[女性誌速攻レビュー]「nina's」11月号

オシャレとセックスは相性が悪い!? 「nina’s」読者もセックスは子作り限定

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「nina's」(祥伝社)2012年11月号

 長らくおしゃれママ界をけん引してきた千秋の連載が前号で終了。7月号で表紙を飾ったオセロ・松嶋尚美が、千秋と入れ替わる形で新たに連載をスタートさせました。7月号のレビューでもお伝えしましたが、この人の「悩みなし、思想なし、ただおしゃれ!」という志向は、クリエイティブという名の下にシャレ散らかすだけシャレ散らかす「nina's」にピッタリ。同じ高齢おしゃれガールでも、そこはかとなく育ちの良さや知性を漂わせる千秋と、子どもを産んでますますそのお気楽極楽感に拍車がかかる松嶋尚美では、抱えている信者層も異なりそうです。ちなみにこの連載は松嶋尚美が「知りたいことや、やりたいことに体当たりで挑戦するで!」という内容らしく、初回はこの秋「尚美mama」が注目するおしゃれワンピの「きらきらHappyな着こなし」をチェックだそう……。「nina's」の“軽量化”が止まりません。

<トピックス>
◎売れてる! 欲しい! 流行ってる! ママの「コレイイ」大発表!
◎子どもに聴かせたいGOOD MUSIC
◎家族何人? 教えて!! 家族計画

■誌面に登場する芸能人の地方臭ハンパねえ!

 今月の大特集は「売れてる! 欲しい! 流行ってる! ママの『コレイイ』大発表!」。ジャンルレスなランキングのほか、「育てるにイイ」「着るにイイ」「贈るにイイ」「遊ぶにイイ」などキーワードごとにオススメアイテムを紹介しています。読み始めは「赤すぐ」(リクルート)、「Baby-mo」(主婦の友社)と大した違いはありませんが、やはり特集後半に向かうにつれて隠しきれない「nina’s」臭が。「ちくちく刺繍ママが急増中」「おしゃれ人の家に必ずあるキリム(※中東の平織り絨毯のこと)」「巷ではムーミンコラボが流行中」など射程範囲セマセマな情報があふれています。この特集にも「流行を追いかけたいミーハー心」と「普遍的かつ独創的なおしゃれを突き詰めたい気持ち」が絶妙に入り混じっているんですよね。

 「nina’s」は、そういった矛盾を抱えているママ雑誌です。表紙には鈴木紗理奈、モデルとして登場する小倉優子、東原亜希、MEGUMI、品川庄司の庄司智春、山口智充、「子育てがはずむペットのいる暮らし」には、ほしのあき、住谷杏奈……共通点は「子どもがいる」ということくらいの、まさに“That’s俗世”というタレントたちが数多く顔を揃えます。「子どもに聴かせたいGOOD MUSIC」のようなクリエイティブ魂の見せどころページでも、hitomiやMINMIなどベタな人選の隙間に市井紗耶香やGAKU-MCを入れ込む俗っぽさ。ただ、元ちとせやhitomiは己の楽曲を「子育ておすすめCD」として紹介しているのに、市井紗耶香はモー娘。をオススメしていないし、もちろん「DA.YO.NE」もありません。どうやらそこは違うみたいです。

 「nina’s」を読んでいていつも感じるのは、おしゃれライフを標榜する雑誌なのに、モデルが東原亜希や小倉優子やほしのあきでいいのか? という単純な疑問です。どんな芸能人でも「ママ」「パパ」になれば、おしゃれの土俵に上がっていいという謎の不文律が「nina’s」にはあるのです。ファッションより、谷間と割れ目で稼いでいた女が、母になることで「クリエイティブな私」になれる。出産で過去をなかったことにするこの手法、「nina’s」式おしゃれロンダリングと名付けたいと思います。

■お母さんも前髪ぱっつんが多め

 続きまして、「nina’s」では珍しいセックスの話題「家族何人? 教えて!! 家族計画」を見てみましょう。ママ雑誌では定番のこの企画も、泥臭いことを好まない「nina’s」ではあまりお見かけしないもの。

 (クリエイターな)パパと(手作り好きな)ママと(前髪ぱっつんの)子どもの「ゴールデントライアングル」が、「nina’s」的標準家庭のイメージです。子どもが増えることでワサワサしたくない。この余裕を失いたくない。それは多くの読者ママも感じているよう。「2人目が欲しい……その時、ママが抱える不安とは?」として、精神的不安や体力的不安、経済的不安が挙げられています。アンケート「nina’sママ家族データnow」によると、31~35歳のママが約半数を占め、さらに専業主婦も半数以上。世帯年収は700~800万円という層が最も多く、続いて600~700万円、500~600万円が続きます。少ない子どもに手をかけながら育てるには、いいラインではないでしょうか。だからこそ、このバランスを崩すのが怖いとも言えますね。

 驚いたのは「2人目妊娠のためにおさえるべきポイントはコレ!!」というページ。「旦那様と将来の家族計画について話しますか?」という質問に、約8割のママが「yes」と答えているのに、「ひとり目出産後、いつ頃からSEXを再開した?」という質問には「1年以降が30%以上」、さらに「SEXの頻度は?」には「2ヶ月に1、2回」……。「産後、性欲が減退し、セックスが億劫になるママ多数」「排卵日を狙っての子作りセックスのみ、という夫婦ばかりという結果に!」など、その淡白な夫婦生活に危惧を抱いたコメントが並んでいました。

 「ひとり目がスムーズにできたからと言って、2人目もすぐにできるとは限らない。月1回の排卵日にタイミングを取るだけでは、実は妊娠しにくいんです」「子づくりのために義務的なセックスをするのではなく、普段から旦那様とスキンシップをとり、夫婦のいい関係を築いていきましょう」とは、不妊治療専門クリニックの先生の弁。さまざまなママ雑誌で耳にタコができるくらい聞いたフレーズです。パパが育児に積極的に介入し、夫婦で同じ趣味を持ち、休みの日にはおしゃれして公園やら買い物やらに出かける「nina’s」親子。おしゃれという絆で深く結ばれている夫婦も、裸の悩みはよその夫婦と大して変わらないのですね。いや、もしかしたらその「おしゃれの絆」が、むき出しで泥臭いセックスを遠ざけているのかもしれません。単なる非おしゃれ民の邪推にすぎませんが。

 やはり「nina’s」でもセックスの話題は「子づくり限定」トピックスでした。ほかのママ雑誌と比べて目新しさも特になかった企画でしたが、読後なぜか心に大きな重しが乗っかったような気分。なんだか、あの少ない質問への回答におしゃれママたちの声なき声が聞こえるような気がします。日々生まれ出る悩みをクリエイティブという鎧で覆い隠す「nina’s」。ママたちのぐつぐつドロドロした本音に「悩みなし、思想なし、ただおしゃれ!」という呪文をかけ、出産ロンダリングしたママタレントが語るペラっとした育児に共感させる。いやぁ「nina’s」、侮れません。
(西澤千央)

読者とキューピーのCMの親和性の高さよ!

しぃちゃん

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