[女性誌速攻レビュー]「STORY」8月号

イケナイ女を演じたい! 「STORY」同窓会&男友達企画が「劇団わたし」劇場に

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「STORY」2012年8月号(光文社)

 カジュアル主体の「現役感」にこだわる「STORY」において、悪そうな女感漂うマダムファッションを復権させようと一人気を吐いているのが、ファッションディレクターの干場義雅氏。毎回ゴージャスなコーディネートはもちろん、モデル写真に亡霊のように写り込む、クリス・ペプラーを濃縮果汁還元させたような干場氏自身をひそかな楽しみにしていましたが、今号のテーマはなんと「アメブラ(アメリカンブランド)でエロサバ」……フォーエバー21やオールドネイビーをまとった40女に「あのシルエット、グッとくるね(干場)」なんて言うはずない! 心なしか写りこみ干場氏にも精気がないような。

 「エロさ漂うコンサバファッション=エロサバ」を提唱し続けているものの、ニーズとのズレかイマイチブレイク感がない干場氏。しかし、どうか変に空気など読まずに信念のエロサバを貫いて欲しいものです。不動心、林真理子センセイのように!

<トピックス>
◎大特集 速報!40代の「ボトムス年齢」が若くなってきた!
◎これぞホッシー流!アメブラでお得にエロサバ
◎月イチ男友達・FACE BOOK同窓会・ダンナの日、の服

■「朝カフェ族」なんて聞いたことないですし

 そんな林センセイは、今号の連載にて「婚約指輪見て『ちっちゃ!』って言っちゃう長谷川理恵サイコ~! マリーアントワネット~」と絶賛しております。興味のある方はそちらも合わせてどうぞ。

 さて、気持ちを切り替えまして大特集「速報!40代の『ボトムス年齢』が若くなってきた!」を見てみましょう。「STORY」いわく「若々しさ、現役感はボトムスに宿る」。扉の写真もショーパン履いたモデルの下半身がバーン。もちろん生足サンダルでバーンです。

 20人以上のライター&スタッフたちが「都内8か所で、延べ10日間、40代を徹底リサーチ!」。その中で最も輝いていた3名のオシャレさんに若ボトムスの秘訣を聞いています。「出産するまで仕事をしていたので、コンサバな服が多かったです。でも今は、育児をしながら自分の着たい服にトライできている」という41歳主婦、「仕事服は、トレンドを押さえてあって、買いやすい価格の服がそろうZARAやプラステで選ぶことが多い」40歳派遣社員、「まだ子どもが小さいので、動きやすいカジュアルが毎日の定番」な38歳アパレル勤務など。育児でのカジュアル化、さらにプチプラブランドの波及がボトムス年齢を下げているようです。

 続いて青山、六本木、二子玉川、渋谷、代官山などオシャレっぽい街でのスナップを集めていますが、地域ごとの変化があまり見られないのが残念。あの関西ですら超絶フツーです。しかし名古屋だけはフリッフリのどピンクを貫く潔さが! 関西マダムが大屋政子ルックを捨てた今、もう民俗学的観点から名古屋の“どえりゃ~ファッション”は保護するべきですね。

 比較的真面目に若ボトムスを語るページが続く中、突如として現れるのが「ゆるボトムスで“朝カフェ”現象」。最近では、代官山や広尾のカフェがオープンと同時に満席になり、その流行を作っているのが40代女性ということですが……「早起きしてカフェで一息というこの感覚がオシャレ」というパリジェンヌ幻想が、そもそも「若」から離脱していますし、あんまりボトムス関係ないし。聞き馴染みのない“朝カフェ族”の皆様には「#BBA_nero」というちょい古ハッシュタグを差し上げたいと思います。

■「STORY」久々の“自分にウットリ”企画!

 キング・カズ並みに「現役」感にこだわる40代女性。そんな彼女たちの欲望が垣間見えるステキなページをご紹介します。「月イチ男友達・FACE BOOK同窓会・ダンナの日、の服」。配偶者を「夫」と表記することが多い「STORY」が、あえて「ダンナ」と表現してきましたよ。

 「ダンナの日。欲しい言葉は『えっ、キレイだね』」「月イチ男友達。欲しい言葉は『ドキドキする……』」「FACE BOOK同窓会。欲しい言葉は『若いね!』」という欲しがり女性たちが、シチュエーション別のファッションを披露。

 同窓会では「頑張りすぎず、でも女としての『現役感』や『幸せ感』は醸し出したい」。要するに「『老けた』なんて思われたくない」からみなさん気合入りまくり。「ダンナの日」は、すべからく長めパンツの地味ファッションだというのに! 「女はディテールが命!」と、ほぼ物は入らないであろうクラッチバッグに、指にはダイヤの指輪を輝かせ、捻挫覚悟のピンヒールで決めています。そこへ「10代の頃の○○さんより、今のほうがずっと輝いていてキレイ」「20年ぶりに会っても変わらぬ美しさでビックリ」「妻がキレイにして出かけて行くのは、嬉しい反面ちょっと心配です(笑)」という男性コメントをかぶせて、深夜のテレビショッピングのようなほのぼのとしたヤラセ感を演出していました。

 一方、ほのぼのしていられないのが「月イチ男友達」。ドキドキさせないといけませんので、ショーパン&生足に、スケスケ&肌見せトップスで迫っています。「極端な露出は避けて、肩スリットのトップスに、ショーパンを合わせてヘルシーなセクシー感で」「ボトムスはあえてショーパンで外します。スカートだと誘ってるみたいですしね(笑)」と、「よー言うわ!」な言い訳をカマしつつも、グラス片手に上目使いで独身の男友達を見つめる40オンナ。そんな空気を察してか、「褒め言葉は、明日からキレイを磨く最高のエッセンスに」「現役独身女性に劣りたくない女心」「自分が“女”であり続けることを意識するためのイベント」「お互いのカンフル剤になれば」という無理やりポジティブコメントが随所に入っています。かわいそうなのは、そんな既婚女性たちのファイト一発リポビタンD代わりに召集される独身男性で「独身の○○君は、主人公認のご飯友達。主人の帰りが遅い日などに、ちゃっかりご馳走してもらっています」とまぁ、女性ホルモンUPに使われ、挙げ句の果てに奢らされるという不遇。ウッカリ手も出せない彼らを思うと「主人は一番大切だけど、時には主婦でない自分になりきりたいと思う女心、きっと誰にでもあると思うわよ」という登場者たちのセリフに、なんとなく首を縦に振ることが躊躇われた次第です。

 結局は主演・脚本・監督すべてをこなす「劇団わたし」がやりたいだけなんですよね。男たちを惑わせ、叶わぬ恋に身悶えて、それもこれも私が「現役」だからイケナイのね……と。登場男性たちが大分棒読みなのが気になるところですが。対等なイメージの「夫」ではなくちょいハスッパに「ダンナ」と表現したのも、「カゴの鳥」感を出したかったからでしょうか。ナイスチョイスだと思います。バブル時代の自己肯定能力は「アタシが一番」をベースに成り立っていましたが、DKJは「みんなもそうでしょ?」という共感を基にアイデンティティが作り上げられているのだと、今号でしみじみわかりました。カジュアルとはなかなか厄介な言葉です。
(西澤千央)

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