[女性誌速攻レビュー]「Domani」11月号

「Domani」の新語「ハブ女」、それはとても悲しい生き物……

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「Domani」2012年11月号(小学館)

 今月号の「Domani」、はじめに真面目な話を。今号には「味噌汁は“飲む”点滴です!」という美容・健康情報企画があります。味噌汁の効能とレシピが紹介されているのですが、問題は皮膚科医・内科医でテレビのコメンテーターの友利新医師による効能説明の箇所。「がん予防」「老化防止」「美白効果」「脳の新陳代謝UP」の後に書かれているのは「放射線障害の軽減」。詳細を見てみると、「原爆の後遺症調査の中に『味噌を食べていたので原爆後遺症が少なくて済んだという話が。味噌に含まれるジピコリン酸という物質に、放射性物質を排出する作用があるのだとか。チェルノブイリ原発事故の直後には、味噌の輸出量が2トンから14トンに急増したそう!」とオール伝聞口調で、かなり明るく書かれています。

 あの「3月11日」以降、被災した人と、それ以外の人の時間が流れる速度が異なることも仕方がないことだ思います。それにしても、「美白効果」「老化防止」と並列で「放射線障害の軽減」を語るべきなんでしょうか。友利医師は福島に行って、「味噌汁は美白と老化防止と放射線障害の軽減に効果があるようですよ!」と言えるんでしょうか。徒に過敏になることは不要ですが、社会的な問題であるはずの放射線問題を、実証もせずに医師の伝聞だけでお手軽に話題にした「Domani」の罪も軽くはないはずです。

<トピック>
◎味噌汁は“飲む”点滴です
◎連載「産む? 産まない? する? しない?」
◎大人の女には“つながり”がある! 『職場で、流行ってること』連絡網(つながり)BOOK

既婚女の上から目線ハンパない!

 今月号の特集は「女には“かっこいいスカートの日”“女らしいパンツの日”があります!」なのですが、先月号の「まちゃあきパンツ&アンジータイト」となんら変わりない内容なのでスルーします。ファッションページを読みたい人は本屋へどうぞ!

 このレビューで何度も取り上げている連載「産む? 産まない? する? しない?」を見てみましょう。このコーナーは、独身「女」、既婚子どもなし「妻」、既婚子どもあり「母」と、異なるライフステージの読者モデル「Domaniメイツ」による座談会です。今回は母メイツと女メイツが「恋愛」をテーマに話し合っています。基本的には、母メイツが“あたいたちも恋愛したいんだけど、立場がねぇ……だから妄想でエア恋愛してんのよ~”と手首のスナップを利かせてしゃべり、女メイツが“だめんず好きなんでぇ~普通の人とはうまく行かないしぃ~、今は仕事中心で自由な時間がほしいかもぉ~”とくねくねしながら言っている、という姿を想像していただければ誌面とそれほど大きく違っていないと思います。座談会本文とは別枠で、心理カウンセラーの方が30代の恋愛事情について、次のように分析しています。

「人の行動は、まず“想い”があって、それが“行動”に移るもの。“彼が欲しい”と思っているのになかなかできない。そんな人は“本当は欲しくない”という気持ちのほうがおおきく、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態かもしれません」

 で、ここであらためて今回の座談会参加者のプロフィールを見てみると、女メイツ3人のうち、恋人がいない人は2人。また今優先したいものとして1番に「自由な時間」を挙げたのが2人、もう1人は「メイツ活動」と「Domani」の読者モデル活動に命を懸けているようです。「恋愛」は3人とも2位、3位、4位とあって、「自由な時間」よりも下。やっぱり「アクセルとブレーキを同時に踏んだ状態」なんでしょう。じゃあ、恋愛よりも優先する、「自由な時間」に何をしているかと思うと、それも今月号に答えがあるのです。

だから冒険は止めておけと……

 それが「大人の女には“つながり”がある! 『職場で、流行ってること』連絡網(つながり)BOOK」というページです。いわく、「世界各地への航空路線をもつ“ハブ空港”にヒントを得て、人と人とをつなげるパイプ役を自然と担っている女性を“ハブ女”と命名」と、かなり危険な冒険をし始めた「Domani」。いまどきインディ・ジョーンズでもそんな冒険はしないぜ! ブランドの広報をしているというハブ女は、阿波踊りや英会話ヨガやブラジルの名物料理「シャハスコ」を食べるサークルまで作っちゃって大忙し。夜中に1人でサイゾーウーマンを回遊しまくっている系の女子が「英会話やるぐらいの国際派なら、裏ピース(外国では相手を侮辱する行為)で写真に写っているお友達に注意してあげなね」と姑根性丸出しになるほどのスーパーリア充っぷり。

 ほかにも、月光浴パーティーをする美女、「SATCサタデーブランチの会」で予想通り頭にサングラスを乗っけている美女、恵比寿界隈でエクササイズやウォーキングに精を出す「EBS(エビス)会」の美女、六本木で朝7時半から女子会をやる美女など、胸にポジティブ、眉間にドヤ、キュッと上げた口角に「私が!私が!」感を宿らせて、写真に収まっています。

 と思いきや、「“つながり”の裏にはトラブルもある! 大人の女の“つながりトラブル”覆面座談会」とし、「つながり」の暗黒面を語っています。メールアプリ「LINE」を使って大人数で女子会の日時・場所を決めるだけで1000通を超えるメールのやり取りになった、趣味グループ内で二股をかけた女性によって解散したなど、最新型から旧来型までコミュニティのトラブルがあるようです。「『こんな人がいたらイヤだ!』と思うのはどんな人?」という問いかけに、「え~、たくさんいるかも」と答えた人がいましたが、現実はこんなものでしょう。家庭も仕事も恋人がいても自分の時間を確保するほど我の強いタイプが集まれば、外側から見るよりも内実はよっぽど表面的な会話をするか、バチバチな舌戦を繰り広げるか……。「30代になって、家庭もあったりすると、無理して交友関係を広げようとはしなくなる。自分が好きな人とだけ交流してけばいいと思うんです」という参加者の言葉がありましたが、結局は「つながり」に疲れて、心地よい一人に戻りそう。「ハブ女」は結局コミュニティから自分を「ハブ」にする女、ということになりそうです。ハブ女、やっぱり悲しい響き……。あれほど、危険な冒険はするなって言ったのによぉ、「Domani」さんよぉ。

 恋愛とがっぷり四つ組み合う勇気も気力もなく、「自由な時間」を使って「つながり」を求めたはずが、やっぱりハブ女になって一人になる。どうですか、この悲しい循環。いつも「いい女いい女」と表面を取り繕う「Domani」も、一皮むけば孤独になるまいと必死なんです。ただそれを冷笑することができますか? 孤独に打ちひしがれるのは独身だろうが、既婚者だろうが、子どもがいようが一緒。夜中に一人でサイゾーウーマンを回遊しまくっている系の女子だって一緒。孤独からの脱却法は、結局自分と向き合うことでしか見つけられないのですから。
(小島かほり)

今の時代、「つながり」ほど胡散臭い言葉はないよ

しぃちゃん

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