ここでも政治問題が……

中国市場に気を使い……来日できない台湾アイドルたちの不自由な状況

2012/09/30 19:00
『SUPER HOT』/ポニーキャニオン

 25日、台湾の漁船団40隻が尖閣諸島付近の領海に侵入した。これまで韓国や中国同様、台湾でも小規模なデモはあったが、ここまで大きな活動は初めてだ。これにより、日本における台湾のエンターテインメント活動はどんな影響を受けるのだろうか?

 台湾に詳しいライターは、「こうした抗議活動の前から、台湾は韓国や中国のとばっちりを受けているんですよ」と語る。

「竹島問題で、テレビ局は韓流ドラマの放送を見合わせにする事例が何件かありました。そのドラマの中に、なぜか台湾ドラマも入っていたんです」

 そのドラマとは、台湾で制作された『絶対彼氏~My Perfect Darling~』だ。日本の漫画が原作で、速水もこみち、水嶋ヒロ、相武紗季の主演で2008年にドラマ化されたこともある。台湾版では主演をアイドルグループ・飛輪海のジローが務め、ヒロインを韓国の女優、ク・ヘソンが演じている。このク・ヘソンが原因となって、日本での放送がとりやめとなったのだ

「ク・ヘソンは2008年に、竹島について『韓国領であるのは常識』と語ったことがありました。その発言が原因で、放送が見合わせになったのではないかといわれています。台湾ドラマなのに竹島発言の影響で見合わせになるのは、ちょっととばっちりのような気がします」(同)

 このほかにも、台湾のアイドルの来日が中止になった事例もあるそうだ。

「台湾のアイドルのSHOW(ショウ・ルオ)は親日家として有名で、独学で日本語も覚えたほど。日本のバラエティでも、その流暢な日本語でキャラクターをアピールしていました。シングルを発売すればオリコンで10位以内に入るなど、まさにこれから! という感じでしたが、今回の尖閣問題で来日が延期になってしまいました」

 台湾の漁船が侵入する以前には、来日を中止する理由などなかったように思えるが、問題はほかにあるという。

「台湾のアイドルたちは、中国でのビジネスも重要な位置づけなんです。なので、こういう時期に必要以上に親日をアピールすると、中国での活動ができなくなってしまうんです。台湾は国としても認められていないため、常に中国の動向を見ながら活動している状況です」(同)

 必要以上に親日アピールをしたアイドルがトラブルに巻き込まれるという出来事は、これまでにも多々あった。

「レイニー・ヤンというアイドルは、『日中戦争はたった8年だけだったの?』『前世は日本人だったと思う』などと発言したために、長らく中国でバッシングを受けてきました。現在の中国は、日本に少しでも関わるものが攻撃される状況なので、彼女も被害を逃れ恐れて、今月半ばに予定されていた中国での新譜キャンペーンもを取りやめてしまいました」

 このほか、今冬放送予定のHey!Say!JUMP・山田涼介主演『金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件』(日本テレビ系)には台湾からビビアン・スーや飛輪海の元メンバー、ウーズンなどが出演しているが、中国のウーズンファンから降板を求める声が挙がっている。

 騒動の大きさに反して、韓国アイドルや俳優の来日イベントの中止は少ないが、それに比べると台湾アイドルの不自由な状況は、来日を心待ちにするファンからすればつらいところだろう。

最終更新:2012/10/01 18:15
『SUPER HOT 』
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