[女性誌速攻レビュー]「Ray」1月号

恋愛がすべてじゃない……クリスマスの“墓場”を設けた「Ray」の意図

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「Ray」2013年1月号/主婦の友社

 先月号のレビューで、「Ray」(主婦の友社)がクリスマスに浮かれすぎていると書きましたが、引き続き今月号も、クリスマス・ハイは続行中。来たる12月15日には、サマンサタバサと「Ray」ガールズたちが、クリスマス女子会を開催するんだとか。クリスマスパーティーにしては早すぎる日程と思われるかもしれませんが、イベント大好き「Ray」読者たちが、現時点で12月の休日に予定が入ってないなんて、ありえないんです! しかしこのパーティー、よくよく見てみると、15時開始の18時終了。女友達と、昼過ぎにファミレスでダベる程度の会か……と、一瞬そのハードルの低さに安堵したのですが、なんと、ご丁寧に「ピンク・リボン・ハートのいずれかを含んだコーディネート」というドレスコードが指定されていました。この3つこそが、「Ray」のガールズイズムの象徴なのでしょうか? そこを突き詰めると、大助花子の花子師匠に行き着くような気がしなくもありませんが、早速「Ray」12月号を読んでいきましょう。

<トピック>
◎聖なる一夜のためにしたいこと
◎THE プリ(はぁと)クラGossip!
◎うれし、はずかしクリスマスSTORY

■“マライア”を捨てきれなかった看板モデル

 今月号でまず目を引いたのは、「聖なる一夜のためにしたいこと」という特集です。「Ray」の看板モデル、香里奈・今井りか・泉里香が、各々のクリスマスを楽しむアイデアを提案しています。中でも気になったのは、「おうちクリスマスに欠かせない盛り上げグッズを用意する」というアイデア。モデル3人のセレクトしたBGMやDVDが紹介されているのですが、マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」、坂本龍一「戦場のメリークリスマス」、B’z「いつかのメリークリスマス」、『ボディーガード』、『天使にラブ・ソングを』など、定番ではありながらも、ちょい古感溢れるラインナップに。

 気になって調べてみると、泉里香は24歳ですが、香里奈と今井りかは来年2月で29歳。読者層である女子大生よりおおよそ10歳も年上なんです。90年代前半、まだ日本が元気だったあの頃のクリスマスが、記憶に残っている世代なのでしょう。その記憶が、彼女たちに“マライア”という選択肢を捨てさせなかったのでは? と勘ぐってしまいます。もちろん、「Ray」は女子大生向けに企画が練られていますが、毎号ページを割かれまくっている看板モデルの高齢化により、このようなBBA Zoneが、たまにポロリしてしまうのも事実なのです。

 そんな中、「読モ歴が長~いゆっこ&ぴろみんの ちょっぴりおつぼね対談」に登場したのは、平有紀子(24歳)と新部宏美(23歳)。香里奈と今井りかの立場をガン無視で突き進む企画ですが、その内容の大半は、「後輩に怖がられていないか」という不安について。「ソファの上座を譲られたりするようになった」「カラオケに一緒に行っても、『聴いてるだけで楽しいんで、どうぞ歌ってください!』とか遠慮されちゃって」「つき合いたての恋愛トークに入っていけない感はあるよね」「しまいに、新部ちゃんとゆっこさんを見習いたいです!っていわれる、みたいなパターンが多いかな(笑)」「でもやっぱり恋愛トークが一番近くなれるから、『最近カレとどお?』みたいなのは聞くよ」など、女なら誰しもが経験する、年を取ることによる「コミュニケーションとか人間関係のちょっとした変化」が語られていました。

 30代も半ばを過ぎれば、20歳も23歳も「若かった頃」とひとまとめの思い出になってしまいます。しかし、その世代の小さな戸惑いを、世間から「恋愛にしか興味がないキャピキャピ系の女子大生」向けとみられる「Ray」がしっかりすくい上げているのは、非常に新鮮に映りました。看板モデルが“看板”たるがゆえに、読者と自身の世代間ギャップを、真面目に語ることも笑いにもできず、ただただ誌面に不穏なBBAの気配をもたらしている中、こうした読モの率直な声は、雑誌に躍動感を与えるなぁと感じました。

■クリスマスに敗れた女の子へ……

 さて、そんな「ちょっぴりおつぼね対談」を一番読んでほしかったキャピキャピ現役女子大生たちは、やはり目前に迫ったクリスマスに向けて、ハッピー意識を研ぎ澄ますことに必死のようです。「おばさんの栄光時代はいつだよ……女子大生の時か? 私は……私は今(クリスマス)なんだよ!」とでも言わんばかりの企画「うれし、はずかしクリスマスSTORY」を読んでいきましょう。

 「クリスマスまであと1カ月……。(略)すでに予定がある人も、これからの人にも読んでほしいエピソードを集めました★」とのことですが、眩暈がするような素敵なエピソードに溢れています。

 「おしゃれなBARで開かれたクリスマスパーティーにちょっとだけドレスアップして参加。ずっとアップテンポな曲で盛り上がってたんだけど、ふっとスローな曲になったときに、ネックレスをプレゼントされて感動しました」という、「出演:吉田栄作、中山美穂」なトレンディ系エピソードから、「高校生の頃、当時つき合っていたカレから、くまの大きなぬいぐるみをプレゼントされました。一瞬、『え? ぬいぐるみ??』と思ったんだけど、よく見たらそのくまの腕には私が好きなブランドの時計が! 感動でした(はぁと)」という、「出演:山下智久、長沢まさみ」なジャニドラマ系エピソードまで、いろとりどり。どちらも落としどころが「金目のものをもらった」だったのが気になりますが、中には、「大型スーパーへ行ったら、サンタ帽をかぶってバイトしている友達を発見! 驚かせようと、そっと近づき声をかけたら人違い……。『あ、すみません!』と謝ったら『メリークリスマス!』と返されて、ちょっと幸せな気分になりました」という、むりやりハッピーにこじつける力技を見せつける者も。

 しかし、この企画で最も注目すべきなのは、今までのクリスマスフィーバーを自戒するような「史上最低なXmas体験談」。「クリスマスにカレが欲しくて欲しくて、好きでもない人に告白」「クリスマスに見栄を張って友達の誘いを断ったらばったり遭遇!」「クリスマスイヴに別れ話。クリスマス当日、カレは別の女のもとへ」など、先月号で、「12日間もあったら、彼氏ぐらい作れるっしょ」と読者をけしかけていた編集部が、一転、恋愛至上主義のクリスマス計画に警鐘を鳴らしているのです。

 もしかしたらこれは、編集部の優しさなのかもしれません。最高にハッピーなクリスマスに向けて、準備を積み重ねてきたのに、もしその思いが実らなかったら……そんな女の子のために、あらかじめ「でも、人生クリスマスがすべてじゃないよ」と伝えたかったのでは? と。そう思って、再度「Ray」を読み返してみると、1カ月着回しコーデ企画では、主人公が「クリスマスイヴに母親と旅行」「クリスマスに仕事」というスケジュールをこなしていたり、シーン別コーデ企画では、何故か「仲直りデート」コーデが紹介されていたり……。極めつけは、読モが「ケーキを買って彼氏の実家に行ったんだけど、カレママにいやみをいわれて。そのことでカレと大ゲンカして、買ったケーキも食べずに号泣しながら帰ったよ」という、二十歳そこそこで嫁姑問題を疑似体験した思い出を語っていました。

 まだ、クリスマスまで1カ月もあるのに、あらかじめ「墓場」も設けておく……。雑誌として尖がってない、そう言われればその通りなのですが、一段と冷え込みを増す今日この頃、「Ray」のホスピタリティは心をじんわりと温めてくれるようです。
(豊島ユイ)

先に墓場で飲みながら待ってる

しぃちゃん

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