[女性誌速攻レビュー]「Neem」vol.3

母親の自己肯定が染み出る育児誌「Neem」にナチュラル系の神UAが登場

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「Neem」vol.3(徳間書店)

 「ポリシーあるママのライフスタイルマガジン」と銘打って今年創刊された「Neem(ニーム)」(徳間書店)。毎号、表紙には一色紗英を起用するという、2012年の今では独特すぎるポリシーを貫く異色の育児雑誌です! 登場するママには、田辺あゆみやhitomi、カヒミカリィなど、ルーズソックス世代に多大な影響を与えた“渋谷系”モデルやアーティストたちをラインナップ。彼女たちが行う「ナチュラル」で「私らしい」出産や育児を惜しみなく公開しています!

 しかし通販サイト「amazon」のレビューでは、「一般人の読者が置き去りにされている」「芸能人のライフスタイルなんて参考にならない」「他のママ雑誌のおこぼれモデルではなく、普通に頑張っているお母さんがみたい」など、パンピー(一般ピープル)層の読者から信じられないほど叩かれまくっているのです!  育児雑誌でここまで低評価を受けてるものなんてほかにないですよ! 「Neem」、一体どんなポリシーママの世界が繰り広げられているんでしょうか!? 生後3カ月の娘を持つ新米ママライターが読んでいきます!

<トピック>
◎UAさんを訪ねて沖縄 やんばるへ
◎ママたちの素敵なつながり
◎ママたちのポットラックパーティー!

■巨大な布一枚を巻いてるようなその服、どこで売ってるんですか!?

 パンピーから酷評されていた「Neem」のバックナンバーを読んでみると、「フォトグラファーの友人」が「出産2日前」に「ふらっと家に来て撮影してくれた」という、日当たりの良い部屋で大きいお腹をナチュラルに晒した一色紗英の、パンピーが持っていない全てが凝縮されたフォトがさらりと掲載されていました。ほかにも、巨大な白い布一枚を巻いただけの、イエス・キリストのコスプレのような不可思議な服を着たモデルや、アシンメトリーな髪型の夫と一緒に木のまな板みたいな器にアボカドを乗せて食べているモデルなど、とにかくパンピーには参考にならない異世界のママ情報がてんこ盛り!

 下界からの酷評を最新号ではどう切り返していくのか? 大概は怖気づいてブレーキをかけ、よくある育児雑誌になっていくところですが「Neem」は違いました。「ナチュラル×ポリシー」のご本尊、UA様を登場させ、アクセル全開です! UAはやっぱり巨大な一枚布でできたイエスな服を着て、やんばるの森の中に立ち、その野性味を更に強化していました。東日本大震災後、沖縄に移住したUAは現在、放射能から身を守ることを考えるネットワークの活動をしているとのこと。一色紗英とママ対談しているのですが、2010年に自宅が全焼したことも「大きな厄払いみたいな感覚だった」とまさかの「すっきりした」発言。UAの魂が崇高すぎて拝みたくなるレベルです。「一般人の読者が置き去り」どころじゃありませんって! 

■気さくな近所付き合いができない現代人を自覚

 特集「ママたちの素敵なつながり」では、ポリシーあるママたちの素敵な友だち付き合いを紹介。まずは編集部員によるエピソードなのですが、「仕事で疲れて帰った夜、玄関のドアノブにかかっていた手作りの餃子の入った袋。ママ友のさりげないやさしさに日々助けられている」とのこと。2ちゃんねるに「【恐怖!】ママ友からの手作り餃子【いらぬお世話】」ってスレッドが立ってそうなエピソードだと思いました。そんな筆者をあざ笑うかのように、「ホントのママ友ってギブ&テイクじゃない。無償なの」と言い切る「Neem」。

 個人的なことなんですけど、以前住んでいたところの隣人のおばあちゃんがよく、ビニール袋に直でクッキー入れて年季の入った洗濯ばさみでとめたものとか、直にイチゴを入れてイチゴ汁で中がびちゃびちゃになったものをくれたんですよ。今住んでるところでも、「食べきれないから」っておばあちゃんが封の開いたお菓子をくれて、「またおばあちゃんが食べきれないもの受け取る(ゴミ箱)係になるのか」と思っちゃって、とにかく近所の人から食べ物をもらうことにトラウマができてるんです。だから自分が人の家のドアノブに餃子ひっかけるなんて、恐ろしくてとてもできません!
 
 「Neem」は更にママ友と「もう一歩なかよくなる」策として「ポットラックパーティー」を提案してきます。手作りの料理を1~2品持ち寄る集まりのことを言うらしいですよ。「その人のセンスがわかるので、より親しくなれることも」あるらしいです。

 私は短大時代にカオマンガイ(オシャレなタイ料理)を素で作っちゃうようなオシャレな人達の持ち寄りパーティーに招かれて、何持って行けばいいかわからなくて、牛乳入れて冷やすだけで出来るレアチーズケーキ「クールン」を作って持って行ったんですよ。「エッ、もしかしてクールン!?」「ほんとだクールンだ!」と爆笑されて、本当に死にたかった記憶があるのですが、ママ友のポットラックパーティーなんてほんと何持っていけばいいかわからなくて想像しただけで吐きそうです。「ホントのママ友」ができるには、それまでの対人ヒストリーもかなり重要なんじゃないかと、絶望感に包まれました……。

■太刀打ちできない「Neem」の世界

 モデルの米田有希と和香の仲良し対談では、「私たちに共通しているのは、ヒステリックな怒り方をしないところ。例えば子ども同士が喧嘩しても、すごい勢いで叱る人とかいるけど、私たちはほっとこってタイプ」とか、八嶋智人の妻で女優の宮下今日子は「子どもには、自分のことを自分で決められて、責任もきちんと負える人になってほしい。だから、親が道を作りすぎないようにしてる」とか、みんな「子どもをある程度放っておいてる」って言うんですよね。それって親自身が自分を肯定できてないと言えないと思うんですけど、確かに「Neem」には育児雑誌の基本である「Q&A」が全く載っていません。

 それに比べて、育児雑誌日本代表の「ひよこクラブ」(ベネッセコーポレーション)はどのページにも「朝は何時に起こしたらいいの?」「いないいないばあは1日5回以上やったほうがいいって本当?」など「Q&A」が延々と続き、「みんなはどうしてるの? うちって普通? これで平気?!」と血走った目をしたママたちを対象にした構成。

 みんな同じ流行のアイテムを持って、少しでも変わった子がいると異常なほど「エーッ! 変!」と反応する、目に見えない「普通」を重要視する種族が「ひよこクラブ」だとすると、「Neem」はそんなルールを知らず、教室の窓の外を見てる背が高くて普段あまりしゃべらない女子って感じ。

 たいていの人は「変!」と言われるのがいやだからそれなりに「普通」に合わせるところ、「Neem」さんは「変!」って言われたことにしばらくは落ち込むんだけど、「でも、これが私だし」と明るく生きていくタイプ。ジブリ映画の主人公かっ! 「Neem」さんが『魔女の宅急便』のキキだとしたら、私なんて、かぼちゃとニシンのパイが嫌いなあの孫のパーティーの隅っこで「クールン」持って来ちゃったことを隠すのに必死になってるタイプですよ! 「どうしたら『Neem』みたいな人になれますか!?」って発言小町に書き込みそうになりました。

 とにもかくにも、自己が確立されてることが前提の「Neem」。ファッションページは超高い服ばっかり載ってるんですが、肝心の巨大一枚布の服についての情報は皆無。中はどういう構造になってるのか、教えてください!
(田房永子)

「Neem vol.3」

UAさん、マジ神々しいッス!

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