『かくれ人見知り』花津ハナヨ×『友だちがいない』中川学特別対談

「ゴミ出しで緊張」「突然のハイタッチは恐怖」人見知り漫画家の秘めたる想い

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カメラマンからの「人見知りスマイルをよろしくお願いします!」という
ムチャぶりに応える、花津ハナヨ氏(右)と中川学氏(左)

 日本列島に空前の“人見知りブーム”到来!? 雑誌やテレビが「コミュ障」や「人見知り」をたびたび取り上げている昨今、著者みずからの体験を描いた2冊のコミックエッセイが話題となっている。

 まず、花津ハナヨ・著『ただいま「かくれ人見知り」が平静を装って生活しております。』(文藝春秋)。過剰な自意識が邪魔して他人とうまく話せない花津氏が、その苦悩を細かく記した作品。

 これとほぼ同時期に発売となったのが中川学・著『僕にはまだ友だちがいない 大人の友だちづくり奮闘記』(メディアファクトリー)。36歳にして同作がデビュー作となった中川氏が、漫画家を目指し上京後、「友達0人」の状態から苦手な友達作りに奮闘する実録コミックだ。

 「人見知りの自分」「友達がいない自分」、共に他人との関係性に悩む2人を引きあわせ、それぞれが感じている対人関係の恐怖と苦悩、そして友達とは何かまで語ってもらった。

――お2人は、初対面ですか?

花津ハナヨ(以下、花津) はじめましてです。

中川学(以下、中川) あ、はじめまして。

――まず、現在の友達状況を教えてください。

中川 僕は今、「トキワ荘プロジェクト」(漫画家を目指す若者への住居支援などを行う)というのに参加してまして、一軒家に漫画家を目指している5人で住んでるんです。住み始めて2年弱がたったんですけど、最近やっと同居人たちと友達になれてきたなって感じがあります。なので、今の友達は4人ですね。

花津 私は、友達はいなくはないんですけど、自意識過剰でして、なかなか他人に心が開けないんですよね。

中川 僕も、一緒にバスケをする人はいるんですが……。

――あれ、それは、お友達なのでは!?

中川 あ、そう言われると。うーん。

――中川さんにとって、どこからが「友達」ですか?

中川 一応、漫画でのゴールが、人生を語り合える友人を見つけることなんです。なので、将来の話を真剣にできるのが友達じゃないですかねえ。

花津 私、『蒲田行進曲』が好きなので、そういう男の友情みたいのがすごく羨ましいです! 以前、ある漫画家さんが「女の友情は“連帯”だ」っておっしゃっていて。女って、連帯するものがあれば仲良くいられるけど、それがなくなると離れていくって。確かにそんな感じするなあって思いました。

中川 そうなんですね。でも逆に、女性特有の「ガールズトーク」というのをやってみたいと思ったりもしますよ。

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――お互いの漫画を読んでみて、いかがでしたか?

中川 共通点がホントに多くて「わかるわかる」という感じでした。特に花津先生の知り合いが、2度目に会う方が緊張する「二度見知り」だっていうエピソードを読んで、「僕はまさにこれだ」と気付かせてもらいました。

花津 2度目が緊張のピークなんですか?

中川 いえ、3度目はさらに緊張が加速します(笑)。僕の場合、「初対面の時のように、また仲良くできるだろうか」「もしかしたら相手が以前と関係性を変えてくるかもしれない」という恐れが、緊張感につながっているような気がします。

花津 突然、ハイタッチされたりとか?

中川 それは恐怖ですね(笑)。僕は多分、愛されたい気持ちが強いんだと思います。それが「嫌われたくない」という気持ちになり、過剰に相手に合わせて、疲れて、次第に離れちゃう。その繰り返しです……。ほかにも、花津先生の「ゴミを出す時、人がいないのを見計らって出す」というエピソードも「わかる!」って思いました。僕、家で共用トイレに行く時、台所を通らなきゃいけないんですよ。そこに誰かがいる時は、会話するのがツライので待機してます。

花津 話すのツライですよね……。私も飲み会で、なるべく気配を消してジッとしてます。

中川 相談できる人がいないから、とりあえず占いや、自己啓発本に頼るところも似てますよね。あと、過剰に社交的な人がガッと来た時に引いちゃうところとか。

花津 過剰に来られると、心の扉を閉じてしまって「そうですね~」「そんなことないですよ~」みたいなのらりくらりとした相づちしかできなくなってしまうんですよ。ただ、ズカズカ来られ過ぎると対応できなくなって、仲良くなるパターンもあるんです。

中川 あ~、わかります。

花津 今、付き合ってる人もそのパターンで。男女問わず、自分が気になった人のことを、断られても断られてもまた誘うんですよ。本人は「嫌われてるかもしれない」ってまったく思わないみたいで。しつこ過ぎて私も対応できなくて、いつの間にか仲良くなりました。人見知りじゃない人って、瞬発力があるというか。メールもすぐ返信したり、マメなんですよ。私は、メールが来ても、返そうかどうか迷っている間に、時間がたっちゃって(笑)。

中川 確かに僕も、マメじゃないです。ここも共通するところですね。

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――それが二度見知りの原因になってるんですよ! メールを返さぬまま、その人に再会してしまうと、「嫌われてないかな」と不安になって、あえて避けてしまうことってありますもん。では逆に、「ここは違うな」と感じたところは?

中川 花津先生と僕が違うなと思ったのは、花津先生が30歳を越えてから人見知りになられたところですね。僕は生まれた時から人見知りなので。ここはほかに共通点が多いだけに、寂しい気持ちになりました(笑)。

花津 昔は、「1人でいることがかっこいい」と思っていましたね。でも、30歳頃に、周りの人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、仕事に手ごたえがなかったり、いろんなことに挫折して外に出られなくなってしまって。人見知りはそれからですね。

中川 僕はもう、小さい頃から家にいる方が好きで、友達とあまり遊ばない子だったんです。小学校に行きたくないあまり、登校前に気持ち悪くなって病院に行ったり。自家中毒って症状だったらしいんですけど。その後、一番友達がいたのは、大学の映画サークルに入った時の9人です(笑)。卒業後は、結婚式にも呼んでもらってないんですが。

花津 私も結婚式にはあまり呼ばれません(笑)。先週も、小学校からの同級生が実は結婚してたことを知って「ああ……」ってなりました。

――漫画家さんって、特に人見知りの方が多い職業だったりするのでしょうか?

花津 この本が発売された時、漫画家さんからたくさん反応を頂いたので、そうかもしれません。正常に育ってたら、漫画なんて描かないでしょうし(笑)。

――人見知りであることを、普段は隠してるんですか?

花津 隠したいんですけど、この本を出したことで隠せなくなってしまって。初対面の編集者の方とかに、いきなり「人見知りなんですか?」とかって言われると、仕事しづらいです(笑)。でも、逆にこの漫画を描かなかったら、「人見知りを治そう」と思わなかったと思いますし、人のいる場にも出て行かなかったと思います。

中川 僕もこのテーマで描かなかったら、ずっと友達がいないまま今に至ってたと思います。それに、この本が自己紹介代わりになるので、「友達になってください」みたいな感じで、開き直って行けるようになりました。

――少なからず、ご自身の漫画に救われたということですね。ちなみに、お2人は今回の対談を通して、友達になれそうですか?

花津 えっと……あの、一緒に飲みに行ってもいいですか(笑)?

中川 ぜひぜひ(笑)。よろしくお願いします。

(取材・文=林タモツ、撮影=東京フォト工芸 桑原克典)

花津ハナヨ(はなつ・はなよ)
1975年滋賀県生まれ。「なかよし」(講談社)で少女漫画家としてデビュー。『CAとお呼びっ!』(小学館)は2006年にドラマ化された。著書に 『モテずに死ねるか! 完全版』(朝日新聞出版)、『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)、『情熱のアレ全4巻』(集英社)、『たたかえ!WACちゃん (1)巻』(芳文社)など多数。

中川学(なかがわ・まなぶ)
1977年北海道生まれ。大学卒業後、小中学校の臨時講師、シイタケの収穫など様々なアルバイトを経験。2011年、漫画家志望の若者に格安で住居を提供するトキワ荘プロジェクトに応募して上京。現在は、アルバイトをしながら漫画を描いては、人生を模索する日々。

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