[女性誌速攻レビュー]「Grazia」7月号

“母として・女としての洗顔”、「Grazia」のセンスが「Domani」寄りに!

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「Grazia」2012年7月号(講談社)

 今月号の「Grazia」の表紙は、永作博美。長年、エイジレスの権化として君臨してきた永作も、一昨年に第一子を出産し、「Grazia」読者と同じくワーキングウーマンに。インタビューでは「何ひとつ無駄なものはないと思っているので。日々起こっているすべてのことが、私になってる」と語っています。カッチョエー!! ま、この手のインタビューなんて誰が出てもカッコイイことしか言えない雰囲気なのでいいのですが、スタイリングがルイ・ヴィトンの25万円のドレスやグッチの真っ白なスリーピースなど、いかにも「Grazia」が好みそうな「強くて、かっこいいワーキングマザー」をイメージさせる格好をしているんですよね。せっかくナチュラル大臣・永作を出すなら、もっと肩ひじ張らないスタイリングでもいいんじゃないかと。毎日フォーマルな服装で働いている人は、井脇ノブ子以外は思いつきません。まあ、彼女はワーキングマザーではないし、あれをフォーマルと言っていいのかも不明瞭ですが……。

<トピック>
◎子どもと一緒の時を刻む名品時計
◎美肌を育むクレンジング&洗顔術 母として洗う日 女として洗う日
◎“総合こども園”ってどーなるの!? リレー激論

■金を持つと、家庭をブランド化したくなる?

 今月の大特集「夏の気持ちいい仕事服」と銘打ったファッションページなので、興味がある人はご自分で確認を! さて「子どもと一緒の時を刻む名品時計」という母ゴコロをくすぐるページを見ていきましょう。リードには「私らしい美意識で選んだ、思い入れのある究極の一本を、いつか娘に譲ったならば、末永く、愛でていってほしい」と口上が述べられていますが、要するに親子2代で使うことを視野に入れ、ン百万する腕時計を買っちゃえよ! と促すボーナス時期向けの記事です。

 ずらっと並ぶ時計の写真の合間に、娘の髪を結う腕にシャネル、お出かけの際に娘とつなぐ手にティファニーなど、しっかり「娘」と「時計」をリンクさせた写真を挟みこんでいます。女性誌における“親子で受け継ぐ名品”といえば、「JJ」や「VERY」といった光文社文脈で紹介されることが多く(国宝級・文化価値の高いのものなら「家庭画報」もあり)、その背景には神戸・名古屋カルチャーとの結びつきが強いような気がします。まだまた地方の方が「富裕層」と「中間所得層」の色分けがハッキリしていたからでしょうか。が、ここにきて「Grazia」に代表される、出自というより共働きによって可処分所得を得ている層でさえ、親子2代という旧世代の価値観に回帰するのでしょうか。“親子で受け継ぐ名品”を突きつめて考えると、家庭内で物語を作り、家庭内で消費するというマッチポンプ。人間、小銭を持ち始めると、自分の家庭を演出したくなるのでしょうか。今回は編集部主導の記事ですが、これら読者発の現象としてページを割くほどになるのか、今後注目していきたいところです。

そっちいったら、地獄だぜ?

 ワーキングマザーのための雑誌に新装刊したということもあってか、時々「それはなんでも無理やりじゃないですか?」という企画が多くなった「Grazia」。今月のMMK(モスト・無理やり・企画)は、「美肌を育むクレンジング&洗顔術 母として洗う日 女として洗う日」です。タイトルが苦し過ぎでしょ! ちなみに内容は母として洗う日→時間がなく、潤いを保つためのお手軽洗顔、女として洗う日→多少時間があり、美肌を育む丁寧ダブル洗顔ということです。言われてみると「ふーん」としか言えなくなる感じ……やばいですよ。万年滑り倒しでおなじみ「Domani」(小学館)のタイトルの付け方と同じにニオイがします。

 確かに「Domani」も「Grazia」も30代半ばをメインターゲットにしているがゆえに、すごく難しいかじ取りを迫られていると思うんです。20代ほど若さに自信がなく、むしろ老いを自覚し始める頃。結婚・出産・仕事といろんな選択を迫られ、特に出産に関しては常にタイムリミットを感じながら敏感にならざるを得ない。自分自身が結論を出せずにいるのに、周囲からのプレッシャーも感じることで、自分を客観視したり、笑い飛ばすこともできない。なので、何の気なしに企画やタイトルにダジャレを絡めたり(「Domani」)、何の気なしに属性をアピールしたり(「Grazia」)しても、読者がチラ見して去っていくような気も……。「VERY」のように“子どもがいる専業主婦”という属性がありつつ、「お受験」「イケダン」「ママチャリなのにサングラス」で結ばれた共同体じゃないと、この世代の地雷を踏みかねません。

 今月は読み物ページに「“総合こども園”ってどーなるの!? リレー激論」「マネーと夫と私」という面白そうなタイトルが躍り、楽しみに読んだのですが、どうにも内容があっさりしていました。“総合こども園”については小宮山洋子厚生労働大臣ら政治家が多く登場しているので、理想論になってしまうのは仕方がないこととして、「マネーと夫と私」は具体的な金額やシミュレーションではなく、既婚者なら把握している管理術に終始していて残念でした。

 新装刊からレビューを始めて3号目ですが、いまだ「Grazia」がワーキングマザーの現状にがっぷり四つで組み合っていないように思います。高価でスタイリッシュな洋服に身を包んだ永作といい、タイトルに「母」とつけて目を引こうという編集手法といい、「働く母親というコスプレ」をしているように思えるんですよね。来月号予告には「世界のワーキングマザーSNAP」「働く母の白熱ネットショッピング」というタイトルが並んでますが、どれだけ読者に響く内容なのか、楽しみに待っています。
(小島かほり)

「Grazia」

「○○というコスプレ」って便利な言葉だもんね~

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