[女性誌速攻レビュー]「MORE」10月号

男目線は気にしないけど給与明細は気になる「MORE」娘の二枚舌外交

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「MORE」2012年10月号(集英社)

 今月号の表紙は、綾瀬はるかです。以前レビューで綾瀬はるかを「膝のいい状態の小錦並みの安定感」と表現しましたが、もうそんなもんじゃありませんね。もはや1ピリオドも落とさず、オリンピック3連覇を達成した女子レスリングの吉田沙保里状態です。今回は表紙に加え「カバーガール・ルポ」として、台湾密着取材も敢行。このルポがまぁ120点。落ち度が一切見当たりません。「感動したのは練乳のかき氷!かき氷は何か所かで食べたんですけど、練乳を凍らせたものをかき氷にして、マンゴーがのっているのがあって、すごく好きな味でした。小龍包もホントにおいしかった(はぁと)」どうですか、かき氷を語ることで己を語らせようなどとは微塵も感じさせないこののっぺりとした優良回答。「1人だとご飯の時に寂しいから、一人旅は無理かも」→「女子旅とかいいですね」→「女子旅だとインドかな」→「ピラミッドも見たい!」→「そのためにも英語が出来ないと……」あまりにつるっつるの展開に、ため息しか出ませんでしたよ。はるかの高速タックルに、のっけから場外に押し出された気分です……。

<トピックス>
◎私が輝く!秋こそ「女子力UP服」
◎スーパーキラキラ女子SKJ名鑑
◎ガサ入れ!all27歳カレの「給与明細」

■本音と建て前の「女子力」ページ

 綾瀬はるかのように、老いも若きも男にも女にも、それこそ野良猫にも好かれることが「MORE」の命題。いわゆる全方位モテですね。「あ~そんなの無理だから」と鼻ほじりながら読んでるアナタ! 筆者もそう思ってましたよ。しかしながら「MORE」は、今まであの手この手でその無謀過ぎる試みにチャレンジしてきたのです。今月の特集は「私が輝く!秋こそ『女子力UP服』」。全方位モテの道は女子力にアリということなのでしょうか。

 特集の冒頭では「モアガールズに聞いた!『「女子力」ってなんですか?』」というアンケートから、漠然と使われがちな“女子力”という言葉を定義づけ。驚くべきことに、ほとんどのガールズたちが「女性目線を意識した」スタイルだと回答。「男性よりも、女性から“おしゃれ、可愛い”と認めてもらうこと」「同性の後輩から『どこで服を買ってるんですか?』と聞かれるのがいちばんうれしい!」など。ファッションライターさんも「女子力の高い服=モテ服ではない」と断言。ソーイングセット常備して、取れかかったボタン縫うような小賢しい女子力は今は昔。紹介されるファッションアイテムにも、いちいち「“女子にほめられる”モードなおしゃれ感」「ハンサムな魅力で、女らしさを引き立てる」「女子モテ要素満点」などのキャッチがつけられており、「男にモテたいから女子力上げてるんじゃないもん!」という、誰に向けられているのかよくわからない言い訳が随所に散りばめられております。

 さらに極端なのは「働くモアガールズに聞いた!“職場での”女子力ってなんですか?」というアンケート。「老若男女、誰から見ても“好印象”であること!」「上品さと清潔感」「年上の方の目も意識します。おしゃれ感やトレンド感があっても、相手に不快な印象を与えては、女子力が高いとは言えないので」など、なんですか皇族ですか!

 結果、同性とジジババに好かれるのが“女子力高い”ということになってしまったこの特集。あんなに結婚結婚言ってるのに、妙なプライドが邪魔しているのか、やってることがトンチンカンなのか。「MORE」全方位モテの道は、なかなか険しいようです。

■フェイスブックを誌上公開したようなね……

 そんな「MORE」の迷走をさらに加速させるのが、この連載。「スーパーキラキラ女子SKJ名鑑」です。「芸能人やモデルより身近だけど、みんなの憧れの的。そんな“輝いている女子”をピックアップ。キラキラのヒミツにとことん迫る」という企画で、毎回謎のカタカナ肩書きを持つ女性が登場しその日常を惜しげもなくさらしています。

 今回は“ライフスタイルプロデューサー”の女性。さすがの「MORE」もスルーできなかったのか「ライフスタイルプロデューサーってどんな仕事?」と質問。女性からの回答がコレ「日常に1.5歩先のワクワク感を提供!」って全然わかんねー。「3歩先ではなく、1.5歩先の距離感で“何気ない日常のヒトコマを楽しみに変える”をコンセプトにプロデュースしています」。3歩先も行けるっちゃ行けるけど、尖り過ぎると一般女子がついてこれないからねっていうことでしょうか。3歩進んで2歩下がる、いや1.5歩下がる……ますますわからない。

 理解を深めようと、この女性の1週間のスケジュールを拝見したのですが、月曜日は新規イベントの打ち合わせ、火曜日はイベント会場の下見、水曜日はブログ用の写真を撮影、木曜日は商品開発の打ち合わせ、金曜日はメディア対応で、土曜日は温泉でリラックス……ということでしたので、何のお仕事かを詮索するのは、あきらめることにします。何か広報的な商品開発的なイベント企画的なお仕事なのだと思うのですが。

 謎の肩書きを持ち、一般人には理解不能な1週間を過ごす、3歩進んで1.5歩下がるこの女性が、「朝はビューティードリンクからスタートする」とか「アイメイクははね上げラインで意志の強い目元にしてる」とか「一眼レフを持ち歩く自称『正真正銘のカメラ女子』である」とか「大学生の頃からおつきあいしているサッカー選手のカレと6月に入籍したんだけど、カレのチームは神戸だから、2人きりで過ごせる週末の時間が何より幸せ」とか、2ページにわたって繰り広げられるこれらの情報を、飛び込み営業先で水ぶっかけられてきたあの子や、始業1時間前に開かれるお局主催のプライベートミーティングに強制参加させられてるあの子は、どのように受け止めればいいのでしょうか。筆者は(勝手に)涙に暮れました。「MORE」は、いや女性誌全般はそろそろこうした“性善説”に基づく企画の危うさに気付いた方がいいと思うんですよ。読者は盲目的にこの手のタイプに憧れを抱くといった、危険な「決めつけ」。タレントや女優とは違う、それこそ読者から1.5歩という距離感に、思いがけず凹まされることも多いのでは。人様の“ハッピー”は、時に刃となります……。

 同性やジジババから好かれることも確かに「女子力」の一端ではあるでしょう。ストレートに男モテを求めることが非常にはばかられる、気品とプライドがあるのが「MORE」。同性モテはいつか異性モテにつながる「急がば回れ大作戦」なのでしょうが、アラサー女子にその時間的猶予があるのかどうか。男性たちのお財布事情を職種別にリサーチする「ガサ入れ!all27歳 カレの『給与明細』」なんていうどリアルな企画もある今号。思いと言葉は裏腹に、今日もMORE娘たちを悩ませます。
(西澤千央)

プロデューサーじゃなくて「ワクワクさん」って名乗ってほしい

しぃちゃん



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