[女性誌速攻レビュー]「steady.」9月号

20代OLに憧れの気持ちを抱かせない、「steady.」の脱・カリスマ主義とは?

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「steady.」2012年9月号(宝島社)

 今月の「steady.」を読んでいて、今更なことに気づきました。この雑誌には、読者が登場することはたまにありますが、カリスマ的な読者モデルという存在がいません。その代わり、有名モデルや芸能人が誌面を飾っています。今月も、そんな「Steady.」のきらびやかなモデルたちが大活躍しているのですが……。

<トピック>
◎ALL steady.モデルズのバッグの中身と私服見せて!
◎恋も! 仕事も! イベントも! 夏を楽しむ着回し31days(はぁと)
◎ステディ.調査隊 SCOOP!

■「steady.」ほど無臭な雑誌もない!

 「ALL steady.モデルズのバッグの中身と私服を見せて!」では、矢野未希子や加藤夏希、優木まおみ、馬場園梓などの芸能人モデルたちが、私物、私服、好きな映画などの趣味を公開しています。ただ、芸能人の私物公開にしては、「無難」の一言に尽きます。バッグだけは一点豪華主義的に、ちょっと値の張るものをチョイスしているけれど、ほかは「steady.」読者にも簡単に手が届くようなアイテムばかり。「いい暮らししてんなー」という差異を感じさせるのではなくて、「私たちと同じなんだな」と安心させる空気が漂っています。本当は、登場したモデルや芸能人たちも、もっといいもん使ってて、私服もザ・芸能人、ザ・モデルって感じじゃないかと思うんですけどね。

 ほかの雑誌だと、こういった企画をきっかけに、「このモデルのここに憧れる」「私もこうなりたい」という読者の気持ちが徐々に大きくなり、その雑誌を象徴する人物が毎号表紙を飾り、カリスマ化していくものです。読者の意向がなくても、雑誌がそういう存在を無理やり立てたることもあるというのに、「steady.」は、毎号違った芸能人が表紙を飾り、メインのモデルである矢野未希子や加藤夏希、優木まおみも、彼女たちのライフスタイルを見せるというより、雑誌の企画によせて役割を演じるという印象が強いため、無臭化されています。

 今発売中のほかの雑誌を見渡しても、ここまでモデルのライフスタイルが語られない、無臭化した雑誌というのも珍しい気がしますが、「誰かのライフスタイルに強烈に憧れたりはしないけど、でも服をどう買うかについては知りたい」という層は、全国には確実に存在しているのでしょう。特定のブランドのアイテムを買い漁ることはないけれど、なんとなく好きなブランドはある。そんな、何に置いても強いこだわりを持たない、「ふつう」の感覚を持つ「steady.」読者のことを考えるうちに、能町みね子さんの『ドリカム層とモテない系』(ブックマン社)を思い出しました。この本で能町さんは、「モテ子ほどに『モテ』について積極的に攻めていくタイプでもなく、かといってモテない系のように自意識の迷路の中に自ら潜り込んでいくほどめんどくさい考え方をしていない人たち」を「ふつうの女子」と位置付け、さらにその層を「なんとなくドリカムが好きそうな女子」と仮定していました。「steady.」はまさに、能町さんが言うところの「ドリカム層」のための雑誌なのかもしれないなと思うようになってきました。

■「steady.」読者にとって結婚とは?

 毎回充実の1カ月コーディネイトコーナー、今号は題して「恋も! 仕事も! イベントも! 夏を楽しむ着回し31days(はぁと)」。優木まおみと、今回で3度目となる小池徹平の登場です。このページでのまおみは、商社の営業事務として働く6年目の28歳。デザイン会社で働く幼なじみのてっぺいとは、つきあい始めて半年経過。ちなみにてっぺいは、上海に研修にいっていて帰ってきたばかりのようです。今月号では、まおみはてっぺいとの結婚を意識し始めます。地元のみんなでバーベキューをしている時に「おまえら夫婦みたい」とはやし立てられたり、大親友カップルが結婚することになって「おまえらも早く結婚しろよー」なんてせっつかれたり、後輩の結婚パーティーのブーケトスでしっかりキャッチしちゃったり、同僚も結婚したり……そんなこんなで、結婚を意識しまくって一カ月を過ごした結果、結婚のことが頭から離れなくなってしまい、挙げ句「結婚に敏感になりすぎず、今は毎日を楽しもう」という心境にまで到達。ところが、てっぺいから結婚を匂わす言葉をかけられて「to be continued……」となっています。

 にしても、「steady.」の一カ月コーディネートには、毎月毎月「出会い」や「結婚」のテーマが盛り込まれているわけですが、本当に「そこそこ女子」の「steady.」ちゃんは、結婚が身近にあるのでしょうか? もしも本気で結婚を考えている雑誌ならば、「CanCam」(小学館)のように「実録! 不幸な結婚」という結婚のつらさも伝える特集を組んだり、「CLASSY.」(光文社)のように20代で結婚している小泉里子をスター扱いしたりすると思うのですが、「steady.」の結婚特集はいつも割と軽めで、しかも既婚モデルもいない状況。そして、一カ月コーディネートの中で扱われる「結婚」も、なんとなく出会いがあって、なんとなく相手がプロポーズしてくれるという「白馬の王子様幻想」でできています。ただ、公式サイトでは「みんなの“結婚式”見せて!」という企画の投稿を大募集しているようですから、近いうちに「steady.」の結婚観を覗く機会があるかもしれません。

■20代OLには「そこそこ」がウケている

 冒頭でも「steady.」には読者モデルのスターがいないと書きましたが、それは、ターゲットを都心ではなくて全国のOLをターゲットにしているからかもしれません。確かに都会の一流商社や一流女子大の読者モデルが誌面に出ていると、読者は憧れを抱く反面、「私には遠い話……」というあきらめの気持ちも生まれがちです。

 だからかどうかはわかりませんが、読者の位置づけというのも横並びで、特に優れた存在を作らないのも「steady.」の特徴です。今月号でも「ステディ.調査隊」や「ミニーちゃんのためのスタイルUP術」など、読者が登場するページもありますが、プロのモデルのように大きな扱いではなく、すごく控え目。あくまでも「特定の誰か」を主役にしない配慮がうかがえます。

 この辺を見ていると、やっぱり「steady.」読者は、そこそこかわいくても、あまり主役ぶって前に出たりはせず、「私はみんなのサポート役でいいですから」「目立って同性に嫌われたくないんです」と、控え目に生きているようです。というよりも、もともと「目立ちたい」「何かに心底ハマりたい」と思わない女性が、日本にはかなりの数で存在しています。

 あまり大々的には知られていませんが、実は「steady.」は、昨年下半期の集計では「CanCam」や「JJ」(光文社)などを抜いて、ファッション誌販売部数ランキングで堂々8位にランクインするほどの人気雑誌なのです。データからも、日本の20代OLの中には、突出していない「そこそこ」女子がたくさんいるという事実が見えてきます。そんな人たちを唯一ターゲットにしているのが「steady.」なのかなとも思えます。
(芦沢芳子)

「痛い」という言葉をなによりも恐れてそう

しぃちゃん



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