[女性誌速攻レビュー]「HERS」7月号

いよいよコンサバ文化が動く? 「HERS」にも押し寄せてきた辛口の波

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「HERS」2012年7月号(光文社)

 女性誌において、モノを通して自分を語る時代は終わったと感じることが多いのですが、「HERS」はまだまだ「良いものは自分の価値を高めてくれる!」という価値観が誌面からにじみ出てきます。以前も断捨離特集かと思ったら、新しいマンションを売って古いアパートを買い直してリノベーションするという、「結局モノ捨てて新しく買い直してるだけやないかーい!」状態でしたし、今月の萬田久子さんの連載コラム「萬50+4ダッ」のページにも、ある宝石店のパーティでジュエリーを身に着けた気分を「この“ぽっ”と心が躍る気分は、ちょっと恋ににているから。恋もジュエリーも女子を美しくさせるための媚薬だもの、どっちも欲しいわよ、ね!(笑) さあ、大人の女性の皆さん、輝きを手に入れるために、頑張りましょ!」とつづられていました。ま、人の価値観なんてそう変えられるもんではありませんし、まだまだ消費にも恋愛にも積極的な「HERS」の姿勢は、毎度のことながら頼もしいかぎりです。

<トピック>
◎萬田久子さん「今日は私の彼でいて(はーと)」
◎かる~く五十路越え!
◎シンプル派こそ「可愛い」を知っている!

■江角マキコとも偽装結婚だったの?

 さてそんな萬田さん。「今日は私の彼でいて(はあと)」のページでは、宮根誠司氏に続き、今月は桐島ローランド氏とのデートです。今月は表情も晴れやかですし、冒頭から「わぁ、今日はイケメンとデートで嬉しい!」とはしゃぎまくっています。バイクで2人乗りしてローランド氏の腰に手を回したり。そんなに先月のデートは盛り上がらなかったんでしょうか……。

 ところが、対談では衝撃の事実が発覚です! なんと、ローランド氏、現在の妻との結婚は偽装結婚から始まったとぶっちゃけたではないですか。お茶会の仲間だった現在の奥さんは名古屋のお嬢様で、当時、父親から「もう30歳を超えたんだから結婚しろ」と責め立てられていたそうです。ローランド氏はそんな彼女から「ゲイの人知ってる?」と相談され、「それなら僕が偽装結婚してあげるよ」と、今の結婚生活が始まったんだとか。そしてともに暮らすうちに愛情が生まれ、子どもまでもうけたそう。

 まあ、昔のお見合いみたいなものでしょうか。お互いによく知らない状態からスタートして良い部分を知っていく。ローランド氏も「お互い、期待しないところから始まりましたからね。超楽チンでストレスがない。僕も、彼女には何も言わないんです。望むとしたら、子供たちのいいお母さんであってほしいだけ」って、その話の続きは「VERY」(光文社)のイケダンのページでしてあげて!

■時間が解決しない問題

 いつも「HERS」世代の社会的な悩みがわかる湯山玲子さんの人生相談「かる~く五十路越え!」ですが、今回は「母と娘の葛藤にケリをつけたい」という質問に対して答えていました。

 相談者は夫と二世帯住宅で暮らし、体調を崩して仕事を辞めたところ、母親の小言がうるさくなったそう。その母は、子どもの頃から質問者に「キャリアを積みなさい」と言い聞かせていたそうで、40代半ばになっても母から解放されないことが悩みのようです。

 ここで湯山さんは、母と娘のべったりとした関係を解消して、精神的な「母親殺し」をすることが必要と説いた上で、そのほかの道として、働く=稼ぐ道が会社にしかないと思いこむのではなく、会社以外で稼ぐ道を見出して、母親の「キャリアの夢」を現実化するということも提案していました。

 母娘問題と言うのは長年、女性誌で取り上げられています。が、ここは50代女性を想定読者に据えている「HERS」。この読者のように成人してからも30年近く、母との関係にがんじがらめになっている人も少なくないということでしょう。天真爛漫なファッションページばかりに目をとられがちですが、その裏で「HERS」世代の悩みは蓄積された重さと深さがある、と実感させられたページでした。

その時、コンサバが動いた!

 今月の「HERS」には変化もありました。今年に入ってから「ズル可愛」路線を封印して「シンプル」押しを始めた「HERS」。2012年3月号は「シンプル派の『春色小物』欲しいもの順」、4月号にも「『堂々とシンプル服』で行く!」という特集を組んでいます。6月号の「カラダに優しい服なら薄着も怖くない!」という特集でも「シンプル派」という言葉が使われていました。

 そして今月号も「シンプル派こそ『可愛い』を知っている!」という第1特集が。ここで気づいたのですが、先月号までは「シンプル」に組み合わせる言葉として、「キリっと」「ちゃっかり」「きちんと」という無難なキーワードが使われていたのに、今月号は「姫ハンサム」「ゆるカッコいい」「暑くない甘口」「きちんと可愛い」というちょっと強めのキーワードが出てきました。

 現在、同じ光文社の「STORY」も「無糖派層」という言葉が定着して、ゆるやかに脱コンサバ路線をとっていますが、その波が「HERS」にも押し寄せてきたという感じです。もちろん、辛口の洋服が流行しているということもあるのかもしれませんが、1975年の創刊~数年間の「JJ」を読んでいた人々が今の「HERS」読者だとすると、37年の「コンサバ」の歴史がいよいよ動く気配がします。
(芦沢芳子)

「HERS」

ローランドがEXILEの事務所所属という謎

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