賠償金目当て?

「外見が似てて精神的苦痛」? セレブが巻き込まれたトホホな訴訟事例

2012/08/09 21:00
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リズは疑惑の和解をしたんだって!

 日本の常識では考えられないような事例が山ほどある、訴訟大国アメリカ。企業や、大金持ちを相手に金をせしめてやろうという考えを持つ者や悪徳弁護士が多い。莫大な報酬を得ており、大金持ちであるセレブたちは、自分のせいではないにもかかわらず、理不尽な訴訟を起こされることが少なくない。今回は、突然、寝耳に水のような訴訟を起こされてしまったセレブを紹介したい。

ジェニファー・ロペス

 今年4月、元運転手のハコブ・マノウキアンから、「ジェニファーのマネジャー、ベニー・メディナからひどい屈辱を受けた上に、辞職に追い込まれた」「ジェニファーに、キャリアをめちゃくちゃにされた」と訴えられ、損害賠償金を支払うよう求められたジェニファー。ハコブは2005年にジェニファーと元夫のマーク・アンソニーの運転手を務めるようになったのだが、2人に気に入られ、運転手兼セキュリティ最高責任者になって欲しいと説得されたとのこと。そのためには経営していた会社を閉じなければならなかったが、ジェニファーは「年俸20万ドル以上を出す」とオファーしたので、会社を捨てて、彼女と契約することに決めた。

 しかし、昨年、彼女が映画『What to Expect When You’re Expecting』の撮影に入ってから状況は一転。ジェニファーではなくベニーと過ごすよう命じられ、彼からイラク人であることをネタにした人種差別的な仕打ちや悪口、人前で「こいつは英語がしゃべれないから」などと侮辱される日々を送るようになったという。ベニーに入れ知恵されたジェニファーは、ハコブをセキュリティ最高責任者からあっさり外したとのこと。ジェニファーがロサンゼルスで移動する時だけ必要な運転手に成り下がってしまったハコブは仕事を辞めざるを得なくなり、「彼女を信じて会社まで捨てたのに」と訴訟を起こしたのだった。

 ベニーは、「自分から辞めた人間が訴えるとは、おかしなことだ」とコメントしているが、人種差別という繊細な問題が絡んでいるだけに、軽くあしらうことはできないだろうとみられている。

エリザベス・テイラー

 2003年8月、エリザベスの邸宅で庭師として10年間働いていたウィレム・ムイデンが、「エリザベスの執事からセクハラされた上に、拒否したらクビにされた。報酬も未払いのままだ」として、未払い分の支払いと慰謝料を求める訴訟を起こした。

 ウィレムいわく、この執事はエリザベスの性的欲求を満たす役割も果たしていたのだが、実は男性の方が好みであり、彼に肉体関係を迫られたとのこと。断ったところ、間もなくして理由もなく突然不法に解雇されてしまったと述べ、未払いのままの報酬29万4,000ドルを含む、40万ドルを支払うよう要求した。

 エリザベスの弁護士は訴えられた直後、名誉棄損で逆提訴すると息巻いていたのだが、その後、話し合いを重ねて最終的には和解した。エリザベスは1セントも払わなかったとしているが、実際には多額の和解金を渡したものとウワサされている。

オプラ・ウィンフリー

 98年、畜産農家から、「オプラがBSE(牛海綿状脳症)の特番を組み、世間に対して牛が危険だというイメージを植え付けた」「“もう二度とハンバーガーは食べないわ!”と発言したため、牛肉の売り上げが大幅に下がり、1,100万ドルの損害を被った」として訴訟を起こされたオプラ。裁判では、「特定の畜産農家をターゲットにしたわけではない」「彼女の発言がこの畜産農家の売り上げを下げたとは思えない」として訴えは退けられ、オプラは無罪になった。オプラは、「“言論の自由”の勝利ね」と喜びを語った。

 昨年7月。オプラは、ニュージャージー在住のビジネスウーマン、シモン=ブラウンから再び訴えられている。オプラは、2010年に自分が発行している雑誌で、「Own Your Power!(力を手に入れるのよ)」というタイトルの特集を組み、その後も決まり文句として使っていたのだが、シモンは「“Own Your Power”は、私の考えた決まり文句。オプラは勝手に盗んだ」と主張。商標権を侵害したとして賠償金を払えと訴訟を起こされたのだ。

 シモンは96年に「Own Your Power コミュニケーション社」を設立し、CEOを務めており、絶対に勝てると自信を持っていたのだが、裁判官は「決まり文句は同じだが、使い方が違う」「2つを混同する人はいないだろう」として、オプラは勝利を勝ち取っている。

チャーリー・シーン

 06年4月、アースラ・オーバーンという女性が、「チャーリーが主演しているTVコメディー『ハーパー★ボーイズ』に登場するローズというキャラクターは、私そのもの。声のトーンも話し方も、着ている服も、何もかも私をモデルにしている」と主張。許可なく無断で自分のイメージを使用したとして、チャーリーを相手どり訴訟を起こした。

 なぜ、番組の脚本家やクリエーターではなく、チャーリーを訴えたかというと、アースラはチャーリーと知り合いだったからとのこと。作中で、ローズが、チャーリーがどれほど女ったらしなのかということを紹介するウェブサイトを制作するというエピソードがあるのだが、アースラもチャーリーとの関係を暴露したウェブサイトを立ち上げたことがあると述べ、何もかも一緒だと力説した。

 ちなみに、このローズというキャラクターは、チャーリーのストーカーで合鍵を勝手に作り、無断でズカズカと家に侵入し、恋人のように振る舞ったりする精神的に不安定な設定。実際にいたら怖い女であり、それを私だと手を挙げるとはと話題になった。チャーリーの弁護士はいろいろと感じるところがあったのが、1年後に和解が成立したと発表。その内容は明かさなかったが、むげにしないところがチャーリーらしいと逆に株を上げた。

マイケル・ジョーダン
 06年8月、オレゴン州ポートマン在住のアラン・ヘッカードが、「毎日毎日マイケル・ジョーダンに間違われ続けている」「あまりにも頻繁に間違われるため、大変不快な思いをしている」として、マイケルを相手どり、名誉棄損で訴えた。また、「マイケルを、ここまで大物スターに仕立てたナイキも責任は重大」だとして、ナイキ共同創設者のフィル・ナイトを、精神的苦痛を負ったとして起訴。それぞれ4億1,600万ドル、合計8億3,200万ドルを支払えと要求した。

 アランはマイケルより8歳年上で、身長も10センチほど低いのだが、スキンヘッドで左耳にピアスをし、エアジョーダンを履くなど、自ら彼に似させていた節がある。だが、本人は自分の方が先に生まれているのだから、あくまでマイケルの方がコピーキャットなのだと思い込んでいたようだ。

 裁判は呆れを通り過ぎ激怒したナイキが、このバカげた訴訟を取り下げないのなら逆に訴えると警告したところ、アランは訴えをあっさりと取り下げた。そして、「2006年度、最もバカげた訴訟」だとして、バカげた民事訴訟を取り上げる“本当のステラ賞”を贈られるというトホホなハメになったのだった。

 昨年11月、スタンドアップ・コメディアンのロブ・デラニーが「キム・カーダシアンを訴えてやる!」と宣言し、話題を集めた。「キムが時間をかけて、結婚生活が上手くいくかどうか試したのならば許せる。オレは結婚して5年目だが、別れたいと思ったことはある。妻だってそうさ」と述べ、72日で結婚をギブアップしたキム、一部始終を世間に垂れ流し金を稼いでいる「E!エンターテインメント・テレビジョン」、カーダシアン家を追うリアリティー番組のプロデューサーのライアン・シークレストをまとめて訴えると息巻いたのだ。結局、訴訟は起こさなかったが、もし裁判にされていたら、一体どのような結果になったのか、気になるところである。

最終更新:2012/08/09 21:00
『本当にあったとんでもクレーム100連発』
日本人はクレーム、アメリカ人は訴訟ってことね……
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