[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

「カワイイの残骸」を顔からかき集めても、気持ち悪いといわれる中年のオチ

2012/06/24 19:00
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(C)安彦麻理絵

 43歳になった。42歳までは「30代の延長」という感じだった。しかし、43歳になったら「……あら……?? あそこに蜃気楼のように見えるあの扉は、あれはもしかして『50代の扉』??」というふうに、今まで見えなかったものが、見えるようになってしまった。きっと、45歳になったら、ふいにポンと肩をたたかれ、振り返ると「50歳の私」が、薄ら笑いを浮かべてるような気がする。

 トシをとって、良かった事、悲しい事、それは両方ある。「悲しい事」に関して言えば、それはやはり周囲で「病気」だの「死」だの、そんな楽しくない出来事が、今までよりもドッと増えた事。私の両親も、もう若くない。何やら色々病院通いしているみたいだ。親戚のおじさんも最近、死んでしまった。元気だと思っていた知り合いのオバさんも、手がリウマチで動かしづらくなっていた。みんな、どこかしらにガタがきている。そうして、順番にお迎えがきて、みんなポロポロと死んでいくのか。そんな場面に、これからどんどん直面していかなければならないのだ、と思ったら、本当に悲しくて泣きたくなった。もっと若かった時には、こんな事、考えた事もなかった。

 さて。気分を変えて、次は「良かった事」だ。私がトシをとって、良かったと思う事。それは、昔ほど「顔の造作」に関して執着が無くなった事だ。若い頃は「女は絶対美人で可愛くないと駄目なんだ!!!」という思い込みが激しすぎた。それ故に苦しんだ。苦しみ抜いた。人生は不公平にできている。女は、美人で可愛い方が、絶対得をする。しかし。43歳になったら急に「それも若い時だけの話なんだよなぁ」と、しみじみ思うようになってしまった。なんて言うか、「憑き物が落ちてしまった」という感じだろうか? 大体、43にもなってまだ「カワイイって言われたい」なんて言ってる女、気持悪いだけだろう。「戦いの土俵から、自ら降りた」と言ってもいい。別に「あきらめた」とか、そういうふうでもないんだが。なんて言うか、若い時に「カワイイ」やら「美人」など、引き出しの中が「それだけ」だったりすると、トシくって劣化した時、一体どうするんだろう、ってリアルに実感するようになったのだ。中年になった顔の中から「カワイイの残骸」みたいなもんをかき集めて、無理矢理「アヒル口」なんてやってみたところで、それは「気持ち悪い」と言われるのがオチである。どう考えてもそれは「いいトシのとり方」とは言えないだろう。最近では「若い娘の土俵は降りた」けれども、また新たな「土俵」が用意されてたりもする。

 「美魔女番付の土俵」に鞍替えして、いつまでも粘り腰で頑張る中年女が増えたけれど……なんだかそれも「有刺鉄線デスマッチ」みたいで、あんまり見ていて気持ちがいいもんではないような気がする。もしも今。若い頃の……あの頃の私と話をする機会があるならば。「美人だのカワイイだの、それにアグラかいて世渡りしてたら、トシとった時になんにも残んないよー!!」って言ってやりたい。けど、絶対ヒステリックに「そんなのわかってるよ!!!」って反発されそうな気がする。そう、こんな事、頭ではわかっていても、絶対納得できる事じゃなかった。逆に「その通りだよねー」なんて言われたら、それはそれでなんだかウソくさい。ジタバタしてこそ「若者」だ。43歳になって、私はようやく、ちょっとだけ肩の荷が降りた。

 ところで話は変わるが、長谷川理恵。園山真希絵だの美元だの、キ◯ガイじみた女たちが世間を賑わせてるが、長谷川理恵も、なんだかとんでもない事になっている。実は私、7年くらい前、長谷川理恵のエッセイ集を買った事がある(……雑食)。その時は「爽やかな人だなぁ」くらいの印象しか持たなかった。その当時に比べると、今の方が明らかにおもしろくなってきている。

 「ハリーウインストンの指輪のダイヤを見て小さいと思った」は、もはや名言だ。期待を裏切らないネタが流出しまくってて、これからしばらくは目が離せそうもない。きっと、子どもが産まれたら産まれたで、ベビー用品にカネがかかりそうだし、しばらくしたら、お受験対策の塾通いが始まって、名門私立に入れるために躍起になるのだろう。もしも離婚なんて事になったら(もしも、の話だが)慰謝料・養育費で、またとんでもない金額がニュースになりそうだし……そんな話を電話で、大久保ニュー姐さんと話してたのだが、ニュー姐曰く。

「なんか長谷川理恵って、もはや木嶋佳苗と一緒じゃないの?」
「2人のカネのむしり取り方が、もう一緒よ!! もはや美人とブスの境界線が消えてるわよ!!」

 ……確かに佳苗と理恵の共通キーワードは、多分一緒だ。それは「私にはその価値があるから」……まるでロレアルのCMみたいだ。「長谷川理恵のダンナ、命取られなかっただけ、ありがたいと思った方がいいわよ!!」……ニュー姐の言う通りかもしれない。それにしても不思議なのが、長谷川理恵、マラソンだの野菜ソムリエだのやってんのに、まったく「毒が抜けてない」ところである。「あの杉田かおるですら、野菜のせいで、毒抜けちゃったのに!!」と、ニュー姐も言ってたけど、理恵の毒に比べたら、かおるの毒っけなんて、ハナクソみたいなものだったのだろうか?

 「出産は女にとって最大のデトックス」というけれど、マラソンどんだけ走ろうとも、野菜どんだけ食ってようともああなんだから、長谷川理恵は子ども1人産んだくらいじゃ、毒、出し切るのは不可能だと思う。でもまぁ、おもしろいから、別にデトックスなんてせずに、今のままでいて欲しいと思うのは私だけだろうか?

『願力 愛を叶える心』

かおるは畑耕しちゃってるからもう戻ってこなそう

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最終更新:2019/05/21 16:28
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