神林広恵×高橋ユキ×安彦麻理絵の「木嶋座談会」

女の犯罪にはドラマがある!? 神林×安彦×高橋が木嶋佳苗を語り尽くす!

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『木嶋佳苗劇場』(宝島社)

 死刑判決が下されてから1カ月以上がたった現在でも、木嶋佳苗への世間の関心は薄れるどころか、関連書籍が次々と刊行され話題を呼んでいる。サイゾーウーマンで連載中の神林広恵と霞っ子クラブの高橋ユキによる共著『木嶋佳苗劇場』(宝島社)は、法廷証言録やカナエギャル座談会、そして岩井志麻子や中村うさぎらによる“木嶋佳苗考察”が収録された興味深い1冊となっている。今回は、共著の2人と漫画家・安彦麻理絵の3人による異色の座談会を決行。なぜ女は木嶋から目を逸らせないのか? 男が木嶋事件に無関心なのはなぜか――木嶋佳苗から女性犯罪者までを語り尽くす!

■木嶋の女犯罪者としての特異さ

神林広恵(以下、神林) 
安彦さんのコラムを読んでいて木嶋佳苗に大変興味をお持ちだと知り、是非お会いしたいと思っていました。

安彦麻理絵(以下、安彦) サイゾーウーマンの担当Yが木嶋法廷を傍聴したと聞き、打ち合わせそっちのけで喫茶店で盛り上がってしまって、すごいデカイ声で喋ってしまった(笑)。『木嶋佳苗劇場』(宝島社/以下、佳苗劇場)を読ませていただいたら、被害者の男がコロコロと木嶋に転がされてビックリしました。

高橋ユキ(以下、高橋) 中にはホテルで昏倒させられたのに、「おかしいから試しにもう一度」と再度ホテルに行って“試そう”とした被害者もいましたよ。安彦さんは佳苗のどんなところに興味を持ったのですか?

安彦 やっぱりデブってことでしょう。木嶋の公判と同じ時期、激太りしたオセロの中島知子問題が起き、洗脳した占い師も太っていた。しかも木嶋と同時期に起こった鳥取連続不審死事件の容疑者の上田美由紀も太っていて。日本中をデブが騒がせていると思うと、すごく面白くて。なんて楽しい国だと!

高橋 法廷画家がびっくりしてましたが、普通の被告人は拘留されて初公判までの間に痩せるのに、木嶋は痩せていない。すごいことだと。

安彦 拘置所でも1,000円のお菓子を買って食べてるんじゃないですか? 漫画に描いたんですけど、佳苗の腹を掻っ捌くと、バームクーヘンとか「きのこの山」とかかわいらしい食べ物がいっぱい出てくるんじゃないかと思って。佳苗は、面白い。どこかチャーミングで、「怖い」というイメージがないですね。同じ時期に埼玉拘置所に拘留されていた女性がテレビで話していたけど、佳苗は留置所で「セレブさん」って呼ばれてるんでしょ。「こんなの食べれないよ~」とか言ってるそうで。

神林 洋服も少し毛玉ができると「廃棄お願いします~」って処分するって。お金持ってるじゃん。

安彦 どこかに隠し持っている?

神林 林真須美もぽっちゃりだったし、秋田の連続児童殺害の畠山鈴香もそう。最近は、デブの女犯罪者が女性の興味をそそる傾向にある。昭和の時代、例えば1981年に起こった旧三和銀行の伊藤素子などは、「女の犯罪の影に男あり」だったけど、平成はそれとは違いますね。

高橋 犯罪の影に男が存在しても女が主導だったりする。保険金殺人などは、共犯がいると男が先に自白してしゃべっちゃう。女は頑なに否認してるのに(笑)。そう、木嶋には共犯がいなかった。気丈だな、と思いましたよ。

安彦 木嶋は高校時代、通帳を盗んでいたんでしょ? 男にそそのかされて。

神林 木嶋の虚言癖を考えると本当に男にそそのかされたのかは疑問ですけどね。佐野眞一氏の『別海町からきた女』(講談社)によると、小学時代にすでに通帳を盗んでいたらしいし。

高橋 子どもって小銭が置いてあればちょろまかしたり、万引き経験がある人も多いけど、通帳は普通ないですよね。しかも木嶋は大人になっても盗癖が直るどことかエスカレートしていった。

安彦 『佳苗劇場』の岩井さんのインタビューに「なぜ佳苗は整形をしなかったのか」と書いてありましたが、私も同じことを考えていました。金があったのになぜ整形しなかったんだろうか。よっぽど自分に自信を持っていたということなんでしょうね。

神林 木嶋は食べ物には大金をつぎ込んだけれど、洋服や装飾品とかにはそれほど金を使っていないんです。ブランド品も箱だけを買ったり、すぐにオークションで売ったり。セレブを気取る割には、意外に自分自身に無頓着というか。

高橋 法廷でも“ここぞ”と言う時のファッションの決め方がダサい。本人はマジでやってるのにどこか抜けていました。脇が甘くて、そこが面白くて女子は惹かれるんでしょうね。ブログでも、スノコの上にエルメスを置いて撮影していた。そこが笑われるポイントだと本人は気付いていない。

安彦 金田一耕助が言っていた言葉ですが「精密に計算された犯罪ほど、1つの綻びからボロが出る。詰めが甘い方が意外にバレない」と。木嶋はまさに詰めが甘かったから、最初の頃の犯行がバレなかったのではないかと。

神林 2件の殺人は、自殺や事故として処理されていたから、最後の大出事件が発覚しなかったら迷宮入りの可能性もあった。でも脇が甘いから、一度成功したので次も同じパターンで、と繰り返し最後には発覚しちゃった。

安彦 でも普通、彼氏ってそんなに死なないから! 発覚するでしょ。 

高橋 木嶋は犯罪を犯すたびにどんどんスピードアップしていった。殺人に自信ができたんでしょう。手っ取り早くチャッチャと練炭を買って、お金をゲットしていった。

■木嶋の下着とは……

安彦 個人的には木嶋の下着がすごく気になるんです。佳苗のパンティとかブラ。どんなものを身につけていたのか……。

神林 妄想だけど、フランスのブランドでは絶対になくて、シンプルな木綿のデカパン系だと思う。おへそが隠れるような。そっちの方が騙す男にはウケそうだし。

高橋 木嶋が「ぽっちゃりソープ嬢さくらのブログ」というブログをやっていた時期、ヤフオクで下着を買っていたんです。客のための仕事用だったのかな。それ以降はヤフオクで買ってないから、下着には興味がなかったのかも。

安彦 木嶋の詰めの甘さを考えると、上下ブラとパンティはバラバラだな。騙されてた男たちは、色っぽい下着を女がつけていると萎縮するタイプ?

高橋 スポーツブラのイメージもある。シミーズ使用もあるかも。あの体型だし、サイズの問題もあるし下着はこだわらない。ウエストのゴムも甘めっぽいな。金をかけるところと、かけないところが極端そうですよね。

神林 郊外のディスカウント店で大量買いしてそう。見えないところに金をかけない。勝手な想像だけど(笑)。

安彦 木嶋に関していろいろ妄想を働かせるのは面白いんですよね。シャンプーの臭いも想像がつく。「TSUBAKI」とか普通の匂いのものをドラッグストアで買ってそう。

高橋 もうなくなったけど、池袋の「キンカ堂」のイメージですね。木嶋は池袋に縁が深い。男たちと会うのも池袋、最後に住んでいたのも池袋。しかも警察の目の前!

神林 ここでも無頓着(笑)。っていうか警察への挑戦か!?

安彦 下着ついでに、木嶋の乳首って綺麗そうじゃないですか? 男好きのする薄い感じのピンク……妄想だけど(笑)。木嶋は「お前ら美人だけどどうせ粗マンでしょ」とほかの女をバカにしていたんじゃないの? あと声がかわいいのも、男を騙せた絶対条件だったと思う。それに加えて木嶋の魅力は前髪にもあったんじゃないかと。あの曖昧な、昔のアイドルっぽい、スカスカした前髪の垂らし方は男は好きかも。うん、声と髪型は昔のアイドル。

一同 えーー!?

安彦 ぱっと見、癒し系と言えなくもない。美人と一緒にいると男はエネルギーを消耗するけど、佳苗くらいの感じだと疲れないんですよ。

■檀れいだったら男が関心を持ち、女は持たない

神林 さすが安彦さん、フリークですね(笑)。今回多くの男が木嶋に騙されたけど、女がこれだけ興味をそそられる一方で、男は全く興味を示さなかった。

安彦 私も旦那にしつこく聞いたんです。「男は木嶋なんかに興味がないよ」と言ってましたが、でも事件が木嶋じゃなく檀れいだったら納得するらしい。檀れいに「女の機能は」なんていわれたら、ガブリ寄って全て納得すると。でも佳苗は納得いかない、気持ち悪いと言われた。

高橋 だからこそ逆に女は興味を持った。檀れいだったら女は興味を持たなかったかも。それと、「デブ」「ぽっちゃり」の人はぼんやりして悪いことをしないというイメージが日本にはあるから、より衝撃が大きかった。個人的には高木ブーのイメージが影響しているせいかと思ってる。でも……法廷での木嶋の目つきは悪かった(笑)。

安彦 以前、池袋のぽちゃりパブに取材に行ったんですが、みんな性格もよくて肌も綺麗でプクプクでなんだか安心感があった。そこで「昔いじめられていんです~」なんて言われると男はホロっときますよ。

神林 ぽっちゃりは性格がよいという信仰ですね。木嶋はそれを見事覆した。

安彦 男たちはデブを見くびっていた面もあると思う。実際には虚言だったり、腹黒かったり。

高橋 被害者たちは真面目で、しかも遊んでいないからお金も持っていた。女に優しくされることに慣れてないし、モテない時期が長いと女性観をこじらせたりするんじゃないかと思う。

安彦 そういう男を目ざとく見つける佳苗もすごい。ダメ男が貢ぐ女を見つけるのが得意なように、木嶋も貢いでくれるモテない男を見つけるのがうまかった。

高橋 そもそも、木嶋のメールで引っかかった時点で木嶋に選ばれし男たちって感じですよね。被害者の1人は「千代田区に住んでいるオレは器が大きいから小さいことは気にしない」と語ったらしいけど、びっくりですよ。

神林 普通の女はこんなこと言われたら引くよね。でも佳苗は「素敵ね」と言えちゃった。最初から騙すつもりだったから、いくらでも上辺で返答できる。

安彦 うちの旦那は、「付き合って間もなくても好きな女だったら30万円くらいは払うかも」って言うんです。その理由は、男は社会的生き物だからと。女を養うのは義務で、責任感から払うらしい(笑)。木嶋じゃなく檀れいだったら絶対払うと。

一同 また檀れい! 安彦旦那、どんだけ檀れいが好きなんだ。

安彦 でも杉本彩だったらそうはいかないよね。いかにも悪女じゃだめなんです。清楚っぽくないと。「金麦」のCMイメージね。男で「金麦」CMを嫌いな人はいないでしょう。木嶋みたいな女にだけは騙されたくない、負けたくない。でも檀れいだと、最初から白旗を挙げちゃうみたい。「騙された俺が悪い」と納得する。それと、木嶋の本命といわれたSにも興味がある。セックスの相性が一番よかったって、どんなの? 旧三和銀行の伊藤素子が「男とのセックスがよすぎて、どうにかなってしまうのではないか、という経験をしました」って当時証言していて、その一文がすごく怖かった。それで犯罪に手を染めるって……セックス漬け? 木嶋も?

高橋 基本的に木嶋は全部の金を自分に使っていた。

安彦 女の犯罪はドラマ感がありますよね。福田和子や夫バラバラ殺人のセレブ妻。凶器がワインボトル!

神林 そういった意味でも、近年稀に見る女性犯罪者のスターが木嶋佳苗だった。これかから高裁、最高裁といくでしょうから、今後もみんなで木嶋を見守りましょう! 『木嶋佳苗劇場』は木嶋を知る上で大いに役立つ一冊だと思います。

一同 最後は宣伝か!

『木嶋佳苗劇場』
去る4月13日、検察側の主張が全面的に認められ、木嶋被告に死刊の一審判決が下った。木嶋佳苗とは何者なのか? 被害者男性はなぜ、次々と木嶋佳苗に吸い寄せられ貢いだのか? 男性遍歴、セックス自慢まで飛び出した異様な法廷での「木嶋証言」を忠実に再現、婚活詐欺の“怪物”が歩んだ背徳の人生と、事件の核心に迫る法廷ドキュメント。
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