやっても何も変わらないことがわかった。だから今度は逆の発想で、過去のモノ(=自分)を捨てて変身する、それが断捨離ということなのではないかと思われます。

 やましたは、多くの人は親から受け継いだ価値観や社会の規範など、他人の価値観を知らずに背負っていると語っています。40代後半でそれが苦しいと気づき、「50歳を過ぎてから、本当の自分の人生が始まる。内側から湧いてくる価値観や選択基準によって、生まれ変わるんですね。その前に長く暗い産道を苦しみながら通りぬける。(略)産道を詰まらせているさまざまなものを取り除くのが、断捨離」。森は「そう。私もよけいなこだわりを捨てて、生まれ変わった感じなの」と応じます。プラスの理論で盛れば変われると無邪気に思っている小娘が、何も変わらないと悟るのが40代くらいなのかもしれません。

 そして、この生まれ変わりたいという欲望の果てになにがあるのか。森は、人生において後悔した選択はあるか、と聞かれ、「何ひとつないです」と答えています。やましたは「今の自分を肯定できるようになったために、過去のどんな大変な経験も肯定できるようになったのでしょう」ともっともらしく分析します。要するに、断捨離して生まれ変わる(と思い込む)、という大仰なイベントを経て、したかったことは自己肯定なんですね。認めたいの、自分を、自分で。“今”を断ち切って“過去”として客観視することで、「あの苦労も私には必要だった」と認めたい。そのために、断捨離という儀式が必要なんですね。

 というわけで、汚部屋住人代表の筆者は、だらしな~い今の自分を思いっきり肯定してますんで、断捨離は必要ないという結論に達しました! 汚部屋万歳……ってやっぱりダメですか、ダメですよね。

■生まれ変わったのは江原啓之!? 今やただのコメンテーターに

 考えてみれば「婦人公論」に限らず、女性誌に掲載されている多くの事柄は、この「生まれ変わりたい欲望」と「自己肯定」を行ったり来たりしているように思います。ファッションも美容もそう。その最も象徴的な人がスピリチュアリスト(←この肩書きも煙に巻く系)の江原啓之です。ブームがとっくに過ぎ、一般的には「あの人は今」状態ではありますが、相変わらず「婦人公論」は大好き。「人生、苦があるから幸がある」という悩み相談の連載を設けています。今回の相談者は39歳の主婦。婦人科系疾患やメニエール病、パニック障害を患っており、「子どもを産んでも育てられない」とこれまで子どもを持つことを拒否してきたが、今になってそのことを後悔しているという悩みです。

 いいこと言ってるんですよ、江原。「深刻なないものねだりをする人もいますが、そうした人は、どういう人生を選んでも満足することがありません」「産む自由もあるし、産まない自由もある」「今ある自分の幸せに気づいてください」「『妻として、女としてこうあるべき』といった、自分が勝手に作り上げた理想に振り回されてはいけません」等々、どこを取ってもまっとうなアドバイスをしている。前世や魂のアヤしげな話はなし。

 はっきり言って最近の江原はスピリチュアリストではなく単なるコメンテーターです。でも、スピリチュアリストの肩書きでもなければ、ただのメタボなオッサンの話なんか聞きたくないですよね。スピリチュアルというプチ儀式がないと、自分が劇的に変われる気がしないですよね。自分が変われなければ自己肯定の境地にも辿り着けないというわけなんです。

 現代の女性は属性によって生活スタイルがまったく違います。既婚・独身・子どもあり・子どもなし・仕事あり・主婦。幾通りもある選択肢が加齢とともに減ってきて、節目節目で自分の選択は正しかったのか見直さざるを得ない場面も多くあります。いつも迷うし後悔するし他人が妬ましい。悲しくなるほど、私たちはいつも何かと戦っている。女性誌は、そんな時の癒しの役目を果たしているのかもしれません。部屋を片付ければ、魂を美しくすれば、この服を買えば、このメイクにすれば、ダイエットすれば「変われるよ」。でも、それは「そのままでいいよ」と言ってもらいたい気持ちの裏返し。こうして書くと、なんだか女性誌セラピーって哀しいけど、でもいいよ、がんばっていこうよ。
(亀井百合子)

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