[短期集中連載]オンナ1人で訴訟できるかな第1回

「私の敷金、返してよ!」誰にでも降りかかる賃貸トラブル訴訟に立つ!

いつ誰の身に降りかかってもおかしくない、賃貸トラブル。とんでもない修繕費用を吹っかけられ、泣く泣く応じた人もいるのではないだろうか? 今回、そんな憂き目に遭ったライターが、一念発起。「こんな修繕費用は払わねぇ!」と、女1人、訴訟に乗り出した……!

■突如の賃貸トラブル勃発!?

 このご時世、「憧れのマイホーム」に住む幸せなてんとう虫みたいな人は、どれだけいるだろうか。あくせくと働く多くの人間が、賃貸住宅に身を寄せているのではないか。そしてこれから書く出来事は、そんな人たちにいつ降りかかってくるか分からない現実である。不動産トラブルで最も多いと思われる、「敷金返却問題」だ。

 筆者は6年前から、神奈川県×市のマンションに住んでいる。2DK+1畳のお仕置き部屋付き、東南西向きの角部屋で日の出から日の入りまで日が当たる、月々7万6,000円という物件。このマンションは、大家さんが日々の管理を不動産会社に委託しているので、雑多な連絡やらなにやらは全部その管理会社(不動産会社)と行う。家賃も管理会社の口座に払っている。

 しかしある日、管理会社から「3週間後に更新日が来ますので更新どうぞ」みたいな連絡が来た。おいおい、ツッコミどころが満載だ。通常、数カ月前に連絡するのが決まりらしいのに。なんか気に入らないので家賃の値下げ交渉をしてみたが、どうもスムーズに話し合えない。まあ田舎暮らしに飽きたところでもあるし、引っ越ししよう、そうしよう。というわけで無事に荷物を運び出し、管理会社と退去の立ち会いの日になった。この立ち会いも用心しないといけない。「文句は言わせねーぞ」と意気込んで、部屋を磨いておいた。……ふう。いや~、「今までどうもありがとう」という思いを込めて撮った写真を後々証拠写真に使うことになるとはね!

■ありえない修繕費用の請求!

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立ち会いの日、景色が映るくらい床はぴかぴか
に磨きました。

 その立ち会いは、まるで昼ドラに出てくる嫁姑バトルのようだった。

 人差し指でホコリをぬぐい「香菜子さん、これは?」みたいな勢いで、あら探しをするのである。

 「サッシに電話線のレールが残ってる」だの、「LANケーブルが残ってる」だのと、ちくちくうるさく言ってくる。引き渡しというより、すげえ金持ちの御曹司んちに嫁ごうとして、いろいろ姑からいびられてる感じ。こんな引き渡しは初めてだよ。

 そして数日後、送られてきた修繕費用の請求は、クリーニング代含めて9万円ほど(敷金が14万だったので差し引き約5万が返却される計算)。新居探しでお世話になった不動産の営業さんからは「その広さだったら、綺麗に使っていれば多くても引かれて4万くらいかな」と聞いていた。うーん……9万はかかりすぎじゃね?

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このベランダの溝から土を取り除くだ
けで5,000円。みなさん、バイトするな
ら今すぐ神奈川県の不動産屋にGO!

請求の内訳は、
ベランダ泥処分 5,000円
サッシ塗装 11,500円
クロス張替 4,500円
ふすま張替 28,000円
コンセントカバー 2,000円
室内クリーニング 35,000円

 初っぱならから「ベランダ泥処分代」という聞き慣れない項目がある。これはベランダで家庭菜園をしていた名残で、洗面器一杯分くらいの土が溝に残っていたのだが、それを掃除した代金だそうだ。……なぜ、部屋のクリーニング代と別途に請求されるのかしらん。

 クロス張替は、パソコン焼けを指摘されていた分、ふすまは契約書の特約条項に退去時には張替代を払うことと記載があった分だ。サッシ塗装はよくわからん。

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(左)何年か前に突然剥がれて落ちて、どっかに行っちゃったコンセントカバー2,000円。
(右)量販店に行ったら……あれ、コンセントカバーが80円で売ってるよ?
みなさん、バイトするなら……。

■やっぱり怪しい……調査してみた!

 実は引っ越しの半年ほど前に、このマンションの管理会社が変更になっている。元の管理会社の方たちはとても感じがよくて、家賃の支払いが遅れても寛大に許してくれるどころか「今月、まだ支払いないけど、15日過ぎに来月分と一緒でいいですよ」とか言ってくれる素敵な不動産屋さんだった。この際、このマンションの管理を辞めた理由を聞いてみよう。倒産とかだったらなんだか不穏だし。

 電話してみたところ、端的に言うと、大家ともめて辞めたということだった。元の管理会社が寛容なのは今までのつきあいでよくわかっている。では怪しいのは大家の方だ。振込や実際のやりとりは管理会社を通すけど、金銭に関わる決定権は大家にある。つまり今回の請求は、大家の意志で行われているのである。これはやはり少し多めに修繕費を請求されてるんではないだろうか。

 賃貸のトラブルに関しては、消費者センターや不動産トラブル専門の窓口など、相談できるところが結構ある。そこに片っ端から電話をしてみた。しかしどこも答えは同じ。「クロスのパソコン焼けは過失、特約に記載された項目は契約したのだから支払わなければいけない。コンセントカバーも紛失したのは借り主の責任、取り消しにできるのは泥処分代くらいかな」という返事であった。むーう。

■不動産屋相手に訴訟を決意!

 そうこうしている間にも、新しい方の管理会社からは繰り返し「ベランダに泥を捨てていく人なんて、普通いません!」と言われ、請求項目に納得がいかないと言うと、「大家さんはこんなにあなたによくしているのに、どうしてあなたは大家さんに譲歩しないんですか!」とものすごく感情的になって私にガミガミ言い続けてくる。大家の言い分を大人しく飲まないお前がおかしいと言うんである。

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 しかし引っ越しの際にお世話になった不動産の営業さんはこう言っていた。「今は消費者保護法でしっかり借り主の権利が守られているから、いざとなったら訴えればいいんです。特約も、クリーニング代の請求も、大家に勝ち目はありません。全額戻ってくるはずです。戦えば、必ず勝てますよ」戦えば、必ず勝てる……。戦闘マンガの名ゼリフみたいだ。

 ちょっと調べてみると、こういう戦いの場合、たいてい最終決戦は「少額訴訟」となるようだ。少額訴訟……滅多に体験できるものではない。これはライターとしてぜひともやっとくべきじゃないのか。そして、「戦えば、必ず勝てる」という言葉。なにより管理会社の誠意のない態度はどうにもこうにも腹立たしい。交渉ができないのなら、もう戦うしかない。こうなったらとことんやってやる。目指すは、「敷金全額返還」である。

<つづく>

【オンナ1人で賃貸トラブル訴訟のポイント】
◆管理会社が変わったら注意
 危ない事情の場合が多いらしい。事情がよくわかり対処のしようがあるので、元の会社や大家さんに経緯を聞いてみよう。 そしてたいてい新しい管理会社は、大家に取り入らなければいけない時期なので、圧倒的に大家寄りの対応をするのだそうな。

◆入居時よりも退去の方が重要
 よく、「入居時に写真を撮っておこう」みたいなこと言われるけど、今回請求されたのは「元が綺麗かどうか」に関係ない部分ばかり。それよりも退去時の写真の方が大事。または入居時に、大家や管理会社の体質を見極めておくか。

◆相談窓口は役に立たない
 賃貸について相談に乗ってくれるとうたっている窓口すべてに電話したが、当たり障りのない答えしか言ってくれず、「修繕費用の請求がちょっと多めだった」程度では、代わりに交渉してくれることもない。今回、最も役に立たなかった相談場所。

和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター。女性向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。

キティちゃん柄だって500円ちょっとよ~?

しぃちゃん



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